小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

824 鈍感な国会議員たち 想像力の欠如を露呈

 鈍感で想像力に欠け、聞く耳を持たない人たち―。最近の国会の動きをみていると、こんな言葉に集約されるのではないかと思う。自民、公明、たちあがれ日本の3党が今夕、菅内閣不信任決議案を提出した。民主党小沢グループも同調するらしい。それに対し、東北の被災地の声が届いている。「いまは政局、政争より被災地の復興であり、原発事故の一刻も早い収束に力を注ぐべき時なのに、何をやっているんだ」と。

  本当に、国会議員は何をやっているのだろうか。先日は小沢一郎民主党元代表渡部恒三最高顧問が合同誕生会をやったという報道があった。2人は被災地の岩手と福島から選出された。いま、両県の未来は不透明であり、のんきに誕生会をやっている時ではない。

  渡部氏は福島に原発を誘致した代表的人物であり、つい、最近までは陸山会事件で起訴された小沢氏を厳しく批判していた。それこそ「野合」という言葉が当てはまる。

  内閣不信任決議案を出した自民党も一枚岩ではないようだ。報道によると、これに対し中堅・若手からは「東日本大震災への対応を優先し、被災者不在の政争は避けるべきだ」と、不満の声が上がったという。それは常識的判断だ。「震災対応を優先すべきだ」という若手議員の声を無視して、自民の谷垣氏や公明の山口氏は勝ち目があると思っているのだろうか。

  もちろん、被災地からはいまの政治に対しいい加減にしてほしいという声が相次いでいる。ところが、それが政界には届いていないのか、届いていても無視をしているのか、どちらかなのだろう。

  きょう、国会であった党首討論をテレビで見た。終了後、笑顔の議員たちがテレビに映っていた。深刻な話題のあと、握手しながら笑う議員の姿に、避難所で暮らす多くの人は失望したに違いない。

  たしかに、菅首相指導力がないし、大震災対策は後手後手だ。こうした菅政権を批判するのは簡単だ。でも、そのあとの具体的な方策はあるのだろうか。あったら、聞きたいと思ったが、それが示されないままに不信任議案が提出されたのだ。可決、否決にしても国民の大半は「こんな政界なら不要だ」と、見放してしまうだろう。

  小沢、渡部氏は選挙区に帰り、頭を冷やして出直すか引退をすべきだと思う。