小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

321 8月(13)完 少年の夏 3つの森を越えて

ある友人と酒を飲んだ。彼は、子ども時代のことを懐かしそうに話してくれた。孤独ではあるが、自然の中で育った友人。しかし、いまはそんな少年時代を連想することは難しい。人には歴史がある。だから、人生は面白いのだろう。都会育ちの私にはとても想像が…

321 8月(13)完 少年の夏 3つの森を越えて

ある友人と酒を飲んだ。彼は、子ども時代のことを懐かしそうに話してくれた。孤独ではあるが、自然の中で育った友人。しかし、いまはそんな少年時代を連想することは難しい。人には歴史がある。だから、人生は面白いのだろう。都会育ちの私にはとても想像が…

320 8月(12) 雷の季節に hanaのつぶやき

人間の世界では、昔から怖いもののたとえとして「地震、雷、火事、親父」ということわざがあるそうです。私はそのうちいくつかは経験しているのですが、最近では何といっても「雷」が怖くてなりません。 昨日も午後から急にすごい雨が降り、ゴロゴロ、ピカリ…

320 8月(12) 雷の季節に hanaのつぶやき

人間の世界では、昔から怖いもののたとえとして「地震、雷、火事、親父」ということわざがあるそうです。私はそのうちいくつかは経験しているのですが、最近では何といっても「雷」が怖くてなりません。 昨日も午後から急にすごい雨が降り、ゴロゴロ、ピカリ…

319 8月(11) 本家と分家の争い グルジアとロシアの紛争

国際情勢の難しいことは分からない。しかし、いま起きているロシアとグルジアの問題は、日本の本家と分家の関係に当てはめると、理解しやすい。 ロシアのメドベージェフ大統領が、グルジアからの分離独立を求める南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独…

319 8月(11)本家と分家の争い グルジアとロシアの紛争

国際情勢の難しいことは分からない。しかし、いま起きているロシアとグルジアの問題は、日本の本家と分家の関係に当てはめると、理解しやすい。ロシアのメドベージェフ大統領が、グルジアからの分離独立を求める南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独…

318 8月(10) 戦争絶滅へ、人間復活へ

秋田県横手市在住のむのたけじさんは、93歳の老ジャーナリストである。むのさんは、フリーのジャーナリスト、黒岩比佐子さんとの対談(岩波新書)で「戦争の世紀」といわれた20世紀を中心に振り返り、厳しい視線を私たちに向ける。それは、私にとって目から…

318 8月(10)戦争絶滅へ、人間復活へ

秋田県横手市在住のむのたけじさんは、93歳の老ジャーナリストである。むのさんは、フリーのジャーナリスト、黒岩比佐子さんとの対談(岩波新書)で「戦争の世紀」といわれた20世紀を中心に振り返り、厳しい視線を私たちに向ける。それは、私にとって目から…

317 8月(9) 近くて遠い旅

作者の坂上弘さんは、1936年の生まれだ。いまでは珍しくはないが、19歳という若さで芥川賞の候補作を書いた早熟の作家だ。ペン1本の道は選ばず、リコーに勤めながら作家活動も続けた。 先ごろ、ある会合でお会いしたが、温厚な人柄の紳士である。「近くて遠…

317 8月(9) 近くて遠い旅

作者の坂上弘さんは、1936年の生まれだ。いまでは珍しくはないが、19歳という若さで芥川賞の候補作を書いた早熟の作家だ。ペン1本の道は選ばず、リコーに勤めながら作家活動も続けた。 先ごろ、ある会合でお会いしたが、温厚な人柄の紳士である。 「近くて遠…

316 8月(8) 平凡な日常を大事に 北京五輪に思う

北京五輪が盛大に開催されている。五輪は「平和の祭典」ともいわれた。だが、五輪の開会式に世界の首脳が参加した直後、グルジアとロシアの軍事戦闘(戦争)が始まっていた。ロシアの前大統領・プーチン首相も堂々と五輪の開会式に出席したのだから、あきれ…

316 8月(8)平凡な日常を大事に 北京五輪に思う

北京五輪が盛大に開催されている。五輪は「平和の祭典」ともいわれた。だが、五輪の開会式に世界の首脳が参加した直後、グルジアとロシアの軍事戦闘(戦争)が始まっていた。ロシアの前大統領・プーチン首相も堂々と五輪の開会式に出席したのだから、あきれ…

315 8月(7) フェアプレーとは 北京五輪に思う

北京五輪の女子柔道で、78キロ超級の塚田真希は決勝で中国の佟文をリードしながら、残り8秒で背負い投げを打たれ、銀メダルに終わった。この試合をテレビで観戦していて、スポーツにとって大事な「フェアプレー精神」(欧州流にいえば騎士道精神か)はど…

315 8月(7) フェアプレーとは 北京五輪に思う

北京五輪の女子柔道で、78キロ超級の塚田真希は決勝で中国の佟文をリードしながら、残り8秒で背負い投げを打たれ、銀メダルに終わった。この試合をテレビで観戦していて、スポーツにとって大事な「フェアプレー精神」(欧州流にいえば騎士道精神か)はど…

314 8月(6) 五輪の夏 野口選手に同情

第18回東京五輪が開かれたのは、いまから44年前の1964年10月だった。東京五輪といえば10月10日の開会式当日の「澄み切った秋の青い空」を思い出す人が多いはずだ。いまは8月。酷暑の中で北京五輪が開催中だ。選手たちは試合での戦いに加え、暑さという大敵に…

314 8月(6) 五輪の夏 野口選手に同情

第18回東京五輪が開かれたのは、いまから44年前の1964年10月だった。東京五輪といえば10月10日の開会式当日の「澄み切った秋の青い空」を思い出す人が多いはずだ。いまは8月。酷暑の中で北京五輪が開催中だ。選手たちは試合での戦いに加え、暑さという大敵に…

313 8月(5) ある中国帰国者の人生

ことしの8月8日は、末広がりの意味がある「8」という数字が3つ並んで縁起がいい日といわれ、北京五輪も開幕した。そんな夜に東京である中華料理店の6つ目の店がJR蒲田駅前にオープンした。 25年前に小さな店からスタートしたこの店がここまでになる…

313 8月(5)ある中国帰国者の人生

ことしの8月8日は、末広がりの意味がある「8」という数字が3つ並んで縁起がいい日といわれ、北京五輪も開幕した。そんな夜に東京である中華料理店の6つ目の店がJR蒲田駅前にオープンした。 25年前に小さな店からスタートしたこの店がここまでになる…

312 8月(4) 鳥羽と神戸の海の博物館にて

暑い毎日が続くと、クーラーの効いた部屋で好きな本でも読んでいたいと思ったりする。半面、涼を求めて旅をしたくなるのも事実である。 たまたま海に関する2つの博物館に用事があり、三重県の鳥羽と神戸に行って来た。涼を求めるのは無理だったのだが、珍し…

312 8月(4) 鳥羽と神戸の海の博物館にて

暑い毎日が続くと、クーラーの効いた部屋で好きな本でも読んでいたいと思ったりする。半面、涼を求めて旅をしたくなるのも事実である。 たまたま海に関する2つの博物館に用事があり、三重県の鳥羽と神戸に行って来た。涼を求めるのは無理だったのだが、珍し…

311 8月(3) 名記者からの手紙

友人から、ある新聞記者の話を聞いた。やや長いがその話を紹介する。 ……………………………………………………………………………………………… 私の所属する社に長く社会部記者をやり、編集委員になって急性の白血病で亡くなった辻山という先輩記者がいた。 若いときに、働きすぎから胃を患っ…

311 8月(3) 名記者からの手紙

友人から、ある新聞記者の話を聞いた。やや長いがその話を紹介する。 ……………………………………………………………………………………………… 私の所属する社に長く社会部記者をやり、編集委員になって急性の白血病で亡くなった辻山という先輩記者がいた。若いときに、働きすぎから胃を患っ…

310 8月(2) ダモイ(収容所から来た遺書)・3人芝居

8月は鎮魂の月である。祖先から伝わる死者の霊(精霊)を供養する盆が間もなくやってくる。広島、長崎を含めた太平洋戦争で犠牲になった310万人の霊を慰める季節でもあるのだ。 シベリアに抑留され、命を落とした6万人に対しても敬虔な気持ちを抱く。新宿…

310 8月(2) ダモイ(収容所から来た遺書)・3人芝居

8月は鎮魂の月である。祖先から伝わる死者の霊(精霊)を供養する盆が間もなくやってくる。広島、長崎を含めた太平洋戦争で犠牲になった310万人の霊を慰める季節でもあるのだ。 シベリアに抑留され、命を落とした6万人に対しても敬虔な気持ちを抱く。 新…

309 8月(1)  ムクゲの季節に

ムクゲの花が遊歩道に咲いている。いまが盛りである。炎暑の夏はムクゲの白い花がよく似合う。この花は中国やインドが原産国だが、韓国の国花でもある。 根源詩人といわれた高橋新吉(1901-1987)が書いた「木槿の花」の詩を読み返す。 むくげの花の白さは…

309 8月(1)ムクゲの季節に

ムクゲの花が遊歩道に咲いている。いまが盛りである。炎暑の夏はムクゲの白い花がよく似合う。この花は中国やインドが原産国だが、韓国の国花でもある。 根源詩人といわれた高橋新吉(1901-1987)が書いた「木槿の花」の詩を読み返す。 むくげの花の白さは…