小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1046 何を考えてのバンザイか さて選挙はどうするか

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 昨日(11月16日)、衆議院が解散し12月16日に選挙が実施される。横路孝弘議長が解散の詔書を読み上げると議場にいた大半の議員は、立ち上がって「バンザーイ」と叫んでいた。いつごろから、解散の際に、この万歳が行われるようになったのかは定かではない。それにしても、形勢が不利でこの議場には戻れないと思っている議員たちは、何を考えてながら万歳をしたのだろうかと思う。

 万歳は基本的には、喜びや祝いを表す時示す動作だ。しかし、太平洋戦争中、敗色濃厚になった日本軍は米軍に対し玉砕攻撃をかけ、兵隊たちは「バンザーイ(天皇陛下バンザーイとも」と叫びながら突撃したという悲しい歴史もある。

 国会での万歳は、衆院解散が天皇の国事行為であるため、天皇に対する敬意を表すためという説や、万歳をやると、選挙に落ちないというジンクスもあるとのことで、議員によってはそれぞれの思いを込めた動作なのだろう。

 野田首相は8月、消費税増税法案に賛成してもらう条件として、自民党谷垣禎一前総裁、公明党山口那津男代表に対し「近いうちに解散し、国民に信を問う」と約束した。しかしその約束をなかなか実行しなかったため、昨今は「うそつき首相」とさえ言われるほど、批判が強まっていた。

 今度の解散は民主党内の年内解散反対の声を押し切り「自民や公明への逆襲」の意味を込めて伝家の宝刀を抜いたのではないかという見方ができるという。いわば、捨て身の解散であり、選挙後は政権を運営した時代が懐かしく思うくらいの力が落ちた政党になることを覚悟しているのではないかと推察する。

 その意味では、野田首相にとって苦渋の選択だったといえ、彼自身はとても「バンザーイ」といえる心境ではなかったはずだ。同時に、これまで第1党として3年間、政権運営をしながら失政続きで国民から見放された感がある民主党の多くの議員も、選挙を考えると苦々しい思いになったのではないか。

 新聞には、次の選挙の立候補予定者が掲載されている。私の住む地区の小選挙区では4人の名前が出ている。民主党は新人(議員秘書、女性)、自民党が前職(前回は比例当選)、それに7月に民主党から国民の生活が第一移った前職、さらに共産党の新人の計4人である。この顔ぶれを見て失望した。

 投票したいという人物がいないからだ。さて、どうするか思案せざるを得ない。 「第3極」といわれ、連日動向が報道されている日本の維新の会と太陽の党がきょう合流することが決まった。選挙目当ての「野合」という声が強いが、どう見ても、昨今の橋下徹大阪市長東京都知事を突然やめた石原慎太郎氏の動きはそれに近いと思わざるを得ない。

 2人が首長としての任を果たしているとえはとても思えない。だから、この第3極から私の選挙区にも誰かが出てくるかもしれないが、期待はしない。 さて私自身、これまでの人生の中で万歳という動作をした明確な記憶がない。小学校の運動会か何かで経験したかもしれないが、社会生活のかかわりの中では全くない。議員たちのような派手なパフォーマンスが嫌いで、そうした場を敬遠したのかもしれない。

 それでも2011年に新しい家族が誕生した時や女子サッカーなでしこジャパンがワールドカップで優勝した際など、嬉しい出来事には心の中で万歳と叫んでしまうのだから、私にとって万歳は決して死語ではない。だが、今の政治を見ていると、万歳と素直に言える状況が実現するまでには時間がかかることを覚悟しなければならないだろう。

  写真は夜明け直後の朝焼けの空