小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

スポーツ

600 敗者の美しさ 終わった浅田真央のバンクーバー五輪

あまりに多くのメディアで話題になっているので、このブログでは触れることもないと思った。バンクーバー冬季五輪の女子フィギュアの浅田真央のことだ。でも、やはり触れることにする。 宿命のライバルといわれる韓国のキム・ヨナに破れ、銀メダルに終わった…

596 高橋選手の故郷で  出会った柔道少年

カナダのバンクーバーで開かれている冬季五輪の男子フィギュアで銅メダルに輝いた高橋大輔選手は、岡山県倉敷市で生まれ、高校生まで過ごした。その倉敷市に行ってきた。 JR倉敷駅前には、高橋選手の五輪出場を祝う横断幕が掲げられていた。地元の期待通り…

595 光の季節の前に 冬の風を感じて

このところ、寒い日が続いている。カナダのバンクーバーでは冬のオリンピックが始まった。 2月も半ばなのだから、これが普通なのだが、あたたかさに慣れてしまった体には、早朝の風の冷たさがみにしみる。山本健吉編の「句歌歳時記」をぱらぱらとめくる。日…

594 国母とライ麦畑の少年 異端の五輪選手

バンクーバー五輪のスノーボード代表、国母和宏の「腰パン」問題の報道を見ていて、1月27日に亡くなったアメリカの作家J・D・サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」の主人公、ホールデン・コールフィールド少年を思い浮かべた。 この小説は、学校…

592 マンデラとラグビーの魅力 映画「インビクタス」

ラグビーといえば、ニュージーランドのオールブラックスを思い浮かべる。その強豪を破って、南アフリカが1995年、第3回ワールドカップの開催国として初優勝したことは、ラグビーファン以外にはあまり知られていない。 「インビクタスー負けざるものたち…

590 土俵の鬼たちよ 朝青龍の引退

相撲の横綱、朝青龍が引退した。酒に酔って知り合いに暴行し、けがを負わせた問題が、外国人横綱の致命傷になってしまった。ふてぶてしい態度から、最近ではヒール役として、スポーツ紙やテレビのワイドショーをにぎわしていた。 25回の優勝は大鵬、千代の…

574 走れメロスと柏原 箱根駅伝の奇跡再び

東京、箱根大学駅伝の往路で、東洋大学の柏原竜二が5区の山登り区間(標高差864メートル)を昨年以上の速さで駆け抜け、母校に逆転優勝をもたらした。 トップの明大と4分26秒の差もあり、7位という位置からして逆転は難しいのではないかと思われた。…

570 冬の花・浅田真央と水仙よ

全日本フィギュアの女子で浅田真央が優勝し、バンクーバー冬季五輪代表に選ばれた。不調を克服した浅田は、五輪でも活躍するに違いない。浅田には華がある。まさしく氷上に咲く冬の花である。 冬の花といえば、水仙だ。水仙は咲く姿に気品があり、浅田の滑り…

568 イチロー敬遠の裏で 野球WBC韓国の心

ことし3月、第2回のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、日本は韓国を破り、優勝した。第1回に続く連覇だった。その裏に、韓国側の国民を挙げた日本、特にイチローへの敵対意識があった。その意識が勝敗に大きな影響を与えたことを22日夜…

565 虚業に流れた5億円 五輪招致映像の不可思議

広告は虚業といわれる。その典型が2016年夏季五輪に 立候補した東京の映像制作費用だ。わずか10分間の映像に要した費用が何と5億円というのである。それを制作したのが日本を代表する広告代理店だという。 なぜ、そんなことになるのか。からくりは分…

560 石川遼の未来 モチベーションとの闘い

石川遼が18歳という史上一番の若さで男子ゴルフの賞金王になり、最優秀選手賞も獲得した。ことしの賞金総額は何と1億8万円という、同世代の若者だけでなく、多くの大人がため息をつくような夢の金額だ。 これだけの若さで、多くの先輩がなし得なかったこ…

554 サッカー審判はつらい 門外漢のつぶやき

1年後に控えたサッカーW南アフリカ大会の欧州プレーオフ、フランス対アイルラン戦の結末が面白くない。 延長前半フランスのキャプテン、ティエリ・アンリがゴール前でハンドの反則をしながら出したボールをチームのウイリアム・ギャラスがヘディングシュー…

552 浅田真央の試練 挫折を乗り越えて

夜空を見上げると、10月末の夜のように月と木星の饗宴がまばゆい。あの時は半月の下に木星が輝いていた。それがいまは全く逆転し、木星が上で月が斜め下になっている。自然の摂理を感じながら、ある少女のことを考えた。フィギュアスケート界の天才、浅田…

542 不屈の精神でMVPの松井 イチローとの比較

日本のプロ野球から大リーグに行き活躍しているイチローと松井秀喜は、どちらが大リーグの歴史に残る選手なのだろうか。 ワールドシリーズでヤンキースが優勝し、松井はMVPに選ばれた。もちろん、日本選手初の快挙である。録画したヤンキースの優勝試合を…

537 高度成長とともに 戦後を体現した大鵬さん

相撲界で大横綱、名横綱といわれる人は何人か思い浮かべることができる。その中でも「大鵬」というスケールの大きな名前は、私だけでなく多くの相撲ファンの心に残っているはずだ。その元横綱大鵬さんの納谷幸喜さん(69)が文化功労賞を受賞する。 すずや…

534 人を育てることとは  野村さんの胴上げ

プロ野球楽天の野村監督が、24日のクライマックス日本ハム戦を最後に監督の座を降りた。74歳という年齢なのに厳しい監督という仕事を続けてきたのだから、ただものでないことがよく分かる。 試合後に相手チームの日本ハムの梨田監督や稲葉選手らが、野村…

506 世界陸上マラソンのわき役 トヨタのプリウス

ドイツの首都ベルリンで開かれている世界陸上は大詰めを迎え、男子と女子のマラソンが日本時間22、23の両日相次いで行われた。男子の佐藤が6位入賞をしたのに続いて、女子では尾崎好美が銀メダルを獲得した。そのテレビ中継になぜか日本の車が頻繁に映…

505 走ること 人類はどこまで行くのか

世界陸上でジャマイカのウサイン・ボルトが100、200メートルで世界新記録を出して優勝した。特に100の9秒58という数字は、日本人には今後100年経っても、更新できない夢の記録ではないか。ほかの選手と比べて、ゆったりとした雰囲気で走るボ…

492 フジヤマのトビウオの死

この人ほど、国民的な英雄はいないだろう。水泳の古橋広之進さんだ。水泳の世界選手権が開かれているローマから、古橋さんが亡くなったという悲報が届いた。80歳だった。現地のホテルの部屋で倒れていたという。敗戦で打ちひしがれていた国民に、希望の灯…

486 離島への旅 トライアスロンのメッカ愛媛・中島

トライアスロンの島に行ってきた。私がこの鉄人レースをやるわけではない。別の用事があって島を訪れ、それを知ったのだ。忽那(くつな)諸島を知っているだろうか。実は地理が好きな私でも知らなかった。その中心の島が中島といい、愛媛県の県庁所在地、松…

484 燃え尽きるなシニアたち ワトソンを見習おう

トム・ワトソンという名前は、ゴルフに興味がない妻も知っていた。難コースで知られ、期待の石川遼も現役では最強のタイガー・ウッズでさえ予選落ちした全英オープンゴルフ。ターンベリー・エイルサコースは、天気に左右されるコースで、名だたるゴルファー…

474 「泳いで帰れ」と怒る直木賞作家 抱腹絶倒「奥田英朗」の五輪観戦記

野球のWBC大会でで日本はなぜか2回続けて優勝した。しかし、アテネ、北京のオリンピックで野球は決勝に残ることができずに胴メダルと4位に終わった。オリンピックは全世界が注目する大会であり、重圧も違うし選手の意気込みもWBCとは問題にならないはずだ。…

471 東京五輪の恩人 日系人和田勇の生涯

知人が勤務先を退職し、近く米国ロサンゼルスに行くという。ロスには「東京オリンピック開催の恩人」といわれた日系人が住んでいた。野菜や果物を扱う食品ストア十数店を営みながら、東京五輪開催を全力で応援したフレッド・和田勇である。 和田の伝記「祖国…

463 スポーツ選手の光と影 松坂に「燃え尽き症候群」を連想

スポーツは結果が一番評価される。5200万ドル(約61億円)の巨額の契約金で大リーグ・レッドソックスに入って3年目の松坂大輔の様子がおかしい。きょう現在で1勝5敗、防御率は何と8点台まで下降してしまった。不調を通り越している。 ファンの容赦な…

415 スポーツとけが WBCのハプニング

けがをしない選手こそ、一流選手だという。どんなスポーツでも、けがは付き物だが、WBCから途中で帰国することになった日本代表、村田修一内野手(横浜)のけがには驚き、同情した。 本人は肉体的な痛みに加え,決勝ラウンドに出られない、日本の公式戦に…

377 天才の出現 箱根駅伝で輝いた柏原

箱根駅伝をテレビで見るのが正月の恒例だ。その箱根に恐るべき新人選手が現れた。東洋大の1年生、柏原竜二選手だ。 往路の最終区の5区は箱根の山登りの区間で、一番過酷な区間だ。過去に名ランナーがこの区間に挑んだが、柏原はそうした先輩たちの記録を破…

370 正統派こそ 「変」に対抗する若者へ

ことしの世相を反映した漢字は「変」だそうだ。変な世の中を指しているのか、明るい社会に変わってほしいという希望を込めた意味なのか。人それぞれに受け止め方が異なるかもしれない。 こういう時代にあってこそ、真っ直ぐに生きる姿勢を持ちたいと思う。た…

316 8月(8) 平凡な日常を大事に 北京五輪に思う

北京五輪が盛大に開催されている。五輪は「平和の祭典」ともいわれた。だが、五輪の開会式に世界の首脳が参加した直後、グルジアとロシアの軍事戦闘(戦争)が始まっていた。ロシアの前大統領・プーチン首相も堂々と五輪の開会式に出席したのだから、あきれ…

315 8月(7) フェアプレーとは 北京五輪に思う

北京五輪の女子柔道で、78キロ超級の塚田真希は決勝で中国の佟文をリードしながら、残り8秒で背負い投げを打たれ、銀メダルに終わった。この試合をテレビで観戦していて、スポーツにとって大事な「フェアプレー精神」(欧州流にいえば騎士道精神か)はど…

267 泳ぐ楽しみ 1・5㌔への挑戦

北京五輪の水泳代表はそうそうたるメンバーだ。平泳ぎの北島康介、800自由形の柴田亜衣、背泳ぎの中村礼子らの泳ぎを見ていると、異次元に住む生物のようにさえ思ってしまう。それは驚異であり、垂涎の的でもある。 私は15、6年前から休みの日には近所のス…