小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2072 シリウスとの対話 かけがえのない犬たちへ

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「○○よく頑張ったね。いい子だね」。夕方、散歩をしていたら、小型犬を連れた若い女性とすれ違った。しばらくして、こんな声が聞こえた。だいぶ遠くなってからあの犬がしきりに吠えている。私とすれ違った犬は人が近づくとほえてしまうのだ、でもそれを我慢したから、飼い主からほめられたのだろう。叱られるよりほめられた方がいいことは犬だけではない。人間だってその方が成長にいいらしい。あの犬も飼い主とともにいい関係を築くだろうと思いながら、ゆっくりと歩を進めた。

 私の家もこの夏までは犬と縁があった。これまでのブログで書いている通り、ノンちゃんというミニチュアダックスフンドを預かっていたし、その前にはhanaと名付けたゴールデンレトリーバーを飼っていた。hanaもノンちゃんも私や家族が外出から帰ると、玄関で大騒ぎをして迎えてくれた。特にhanaは玄関から居間まで走り回り、妻に「うるさいよ」と叱られ、急に大人しくなる。その姿はなかなか愛嬌があった。

 hanaは8年前の2013年7月30日、ノンちゃんはことし6月15日に旅立った。hana11歳、ノンちゃん15歳だった。2匹とも私たちにとってかけがえのない家族の一員であり、一緒に暮らした日々はとても大切だったから、時折思い出す。近所に住んでいる小学生の家族が我が家にやってきて「ノンがいないのかなあ」とつぶやいたりするのを時々耳にする。私もhanaが玄関で踊るようにして出迎えてくれる姿をしばしば想像してしまう。

 この前(7日、日曜日)の朝日歌壇(高野公彦選)にかけがえのない犬を失ったことを歌った2首(3、4首目)が載っていた。私たち家族の思いを代弁してくれるような歌ではないかと思った。

 ▽名前書きし首輪ゆっくりはずしてやり聞こえるうちに「ありがとう」を言う(伊賀市・秋田彦子)

 ▽玄関のタイルに残る染跡は犬がいた場所そしていない場所」(山口県・庄田順子)

 ▽評 3首目、犬の臨終を看取る歌。4首目、犬を偲ぶ歌。いずれもが犬が好きな人だろう。(ブログ筆者注・好きというよりも大好きな人の歌だろうと思う)

 hanaとノンちゃんは、我が家の庭先にある金木犀の近くに眠っている。この場所は2匹が好んで遊んだところだ。居間からもよく見えているから、2匹とも安心しているに違いない。私たち家族は、旅立った2匹が冬の空に輝くシリウスからコロナ禍の日々を送る人たちを見守っていてくれると信じている。おおいぬ座のこの星は全天で最も明るい恒星だという。近い日シリウスを見上げ、2匹と対話をしたい。

 凍る闇シリウス光千変し 

   相馬遷子(そうま・せんし、1908~1976。長野県出身の俳人、医師。本名・相馬富雄)    

 

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写真

1、大雨から一転、空が明るくなり、雲も茜色に

2、天空には白い三日月が見える

3、4 在りし日のhanaとノンちゃん