小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

災害

1037 出会った人たちの言葉(6)完 趣味に生きるよりは

(2011年-2012年9月までの分、東日本大震災関係は1回目に掲載。肩書きは当時のまま) ▼ろう者には独自の言語と文化が ろうの子どもを持つ親は、特別なことを教える必要があると思ってしまうが、普通にやればいい。ろう者には手話という日本語の読…

1036 出会った人たちの言葉(5) 自分にできるだけのことを自分なりに

(2010年分、肩書きは当時のまま) ▼子どもの成長を支える地域の大人 子どもたちは、学校の外で知識や技術を学ぶことも多い。自分たちで工夫し、様々な体験を通じて育っていく。それを支えるのは、地域の大人たちだ。 (2010・1 学校とは別に遊びを…

1034 出会った人たちの言葉(4) 閉じこもるより街に出よう

(2009年分、肩書きは当時のまま) ▼あなたに会えてよかった 子どもたちは純真でうそがなく、ありのままの個性を見せてくれて実にかわいらしい。あなたに会えてよかった。生涯学習という言葉を聞くが、人間磨きの1年になりそう。 (2009・1 技能ボ…

1033 出会った人たちの言葉(3) 悩みを抱えて生きるのはもったいない

(2008年分) ▼若い層が発達障害児問題に目を向けて 発達障害児を支えるボランティアの輪を広げたいが、学生たちの目は老人問題の方に向いている。発達障害児問題に対し、若い層がもう少し協力してほしい。 (2008・1 発達障害児を支援するボランテ…

1032 出会った人たちの言葉(2) 私たちが必要とされるのは

(2006年12月―2007年12月) ▼廃寺の改修は事業の集大成 西圓寺の改修は、私たちがこれまでやってきたさまざまな福祉事業の集大成だ。掘り当てた温泉は地域の人たちにも大いに利用してもらいたい。 (2006・12 石川県能美市の社会福祉法人…

1031 出会った人たちの言葉(1) 東日本大震災を経験して

言葉が軽い時代だといわれる。昨今の政治家たちの言葉は特に軽薄だ。だが、この6年間に旅をしながら出会った日本内外の人たちの話からは言葉の重みをずしりと感じることが少なくなかった。そんな言葉の数々を紹介したいと思う。 1回目は2011年3月11…

1028 除染作業の公園で 寒露の季節に

二十四節季の「寒露」(ことしは10月8日)が過ぎ、朝夕の散歩にはシャツの上に薄いジャンパーを羽織らないと肌寒さを感じるようになった。宮城の被災地に入る前に福島県郡山市に行った。風が冷たく、市内を歩いていると背中がつい丸くなる。 午前10時過…

1027 東日本大震災被災地にて 自然の脅威を乗り越えて

宮城県の石巻、女川という東日本大震災の被災地にも時が流れ、あれから1年7カ月が過ぎた。被災地はどのように変化しているのだろうか。天童荒太の「静人日記 悼む人Ⅱ」をかばんにしのばせて被災地へ出向いた。 被災地に立って、日本の隅々まで歩いた民俗学…

1026 戦争・高齢者・大震災の本 トルコの旅で読んだ本

急に涼しくなり、「読書の秋」が到来した。電車の中では携帯電話の画面を見つめる人が目立つが、本を手にした人を見かけると嬉しくなる。そんな季節である。以下はトルコの旅の合間に読んだ本。 「ザ・コールデスト・ウインター朝鮮戦争」(米国のジャーナリ…

1014 福島の現状は? 原発事故から子どもを守る闘い続ける知人

東日本大震災から1年半が過ぎたが、復興は牛の歩みよりも遅いと感じる。特に天災に加え原発事故という人災に見舞われた福島は深刻さを増している。そんな中で、地域にホットスポットを抱える北部の伊達市が小学生を対象に教育の場を一時県外に置く「移動教…

1013 あきれた流用続出の大震災復興予算 NHK特集で怒り心頭

このブログでは、あまり悪口や罵詈雑言は書かないことを心掛けてきた。しかし、今度ばかりは、その原則を破ることにする。日本の官僚機構はここまで堕ちてしまったのかという思いを強くする報道番組を見たからだ。 当初の放送日、その番組を見落としたのだが…

1011 共通する叫び・ムンクと飛鳥さんの絵 東日本大震災から1年半に思う

きょうで東日本大震災から1年半が過ぎた。先日、大きな被害を受けた宮城県石巻市の沿岸部に行ってきた。がれきが撤去された中心部から沿岸部に入ると、津波で壊されたままの数多くの廃屋がそのまま残っていた。人が戻ることがないこの地区が将来どのような…

1009 気骨あるジャーナリストの怒り 大飯原発再稼働の裏事情

このところ雷雲の発生が多く、よく雨が降る。一方で首都圏の水がめは取水制限をするほど、水がめの周辺では雨が少ないのだから、この夏の天気はおかしい。雨が上がった夕方、散歩をしていたら、夕焼けの空に雷雲とともに秋を思わせる雲が浮かんでいた。 そん…

1003 3・11日本の新聞は敗北した NYタイムズ東京支局長の新聞批判

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に関して、おびただしいニュースが流されたにもかかわらず、特に原発事故の報道にはいらだちを感じた。事故をめぐって日本のマスコミ、その中心である新聞の報道は頼りなかった。原発のメルトダウンやSPEED(緊…

993 大災害に立ち向かう矜持 山本一力著「菜種晴れ」を読む

昨年3月11日の東日本大震災の直後に、山本一力の「菜種晴れ」は文庫本として中央公論から発売になった。単行本としては2008年3月の発行だから3年後の文庫本化である。江戸末期の時代小説である。 大火と大地震に襲われた江戸の下町。その中で生き抜…

986 原発にクラゲは想定外なのか 海外の発電所も被害

国論を2分しながら、野田首相の強引な政治主導で再稼働した関電大飯原発3号機の海水取水口に大量のクラゲが発生し、稼働に影響があるというニュースが流れた。 福島の事故の後遺症が癒えないまま再稼働した大飯原発だが、自然界を甘くみてはならない、自然…

986 原発にクラゲは想定外なのか 海外の発電所も被害

国論を2分しながら、野田首相の強引な政治主導で再稼働した関電大飯原発3号機の海水取水口に大量のクラゲが発生し、稼働に影響があるというニュースが流れた。 福島の事故の後遺症が癒えないまま再稼働した大飯原発だが、自然界を甘くみてはならない、自然…

984 東電の非常識 受刑者への賠償と浪江町へのでたらめ回答

福島第一原発事故をめぐって、東京電力が福島刑務所の受刑者80人余に1人当たり8万円の賠償金を払っていたというニュースを産経新聞の報道で知った。受刑者といえども、同じ人間である以上、法的には賠償金をもらってもいいのだろう。だが、刑務所内にい…

984 東電の非常識 受刑者への賠償と浪江町へのでたらめ回答

福島第一原発事故をめぐって、東京電力が福島刑務所の受刑者80人余に1人当たり8万円の賠償金を払っていたというニュースを産経新聞の報道で知った。受刑者といえども、同じ人間である以上、法的には賠償金をもらってもいいのだろう。だが、刑務所内にい…

982 無力が悔しい 福井晴敏著「小説・震災後」を読んで

「このどうしようもない世界で、これから生きていかなきゃなんないのはおれたちだ。返せよ、未来を」。福井晴敏の「小説・震災後」の中で、高校生の長男が父親に向かってこう叫ぶ場面がある。東日本大震災と東電福島原発の事故発生後の東京のサラリーマン家…

982 無力が悔しい 福井晴敏著「小説・震災後」を読んで

「このどうしようもない世界で、これから生きていかなきゃなんないのはおれたちだ。返せよ、未来を」。福井晴敏の「小説・震災後」の中で、高校生の長男が父親に向かってこう叫ぶ場面がある。東日本大震災と東電福島原発の事故発生後の東京のサラリーマン家…

981 風化してはならない大震災 どじょうの習性は神経質で隠れること 首相との共通項は

東日本大震災からまだ1年3カ月余しか経ていない。大震災は津波被害だけでなく、それによって原発事故が福島の人たちに牙をむいた。原発は人類にとって神の火なのか悪魔の火なのかよく分からなかった。 しかし東京電力という独占企業が運用していた福島原発…

981 風化してはならない大震災 どじょうの習性は神経質で隠れること 首相との共通項は

東日本大震災からまだ1年3カ月余しか経ていない。大震災は津波被害だけでなく、それによって原発事故が福島の人たちに牙をむいた。原発は人類にとって神の火なのか悪魔の火なのかよく分からなかった。 しかし東京電力という独占企業が運用していた福島原発…

980 いのちの重さを思う時間 3冊の本・がんと闘う友人・マーラーの5番

この数日は、密度の濃い時間を送った。毛色の変わった3冊の本を読み、がんと闘う友人と話をし、東日本大震災の被災地にも出かけた。友人は、奇跡的にがんを克服しつつある。それは人間の生命力の強さを感じさせ、大震災以来、暗く沈んでいた心に一筋の光明…

975 日本沈没への不安 ある若者の憂い

「このままでは日本は沈没してしまうのではないか」。希望して入った組織で意欲的に働く若い女性から、最近こんな言葉を聞いた。政治も経済も行き詰まっていて、閉塞社会がどんどん進行しているのではないかと危惧しているのだ。 特に昨今の政治状況はひどす…

975 日本沈没への不安 ある若者の憂い

「このままでは日本は沈没してしまうのではないか」。希望して入った組織で意欲的に働く若い女性から、最近こんな言葉を聞いた。政治も経済も行き詰まっていて、閉塞社会がどんどん進行しているのではないかと危惧しているのだ。特に昨今の政治状況はひどす…

970 谷風、雷電と稀勢の里 失望した大相撲夏場所

大相撲の夏場所は、意外にもモンゴル出身の平幕力士・旭天鵬が優勝した。37歳という年6場所制になってからの最高齢での優勝だそうだ。途中までトップを走っていた稀勢の里は、終盤で大崩れとなり、4敗もしてしまい、横綱の白鵬も何と5敗。大関陣も千秋…

963 チャーミングな桃の畑が・・・ 原発事故1年後の福島の春

桃の産地として知られる福島県北の伊達市で、桃が開花したというメールが知人から届いた。甘い香りが漂ってくるような、美しい写真が添付されていた。 「天下無敵」「チャーミング」(魅力的)「私はあなたのとりこ」など、桃の花言葉はいろいろあるが、やは…

956 大人も惹きつけられる児童書 沢木耕太郎の「月の少年」

まさか、沢木耕太郎が児童書を書くとは思わなかった。青年時代に香港からからロンドンまでを、バスだけを使って旅をした体験記「深夜特急」でノンフィクション作家としての地位を確立した沢木がこうしたジャンルに挑戦したことが面白いと思ったのか、朝日新…

947 表皮をそがれた柿、切り倒された桃の木 原発事故で果樹の名産地が危機

原発事故で福島県の田村市や川内村の一部に設定された警戒区域が解除になり、一部の住民が一時帰宅したというニュースが流れた。しかし、住民が元通りの生活に戻ることができるという保証は全くない。 この地区よりも北部の伊達市はホットスポットといわれる…