小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

98 若年性高齢化現象 フィギュア・真央の発言

東京で開催されたフィギュアスケートの世界選手権で、ショートの失敗をフリーで取り戻し、銀メダルを獲得した浅田真央が報道機関のインタビューに応じて話した内容に少なからず衝撃を受けた。

フリーの会心の演技で、浅田は金かと思った。高得点を得て、涙を流したことはテレビで多くの国民が見ている。しかし、最終演技者の安藤美姫が無難な演技で浅田の夢を砕いて優勝した。

インタビューで浅田は最初は「銀はうれしい」と答えた。しかしその後、浅田は安藤の優勝が決まって悔しくてトイレで泣いたということが紹介されている。そのことについて答えた浅田の表現に、私は何とも言いようがないほどショックを受けた。

「なんか、だんだん年をとっていくごとに涙もろくなっちゃって……。昔は人前で泣くのは我慢してたんですけど、最近は止まらなくて。」

このカギカッコの中だけの言葉を読むと、かなり高齢の人の話だと勘違いをするのではないか。ところが、これが何と16歳の少女の発言なのだ。

昨今の若者の姿を見て「若年性高齢化現象」と私は勝手に呼んでいる。それが天才フィギュアスケーターの浅田にも伝染してしまったのだろうと思わざるを得ない。

あどけない表情で、次々に難易度の高い演技をこなしていく浅田真央。それだけに、同世代の少女より、大人に近付いているのかもしれない。

客観的に見ても世界から多くの選手が参加した大会で、浅田は外国人選手にひけをとらないスタイルと柔軟さを持っている。

それにしても、これだけ老成された言葉をいう選手も少ないと思われる。