小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

スポーツ

264 少年時代のひた向きさ 集中するということ

佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」が、多くの読者の支持を得ているのは、陸上競技にかける若者たちのひた向きさ、さわやかさが伝わるからなのだろうか。 同じ女性作家・あさのあつこの「バッテリー」も、野球に対する少年の純粋な思いを追求しているから若者だ…

255 ひた向きで不器用な生き方 野茂、金本…

だれでも、自分の信じた道を貫きたいと思う。しかし、志半ばにして、あきらめざるを得ない状況になるのが普通だ。特にスポーツの世界はそうだ。 体がぼろぼろになって、かつての栄光から見離された境遇に追い込まれた選手は寂しいものがある。そうした固定観…

242 散り際の美学とは あるランナーの生き方

日本には、昔から「散り際の美学」という言葉がある。これまでの輝かしい選手生活やあるいは第一線の生活に幕を下ろして「卒然と散り行くことが美しい」という滅びの美学でもある。スポーツ選手や政治家などの引退の時期をめぐって、この言葉を思い浮かべる…

235 雪、そして風 地方都市を歩く

雪の世界には慣れているはずだった。札幌で暮らした3年半は、雪が降る中を平気で歩いていた。東北を旅し、その自然はなかなか手ごわいと思った。盛岡、八戸、秋田。いずれの街でも私の体が既に「首都圏仕様」になっていることを痛感させられたのだ。 太平洋…

232 東京マラソンのボランティア そこに知った顔

2月17日に行われた東京マラソンでは、3万2000人のランナーが走った。都心部を走るとあって、沿道には220万人以上の観衆がつめかけた。私もマラソンを見ようと防寒着をまとって東京駅近くまで足を運んだ。観衆もランナーもものすごい人の波だ。そこで黄色いウ…

231 有森裕子のマラソン哲学

日本の陸上競技女子選手で、五輪の2大会連続してメダルを獲得したのはマラソンの有森裕子だけだ。1992年のバルセロナ五輪の銀に続いて1996年のアトランタ五輪では3位でゴールした。そのときのインタビューは今でも記憶に残る。「メダルの色は、銅かもしれま…

216 昨今スポーツ事情 感心しない駆け引きの横行

日本ではマイナーなスポーツといわれるハンドボールがいま注目を集めている。この夏の北京五輪のアジア予選をハンドボール国際連盟(IHF)やり直すよう求めたのに対し、アジア連盟(AHF)が拒否したからだ。 やり直し拒否を決めたAHFの常任理事会には日本は…

215 人はなぜ泳ぐのか 知人は東京-鹿児島往復3000㌔を突破

ことしの年賀状に14年かけて3000㌔を泳いだことを書いた知人がいる。東京-鹿児島間を往復して、さらにおつりがくる距離だという。 知人の自宅の近くにスポーツジムができたのは平成5年のことで、56歳の誕生日まであと数ヵ月に迫ったころだ。最初は数百メー…

214 夕日の公園 茜色の海

犬を散歩して公園を通ると、愛犬を連れた人たちが集団を形成していることをよく見かける。ペットを通じて、交流をしているようだ。 私は、時間がもったいないので、そうした輪には入らない。そうした人たちは、ペットのリードを外してやり、犬たちを勝手に遊…

206 義足のランナーに五輪資格を 両足障害の21歳の青年の活躍

陸上競技の世界で、健常者の一流ランナーに近付きつつある義足のランナーがいる。 本人は来年の北京五輪で健常者と一緒のレースに出場することを熱望しているが、国際陸連は認めない公算が大きいそうだ。「義足が競技に有利に働く」という声もあるが、私は出…

192 続「always3丁目の夕日」 鉄腕稲尾投手時代への郷愁

昨年大ヒットした映画の続編である。作家志望青年と隣の自動車修理工場を取り巻く人々の物語を軸にしているのは、変わらない。方や芥川賞を目指し、方や事業に失敗した親戚の娘を預かる。 それに町内の人々が絡んで物語は面白おかしく進んでいく。昭和30年代…

184 どこへ行った闘争心 NZ・オールブラックスの敗退

ニュージーランドには、マオリと呼ばれる先住民族がいる。全人口の約15%がマオリであり、ニュージーランドをラグビー強国にした原動力はマオリの存在なのだ。 だが、フランスで開催されたラグビーのワールドカップでは、世界ランキング1位だったニュージー…

177 爽快さの喪失 ボクシングの亀田

11日夜のボクシング、「世界フライ級タイトルマッチ」と銘打ったTBSの番組には、怒りを通り越して、あきれてしまった。 挑戦者の亀田大毅の反則を繰り返すふてぶてしい試合ぶりからは、スポーツが持つ「爽やかさ」は全く感じられなかった。試合開始まで1時間…

158 世界陸上大阪大会への思い 青春がよみがえる

いま、大阪で世界陸上競技大会が開かれている。これまでのところ、メダルを獲得した日本選手はいない。期待は、女子マラソンしかないのかもしれない。でも、テレビで世界最高の選手たちの躍動あふれる姿を見ていると、私自身に力をもらったような気がするの…

148 夕焼けに思う 政界も角界も大荒れ

8月1日に関東地方も梅雨が明けた。帰宅途中、電車を降りてふと空を見上げると、美しい夕焼けが目に飛び込んできた。不順な天気が続いていたので、夕焼けを見るのは久しぶりだった。かばんからカメラを取り出し、シャッターを切った。私の隣でおじさんが携帯…

131 私が住んだ街10・千葉 ロッテとジェフが元気の素

私が住み始めたころ、この街では、「公害裁判」が続いていた。 京葉工業地帯の一角、千葉港に面して川崎製鉄千葉事業所があった。ここから排出された煤煙によって周辺住民に喘息をはじめとする呼吸器系の病気が頻発した。住民たちは川鉄を相手取って、損害賠…

127 私が住んだ街9・札幌(続) ある失敗

札幌の住宅街で一番人気は、地下鉄東西線円山公園駅周辺のいわゆる「円山」だ。札幌の中心部に近いのだが、閑静でしゃれた店もいろいろある。札幌の人には憧れの街である。幸運にもこの街で2年間の生活を送ったことがある。そこでの失敗談をひとつ。 ある土…

112 東京五輪の映画を見る 物流博物館にて

東京・高輪に物流博物館がある。JR品川駅高輪口から歩いて5分の高台に日本通運が出資して創設した小さな博物館だ。認知度はいまひとつらしく、平日の午後、入場者は私1人だけだった。 物を運ぶと一口に言うが、戦後の歴史を考えても大きな変化がある。引っ越…

103 どっちもどっちの西武裏金問題  常識を知らない球界人

プロ野球の西武球団のアマ選手への金銭供与問題がさらに拡大したというニュースを読んで、そう驚くことはなかった。それよりも、西武は調査委員会によくも隠さなかったものだと変に感心した。 以前に出た話は氷山の一角だと思っていたからだ。これは一西武だ…

102 映画は小説を超えられるか 「バッテリ」ーを見る

児童文学者・あさのあつこの野球小説「バッテリー」が映画化された。小説は文庫本として第5部まで出版され、超がつくベストセラーになった。完結編の第6部も近日発売になる。天才投手と捕手の友情や病身の弟を抱える投手の家族の問題を描いた児童文学だ。 小…

98 若年性高齢化現象 フィギュア・真央の発言

東京で開催されたフィギュアスケートの世界選手権で、ショートの失敗をフリーで取り戻し、銀メダルを獲得した浅田真央が報道機関のインタビューに応じて話した内容に少なからず衝撃を受けた。 フリーの会心の演技で、浅田は金かと思った。高得点を得て、涙を…

85 松坂の初登板中継 NHKの英断あるいは無駄遣い

アメリカ大リーグ、レッドソックスに移籍した松坂大輔投手が日本時間3日朝(現地2日)の大学チームとのオープン戦に初めて登板した。この模様を、NHKがBS放送で生中継した。まさかと思ったが、NHKはやったのである。 野球が好きな人は「英断」と思ったかもし…

80 東京マラソン 人の波にのまれる

雨の中で、東京マラソンがあった。日比谷や銀座で3万人が走った大会をのぞいた。一口に3万人というが、それはいつまでも続く蟻の列のような感じがした。 東京の都心部を、7時間の制限時間で走るというこのマラソン。沿道もすごいというしかない人出だった。…

59 風を切って走れ 賢治の世界は永遠に

穏やかな天候の正月だ。散歩も気持ちがいい。「hana」の散歩を早い時間にやり、恒例の東京-箱根間大学駅伝をテレビでじっくり見た。 絶好の駅伝日和というのだろうか。気温10度、無風。その中でスタートした1区で、東海大学の佐藤悠基(2年)が区間新記録…

57 松井記念館を見た トロフィーに驚く

大リーグ・ヤンキースの松井秀喜の出身地は石川県根上町だ。町村合併で現在は能美市根上町になっているが、松井といえば、やはり根上町出身として有名だ。 そこは小松空港から近い田園地帯である。生まれた家に隣接して05年12月にオープンした「松井秀喜ベー…

44 紙一重

寒い1日、スポーツをテレビ観戦して「紙一重」という言葉をかみしめた。東京国際女子マラソン、そして、男女のゴルフの結果を見てそう感じた。 東京国際女子マラソンは、シドニー五輪金メダリストの高橋尚子(34)と実力者の土佐礼子(30)の一騎打ちという…

43 26歳に60億円の偏り

ポスティングシステム(入札制度)という人身売買のような制度で大リーグ移籍を目指した西武の松坂大輔投手(26)を落札したのは、ボストン・レッドソックスで、落札額は破格ともいうべき5111万1111ドル11セント(約60億円)だった。 スター選…

39 なめるな野球・日本の選手たち

日米野球は、米が5戦全勝で日本をたたきのめした。日本の全敗の理由はいろいろあるだろうが、野球を、いやベースボールをなめていたとしか言いようがない。 そもそも、パリーグのお荷物ともいえる楽天の野村監督が指揮をとったのも解せない。さらに、選ばれ…

02 井の中の蛙

北海道のニドムゴルフコースであったゴルフの日本女子プロ選手権で、アメリカら一時帰国した宮里藍が難コースを克服して、優勝してしまった。 コースが難しい設定だったためか、アンダーパーで回ったのは、藍ちゃんと2位の韓国人選手の2人だけだった。 実…