小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

俳句

1430 大空に輝く初日に寄せて 届いた「古里はいま」の詞

「大空のせましと匂う初日かな」(田川鳳朗) 6時半前に起き、近くの公園のラジオ体操会場に行くと参加者は10人余と普段の3分の1程度しかいない。東の空には金星が西の空には半月と木星が輝いている。体操が終わって、散歩コースの調整池に向かう。7時…

1426 風景との対話 冬の空を見上げて

朝焼を見た。俳句歳時記(角川学芸出版)で調べてみると、夏の季語の天文の項にあって「日の出間際の東の空が赤く染まる現象で、夏に多い。俗に朝焼の日は天気が下り坂になるといわれる」という説明が付いている。それにしても、空気が乾いたこの季節(冬)…

1426 風景との対話 冬の空を見上げて

朝焼を見た。俳句歳時記(角川学芸出版)で調べてみると、夏の季語の天文の項にあって「日の出間際の東の空が赤く染まる現象で、夏に多い。俗に朝焼の日は天気が下り坂になるといわれる」という説明が付いている。それにしても、空気が乾いたこの季節(冬)…

1416 夜長の季節の本の読み方 あなたは寝過ぎ派、寝不足派?

読まぬ男は夜長哉 正岡子規の句である。秋の夜長、本を読まない男は寝過ぎ、読む男は寝不足になるというのである。テレビやスマホなど、いまの時代は本を読まなくとも夜更かしになる材料は事欠かず、寝不足派が圧倒的に多いのではないか。 ヘルマン・ヘッセ…

1412 湖とりまく山の紅葉 日光にて

湖をとりまく山の紅葉かな 俳人の正岡子規が日光を訪れたのは明治25年10月30日のことだ。前日、宇都宮に入った子規はこの日、日光に足を伸ばし、華厳の滝や中禅寺湖を見て、翌31日に東照宮に参拝している。子規はこの旅で『日光の紅葉』という俳句入りの短い…

1412 湖とりまく山の紅葉 日光にて

「湖をとりまく山の紅葉かな」 俳人の正岡子規が日光を訪れたのは明治25年10月30日のことだ。前日、宇都宮に入った子規はこの日、日光に足を伸ばし、華厳の滝や中禅寺湖を見て、翌31日に東照宮に参拝している。子規はこの旅で『日光の紅葉』という俳句入りの…

1411 会津の歴史が詰まる古刹 国宝を持つ勝常寺

「山は暮れて野は黄昏の薄哉」(与謝蕪村) 蕪村は江戸時代を代表する俳人で、絵師でもある。先日、未確認の俳句212句が俳句集「夜半亭蕪村句集」に収録されていたというニュースがあり、蕪村の俳句の奥の深さを感じたものだ。秋の気配が漂う会津や日光を…

1407 垣間見る山頭火の世界 どこからともなく秋の雲

夜が明けても見える月、あるいは明け方まで残っている月のことを「残月」という。朝、西の空を見ると、すじ雲(巻雲)を従えて白くて丸い月が、すすきの彼方に浮かんでいた。一昨日の夜は、だれが名づけたのかスーパームーン(要するに満月)だった。白い残…

1405 見えそうな金木犀の香り 開花した秋の花

見えさうな金木犀の香なりけり(津川絵理子) 金木犀が開花した。例年よりかなり早い。辞典には「中国原産で、仲秋のころ葉腋に香りの高い小花を多数つける。橙色の花を開くのが金木犀、白いものは銀木犀という」と出ている。 わが家には金木犀が2本、銀木…

1403 きょうは子規のへちま忌 「言葉はこの世の屑」なのか

正岡子規は1902年(明治35)9月19日に闘病の末、34歳で亡くなった。113年前のきょうのことだ。糸瓜忌である。子規の死を知った親友、夏目漱石の句と子規最後の句は9月1日のブログで紹介した。明日20日は彼岸の入り、子規の句集を読み直した。 子規の句に「一…

1396 子規の9月 トチノミ落ちて秋を知る

俳人の正岡子規が亡くなったのは1902年(明治35)9月19日で、白露の末候「玄鳥去る」(つばめさる)のころだ。当時は秋のたけなわだったかもしれないが、現代は残暑厳しいころである。ロンドンに留学中だった親友、夏目漱石に子規の訃報が届いたのはそれか…

1396 子規の9月 トチノミ落ちて秋を知る

俳人の正岡子規が亡くなったのは1902年(明治35)9月19日で、白露の末候「玄鳥去る」(つばめさる)のころだ。当時は秋のたけなわだったかもしれないが、現代は残暑厳しいころである。ロンドンに留学中だった親友、夏目漱石に子規の訃報が届いたのはそれか…

1394 ああ田沢湖よ 秋田を歩く

過日、晩夏の秋田を歩いた。角館も田沢湖も人影はまばらで、昨今話題の中国人観光客の姿も見かけなかった。秋田新幹線の田沢湖駅はふんだんに秋田杉を使った美しい建物だった。私がこれまで見た中では北海道の旭川駅とともに気に入った建物だ。だが、駅前は…

1393 「現代を憂え、戦後をかみしめる」 ある句会にて

何度も書いているように、今年は戦後70年である。この間、日本は平和を享受してきた。だが昨今、政治の世界では国の防衛について、大きな進路変更を迫る動きがあることはご承知の通りである。そんな政治とは別にして、今年の戦没者慰霊式典で天皇は「さき…

1393 「現代を憂え、戦後をかみしめる」 ある句会にて

何度も書いているように、今年は戦後70年である。この間、日本は平和を享受してきた。だが昨今、政治の世界では国の防衛について、大きな進路変更を迫る動きがあることはご承知の通りである。そんな政治とは別にして、今年の戦没者慰霊式典で天皇は「さき…

1388 繰り返してはならない「日本の一番長い日」 8月15日を前に

70年前の今ごろ、日本は太平洋戦争末期の断末魔状態にあった。それでも、旧陸軍を中心とする軍部は「一億総玉砕」を唱え、本土決戦を主張した。極限状況下にあって、人間は狂気に陥る。映画『日本の一番長い日』を見て、それをあらためて感じた。 戦争を終…

1380 更地に咲くヒメヒオウギズイセン 厄介な帰化植物だが……

近所で独り暮らしの高齢者男性が亡くなった。親類の人たちは残された一軒家を解体処分し、跡地はブルドーザーで整地され、更地になった。不動産業者が売りに出したその土地に、朱赤色の花が群生し咲いている。 図鑑で調べてみたら、ヒメヒオウギズイセン(姫…

1369 どくだみの季節 意外においしい?梅雨の花

関東地方まで梅雨入りした。この季節の花といえば紫陽花が一番幅をきかせているようだが、木陰を歩いていると、どくだみの白い花(白く密集して見えるのは総苞で、苞の中心に黄色い花を穂状に付ける=角川・俳句歳時記)が一面に咲いているのを見かける。 薬…

1364 東の空に「環天頂アーク」 格別な自然現象

自然現象は不可思議だ。そんなことを考えたのは今朝、東の空に虹のようなものを見かけたからだ。ラジオ体操の途中、東の空を見上げている人が数人いた。携帯のカメラを空に向けている人もいる。体操が終わったあと、私も空を見上げると、虹が出ていることに…

1361 5月は好きですか ノバラの芳香に包まれて

5月という月を嫌いな人はいるのだろうか。よほどの事情がある人を除けばかなり高い確率でこの季節は日本人にとって人気度は高いだろうと思う。「5月という月は、草花にせよ、鳥とか昆虫にせよ、生命力が躍動して大きく羽ばたく時期です」(新潮文庫『瑞穂…

1358 下がるほど美事(見事)な藤の花 山に広がる紫の房

山藤の花が見事に咲いている。藤の花は蝶形をしていて房になって咲いているのが特徴で、ことしは例年よりもその美しさが際立っているようだ。花が下を向いているために「下がり藤」とも呼ばれ、家運が下がるという理由で敷地内に植えるのは不吉だという説も…

1355 鳴かないカメの話 生態系の変化を考える

「亀鳴く」という俳句の春の季語がある。これについて『俳句歳時記』(角川学芸出版)には「春になると亀の雄が雌を慕って鳴くというが、実際には亀が鳴くことはなく、情緒的な季語。藤原為家の題詠歌『川越のみちのながぢの夕闇に何ぞと聞けば亀ぞなくなる…

1350 「散った桜散る桜散らぬ桜哉」 上野公園を歩く

花びらが散りはじめ、「葉桜」になりつつある上野公園を歩いた。報道の通り、雨にもかかわらず公園には中国人をはじめとする外国人の姿が目についた。いつから外国人がこの公園の桜に興味を持つようになったのかは知らない。 しかし、花を愛でる気持ちは人種…

1348 ミモザ咲く季節 ダンテが踏みし甃(いしだたみ)

庭にある2本の黄色い花が咲きました。いわゆる「ミモザ」です。1本はよく見かけるもので、こちらは「ミモザアカシア」、もう1本はやや色が薄い「銀葉アカシア」です。いずれもオーストラリア原産の初春の花です。 歳時記には「マメ科の常緑高木。『ミモザ…

1343 春をどう感じるか 手賀沼よよみがえれ

3月はどんな季節なのだろう。詩人の大岡信は「大地が再生し古いものと新しいものが交替する時期」と述べている。そんな3月の初めに、以前から続いている「子規の会」という句会があった。 私を含めほとんどが俳句の初心者である。15分程度で当日の「席題」…

1338 雛の家が見える海の町 勝浦の風物詩に誘われて

高浜虚子に師事した原石鼎(はら・せきてい)は「雛の家ほつほつ見えて海の町」という句を残した。「ほつほつ」というのは、物事が少しずつあるいは徐々に行われる様を指す副詞である。 千葉県勝浦市はまさに雛が見える海の町である。いまこの町の風物詩とも…

1335 春の声が聞こえる? 2月生まれの季節感

暦の上では立春が過ぎて「東風凍を解く」(暖かい春風が吹いて、川や湖の氷が溶け出すころ)季節である。実際には1年で一番寒い時期が続いている。霜柱が立ち、朝歩いていると、耳が痛くなるほどだ。西の空には欠け始めた月が見える。 しかし、夜が明けるの…

1331 貫く棒のごとき生き方 正月雑感

去年今年(こぞことし)貫く棒のごときもの 高浜虚子 エーゲ海の日の出 北海道の友人が描いた私の散歩道の風景 同・北海道に咲くオオバナノエンレイソウ 毎朝、近所の公園でやっているラジオ体操に参加して1年半になった。40人ほどの参加者は昨年の11月…

1331 貫く棒のごとき生き方 正月雑感

去年今年(こぞことし)貫く棒のごときもの 高浜虚子 エーゲ海の日の出 北海道の友人が描いた私の散歩道の風景 同・北海道に咲くオオバナノエンレイソウ 毎朝、近所の公園でやっているラジオ体操に参加して1年半になった。40人ほどの参加者は昨年の11月…

1327 タイ・チェンマイに雪?が降る クリスマスのプレゼント!

タイ・チェンマイに住む友人から、「雪景色」の写真が届いた。チェンマイの目抜き通りに雪が積もっている。暖かいタイにも雪が降るほど、地球の気候変動は激しいのかと、一瞬思った。 それはもちろん、妄想だった。雪の正体は塩であり、チェンマイ市民はクリ…