小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

103 どっちもどっちの西武裏金問題  常識を知らない球界人

プロ野球の西武球団のアマ選手への金銭供与問題がさらに拡大したというニュースを読んで、そう驚くことはなかった。それよりも、西武は調査委員会によくも隠さなかったものだと変に感心した。

以前に出た話は氷山の一角だと思っていたからだ。これは一西武だけのことではないはずだ。だれが見ても球界全体で大なり小なり「裏金」問題が常態化していたことを推察することができよう。

スポーツ界のアマとプロの区別がよく分からなくなっている。スポーツの祭典のはずの五輪は、いつの間にかアマ選手のみの大会でなくなり、プロ選手も参加し、五輪自体が商業化されたイベントに変わってしまった。

スポーツ選手の目標が記録の達成やベストの試合をすることではなく、究極は金のためにやるという方向に向かってしまっているのだ。

西武の問題に戻る。私は渡した西武も悪いがもらった方も同罪だと思わざるをえないのだ。双方には「ばれなければいい」という考えと、自分たちがやっていることはたぶん、ほかでもやっているので、そう大した問題にはならないという、社会常識とはかけ離れた共通した思いがあったに違いない。

かつて、球界は69年から71年の黒い霧事件や97年の脱税指南事件で大揺れになった。前者は八百長問題で西鉄のエースだった池永投手が永久除名になり、後者は経営コンサルタントに脱税の指南を受けた事件でダイエー(現在のソフトバンク)の4番打者小久保選手ら多数が出場停止の処分になった。

野球選手の社会音痴というか、常識を知らない行動は止まらない。

「野球一筋」という言葉は格好がいい。が、今回の問題を見ていると「野球バカ」に言い換えた方がいいような感情を持つのだ。西武の発表を聞いて、これはまずいと思っている球団もあるはずだ。「悪事千里を走る」で、思い当たる球団関係者は、隠し事がいつまでも続かないことを考えるべきだろう。