小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2040「賢さ」とは 感染爆発列島に思う

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 いわゆる「記紀」といわれる古事記(712年に編纂された天皇家の神話)と日本書紀(720年に完成した日本の正史)には、第10代崇神(すじん)天皇の時代に大きな疫病(現代の感染症か)が流行したことが書かれている。日本書紀によれば、当時の人口の半分が死に絶えたという。近所を散歩していたら、神社の入り口に、そのことが書かれた「流行り病と神への祈り」という案内掲示があった。このところ毎日コロナの感染爆発(13日の全国の感染者は初めて2万人を超えた)のニュースに接しているため、この掲示の前を素通りはできなかった。

  歴史には正史と稗史・外史があり、記紀は正史だから、支配者側の視点で書かれたことは言うまでもない。その正史でも触れているから、神話時代(崇神天皇は実在の可能性のある初めての天皇といわれる)に、すさまじい疫病が流行したと言い伝えられていたのだろう。疫病の流行に対し崇神天皇がどんな対応をしたかの説明は下の写真を参照してほしいが、このところの感染爆発に対し、菅首相が国民向けの明確なメッセージをなぜ出さないのか気になる。まさか「お手上げ状態」に陥っていることはないだろうな……。新聞には「災害級の感染爆発列島」という恐ろしい見出しが出ており、こんな時に首相はどうしたのかと、危ぶむのは私だけではないだろう。

 こんな中で、五輪に続き24日からパラリンピックが開催される予定だ。新聞には東京、千葉、埼玉は原則無観客、静岡県は一部観客を入れる方向で政府や大会組織委員会が調整に入った―という記事が出ている。あれぇ、じゃあ神奈川はどうなのと私は思うのだが、何の説明もない。調べて見ると、パラリンピックの競技が行われる予定はこの1都3県のみで、神奈川ではないから、新聞には書かなかったのだろう。それにしても不親切な記事ではある。そして、この厳しい状況で大会開催は可能なのだろうかと、首をかしげる。小中高生に観戦させるという案も検討されていると聞くと、感染爆発状態なのに大丈夫なのか、大会関係者はコロナなどどこ吹く風なのかと思ってしまう。

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  ここで「賢さ」というトルコの小話を一つ……。

 ある日、一人がホジャに尋ねた。「どうしたら、賢くなれるもんですかいのう?」

 ホンジャが答えた。「いつも、賢くて学のある者の話すことをよく聞くことじゃ。そして、自分の話すときにゃ、自分の言っておることをよく聞くことじゃ」

               (赤松千里訳・ナスレッディン・ホジャ小話集より)

 この小話を読んで、つい首相や政治家のことを考えてしまうのです。ずる賢い人(いわゆる政商や曲学阿世の人?)の話をよく聞いていると、ずる賢くなって政治献金をごっそり集めてしまう。自分の話す時に自分の言っていることをよく聞いていれば(話す中味をちゃんと分かっていれば)、大事なあいさつの1頁を読み飛ばすことはない、ということになるでしょうね。 

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