小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

852 言葉を扱う政治家なのに 民主党代表選の記者会見を見る

 菅首相が正式に辞任を表明し、次の首相を決める民主党の代表選が29日に実施されるという。5人の候補者が日本記者クラブで会見しているのをテレビで見た。民主党で依然力を持っているという小沢、鳩山両氏が支持を打ち出した海江田万里氏(辞任の時期を失し、辞表を菅首相に拒まれた経産相だ)を注目してみた。首相の器として、どうかと思った。他の候補も似たりよったりだが、キレの良さは海江田氏から感じることはできなかったのだ。

  海江田氏は、代表選への出馬に当たって、「党運営は民主党の総力を挙げて難しい問題に取り組まなければいけない」と強調し、党員資格停止処分を受けている小沢氏の処分見直しを言明した。それによって小沢、鳩山両氏は海江田氏支持を打ち出した。小沢グループには、親分に代わって代表選に出るような人材はいないから、次善の策だった。

  それにしても、刑事事件被告で党員資格停止の小沢氏が党の代表選にくちばしを入れるのだから、おかしい。鳩山氏にしても、首相を落第し政界引退まで口にしたのに、公然と活動を続けている。2人は恥という言葉は知らないのだろう。いい加減にしてほしいというのが大方の思いだろう。もう、2人の顔をテレビは映さないでほしい。

  そんな恥を知らない2人に推された海江田氏は、日本記者クラブで小沢氏の扱いについて「民主党の総力を挙げて難しい問題に取り組まなければいけない」という言葉を繰り返した。質問をごまかしていると思った。しつこく小沢氏との関係を聞かれると、「公平じゃない。私だけでなくほかの人にも聞いて・・・」と、感情的になっていた。

  福島在住の詩人、和合亮一は、政治家について次のように述べている。

 「詩人と同じように、言葉を扱う仕事が政治家だ。その政治家たちに国家よりも個人を大切にするという考え方がないと、この国は戦前と何ら変わらない。日本の政治家は集団が優先で、事なかれ主義で本当の意味でも民主主義をはき違えている。個の言葉で人に訴えかけることのできる政治家がいないのは、言葉の 衰退を招いていることと同義だ。政治家を信用できないから言葉の力も信用しない」。

  政治家のごまかしの言葉を、東日本大震災の被災者たちは見破っている。