小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

政治

1325 思い浮かべる漢字は「遠」 旅、選挙、大震災……

庭から出ると遊歩道がある。その植え込みの中から、一本だけ背が高くなった水仙の花が咲いた。自然の生命力が、悪条件を乗り越えて花を咲かせたようだ。 正岡子規は「水仙の僅に咲て年くれぬ」(明治30年)という俳句をつくっている。きょうは23日だから、こ…

1320 おかしな解散の儀式 劣化する政治

衆議院が解散し12月14日に選挙が実施される。伊吹文明議長が解散の詔書を読み上げる際、「バンザイ」の声が途中で出てしまい、終わった後議長が「バンザイはここでやってください」と促すというおかしな解散の儀式だった。 政治評論家といわれる人たちも…

1095 たばこ悪者の時代の頑固な友人 米ではついに千円条例

米国最大の都市ニューヨーク市は、喫煙対策強化のために、たばこ1箱当たりの最低販売価格を10・50ドル(約1000円)にすることなどを盛り込んだ条例案を市議会に提出したという記事が先週出ていた。 日本でも一時、たばこ1000円説が話題になった…

1090 鈍牛・知性派首相の生涯 辻井喬・茜色の空

自民党の現職の総理大臣(首相)だった大平正芳氏が急死したのは1980年(昭和55)6月12日のことである。大平内閣の不信任決議案が可決され、衆院を解散した大平氏は、5月30日の公示日、新宿で第一声の街頭演説をしたあと体調不良となり、翌日虎…

1080 「いのちの賛歌」とアルジェリア人質事件の被害者たち 尊厳・最高の価値のはずなのに

友人のブログ「冬尋坊日記」の最新の記事にマザー・テレサの「いのちの賛歌」という詩のことが出ていた。その詩を読みながら、アルジェリアのイスラム武装勢力による人質事件のことを考えた。現地でプラント建設に当たっていた日本人を含む多くの命がこの事…

1067 2013年の日の出 東北再生へ!の思い

朝、6時55分に目が覚め、これはいかんと慌てて身づくろいをして、犬たちと外へと飛び出した。初日の出を見るためだ。毎年、同じ場所で見ている。歩いて数分の橋の上だ。近づくと、多くの人が解散していた。早足で橋に行くと、太陽が昇りつつあった。 私の…

1066 2012年大みそかの夕暮れ 常識失われし時代に

夕方、妻が1階から叫んでいる。「西の空がきれいよ」と。あわてて、2階からカメラを持って、外へ飛び出した。きょうは、大みそか。この1年、いろいろなことがあった。愛犬のhanaは大病し、緊急手術を受けた。ふだんなら、私も連れて行ってと追いすが…

1060 最低の投票率と世界最高齢に思う 時代を象徴する数字

数字のことを書く。一つは16日に投開票された衆院選(小選挙区)の投票率が1996年の59・65%を下回る59・32%と戦後最低を記録したこと。もう一つは、世界最高齢といわれた115歳の米国の女性が亡くなり、京都府京丹後市在住で115歳の木…

1047 城下町・関宿にて 終戦処理の鈴木貫太郎ゆかりの町

関宿という地名を知っている人は、歴史好きなのかもしれない。関宿は1590年(天正18年)に松平康元(徳川家康の異父弟)が2万石で城主になって以来、23代にわたって譜代大名が配置された城下町である。江戸時代は、由緒ある藩だった。 それから時代を経て…

1046 何を考えてのバンザイか さて選挙はどうするか

昨日(11月16日)、衆議院が解散し12月16日に選挙が実施される。横路孝弘議長が解散の詔書を読み上げると議場にいた大半の議員は、立ち上がって「バンザーイ」と叫んでいた。いつごろから、解散の際に、この万歳が行われるようになったのかは定かで…

1046 何を考えてのバンザイか さて選挙はどうするか

昨日(11月16日)、衆議院が解散し12月16日に選挙が実施される。横路孝弘議長が解散の詔書を読み上げると議場にいた大半の議員は、立ち上がって「バンザーイ」と叫んでいた。いつごろから、解散の際に、この万歳が行われるようになったのかは定かで…

1013 あきれた流用続出の大震災復興予算 NHK特集で怒り心頭

このブログでは、あまり悪口や罵詈雑言は書かないことを心掛けてきた。しかし、今度ばかりは、その原則を破ることにする。日本の官僚機構はここまで堕ちてしまったのかという思いを強くする報道番組を見たからだ。 当初の放送日、その番組を見落としたのだが…

1009 気骨あるジャーナリストの怒り 大飯原発再稼働の裏事情

このところ雷雲の発生が多く、よく雨が降る。一方で首都圏の水がめは取水制限をするほど、水がめの周辺では雨が少ないのだから、この夏の天気はおかしい。雨が上がった夕方、散歩をしていたら、夕焼けの空に雷雲とともに秋を思わせる雲が浮かんでいた。 そん…

990 WBC野球不参加とオスプレイ たかがスポーツというなかれ

アメリカとの関係を象徴する2つの出来事があった。野球と政治の話である。ひとつは来年予定されているWBC野球に対し、日本のプロ野球選手会が不参加を決めたというニュースだ。 もうひとつは、事故が相次ぎ、配備に反対の声が高まっている米軍の軍用機・…

981 風化してはならない大震災 どじょうの習性は神経質で隠れること 首相との共通項は

東日本大震災からまだ1年3カ月余しか経ていない。大震災は津波被害だけでなく、それによって原発事故が福島の人たちに牙をむいた。原発は人類にとって神の火なのか悪魔の火なのかよく分からなかった。 しかし東京電力という独占企業が運用していた福島原発…

960 悪い奴ほどよく眠る 衰退する日本政治

資金管理団体の土地取引をめぐって、政治資金規正法違反で強制起訴されていた小沢一郎・元民主党代表の判決は、大方の予想通り無罪という結果になった。裁判の過程をみていると強制起訴の根拠である検察の捜査資料の信用性が崩され、国民感情は別にしてこ無…

959 偉大な米大統領・急死の真相 歴史の襞に埋もれた事実を掘り起こした記者魂

米国大統領として4選を果たしたのは32代のフランクリン・ルーズベルト(1882~1945。本書はローズベルトと表記)のみで、彼はいまも偉大な大統領として、米国の歴史に名を残している。 ルーズベルトが静養先の山荘で脳出血のため急死したのは、第…

936 政治・メディアに求められる宏大な和解 内部崩壊への備え

思想家・内田樹(たつる)氏の「日本辺境論」を読んだ人は多いだろう。内田氏は最近「呪いの時代」という本を出した。内田氏によると、最近の日本社会は「自己の正当性を主張し、他人の揚げ足を取って喜び、他者の痛みに思いが至らず、幼稚な論理を振り回す…

936 政治・メディアに求められる宏大な和解 内部崩壊への備え

思想家・内田樹(たつる)氏の「日本辺境論」を読んだ人は多いだろう。内田氏は最近「呪いの時代」という本を出した。内田氏によると、最近の日本社会は「自己の正当性を主張し、他人の揚げ足を取って喜び、他者の痛みに思いが至らず、幼稚な論理を振り回す…

931 普天間問題特ダネの行方 一つになった海と空の色の下で

沖縄に所用で行った。空港で地元の新聞・沖縄タイムス朝刊を買うと、一面トップに「米、辺野古断念へ」という大きな見出しが躍っている。4日のことである。 「平安名純代・米国特約記者」という署名記事で、沖縄の米海兵隊のグアムへの移転をめぐり米国防総…

930 天を怖れよ 小川未明も嘆く世相

児童文学者・小川未明の「天を怖れよ」という短文を読んだ。9歳になった犬を飼っている。ひときわ寒いこの冬でも、元気そのものだ。毎朝の散歩道をすたすたと歩く犬を見ながら、動物に対し深い愛情を示した未明の文章を反芻する。 《人間は物を言うことがで…

875 「どんな本を読み、どんな作品に救われたか」 震災後の本の読み方

《東日本大震災は流れ去って消えていくものとは違う。この国の歴史に深々と打ち込まれた杭として、おそらく将来の長きにわたって、優れた文学作品を語る際の座標軸のひとつになりうるだろう。たとえば、僕はこんなことを考えるのだ。震災の直後にどんな本を…

864 「それでも、なおの頑張りを」 時代の風・伊佐木健著

いま、日本の政治は危機にあるといっていい。それを政治家は意識しているのだろうか。そんな思いを抱くのは私だけではないだろう。そんな時、知人の伊佐木健さんから「時代の風 20―21世紀の政治をめぐって」(WWB/ジャパン出版部刊)という本が届いた…

854 未知数の大臣たちへの不安 5人は初耳の野田内閣

夕刊を見て、ショックを受けた。野田内閣の新しい大臣の顔ぶれが載っている。18人の顔写真とともに、経歴が紹介されていた。そのうち朝刊に載っていた藤村修という官房長官を含めて5人が全く知らない人物だった。 政治に無関心ではないが、こんな人がいた…

854 未知数の大臣たちへの不安 5人は初耳の野田内閣

夕刊を見て、ショックを受けた。野田内閣の新しい大臣の顔ぶれが載っている。18人の顔写真とともに、経歴が紹介されていた。そのうち朝刊に載っていた藤村修という官房長官を含めて5人が全く知らない人物だった。 政治に無関心ではないが、こんな人がいた…

852 言葉を扱う政治家なのに 民主党代表選の記者会見を見る

菅首相が正式に辞任を表明し、次の首相を決める民主党の代表選が29日に実施されるという。5人の候補者が日本記者クラブで会見しているのをテレビで見た。民主党で依然力を持っているという小沢、鳩山両氏が支持を打ち出した海江田万里氏(辞任の時期を失し、…

841 歯車が狂うと・・・ 想像力の欠如、それとも確信犯?

腹を立てるのは体に悪いといわれる。できるだけ笑顔で過ごすことが健康を維持する秘けつでもあるそうだ。それを知りつつ、最近腹を立てることが少なくない。 東日本大震災と東電福島第一原発事故の国や東電の対応には「憤激」という言葉を使わざるを得ないほ…

832 暗い街に住む魔物とは 痛んだ被災者の心を癒すには

東電福島第一原発事故の収束の見通しさえはっきりしないのに、海江田万里経済産業相が突然、全国の原発の安全宣言を行い、再稼働を促したことに対し、原発を抱える知事たちから批判、反論が続出している。原発がない大阪の橋下徹知事でさえ「無責任だ。経産…

824 鈍感な国会議員たち 想像力の欠如を露呈

鈍感で想像力に欠け、聞く耳を持たない人たち―。最近の国会の動きをみていると、こんな言葉に集約されるのではないかと思う。自民、公明、たちあがれ日本の3党が今夕、菅内閣の不信任決議案を提出した。民主党の小沢グループも同調するらしい。それに対し、…

819 救世主がいない政界 落第続きの菅氏の1年

菅直人氏が94代の総理大臣に就任したのは2010年6月8日だから、あと2週間で就任1年になる。時間の流れがいかに速いかを実感するとともに、彼がこの1年、一体何をやったのかと考える。 就任直後の唐突な消費税増税発言が影響して、7月の参院選は民…