小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

986 原発にクラゲは想定外なのか 海外の発電所も被害

画像  国論を2分しながら、野田首相の強引な政治主導で再稼働した関電大飯原発3号機の海水取水口に大量のクラゲが発生し、稼働に影響があるというニュースが流れた。 福島の事故の後遺症が癒えないまま再稼働した大飯原発だが、自然界を甘くみてはならない、自然界には、まさしく人智の及ばない何かがあることを痛感する。

 それを野田首相は理解しているのだろうか。 原発事故をめぐって「想定外」という言葉が東電、経産省原子力関係学者らから連発された。想定していなかった津波に襲われたという言い訳だった。今回の大量クラゲの発生も想定外だとしたら、馬鹿げた話である。

 日本海では、かなり前からエチゼンクラゲという巨大クラゲが発生し、水産業に影響を与えているとして問題になっているそうだ。日本沿岸だけでなく、昨年7月には地中海に面するイスラエルの火力発電所が大量発生した直径50センチの大型クラゲのためトラブル起きていたというのだ。

 この火力発電所は冷却用水として海水を使用している。ところが、海水から流れ込んだクラゲが取り込み口のフィルターに詰まり冷却システムにトラブルが発生してしまったのだ。まるで大飯の前触れみたいな現象だった。これを伝えた外電は、火力発電所の職員は大量のクラゲの除去作業に連日連夜追われ、さらにクラゲの悪臭に参っていると伝えている。

 人間の営みに対する自然界の反発と言ったら大げさだろうか。決してそうではないと思う。寺田寅彦中谷宇吉郎のように物の見方が幅広い科学者は少なくない。しかし、今回の原発事故を見る限り、原子力関係学者は専門馬鹿とも思える実態をさらしてしまった。 大飯原発=「クラゲの多い原発」は、前途多難であることは間違いない。クラゲ騒動だけで済めばいいのだが・・・。