小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

俳句

1325 思い浮かべる漢字は「遠」 旅、選挙、大震災……

庭から出ると遊歩道がある。その植え込みの中から、一本だけ背が高くなった水仙の花が咲いた。自然の生命力が、悪条件を乗り越えて花を咲かせたようだ。 正岡子規は「水仙の僅に咲て年くれぬ」(明治30年)という俳句をつくっている。きょうは23日だから、こ…

1318 「がんばっぺ までいな村」 原発事故で全村避難の飯舘村が絵本に

東日本大震災から3年8カ月が過ぎた。東京電力福島第1原発事故で、避難した福島の人々の多くは依然として故郷に帰る見通しがつかないまま、むなしい日々を過ごしている。その中に全村避難となった飯舘村の人たちが含まれている。 日本のふるさとのような存在…

1314 扇風機とストーブがバトンタッチ 立冬への思い

きょう7日は立冬だ。『日本の72候を楽しむ』(東邦出版)には、「立冬とは、冬の気配が山にも里にも感じられてくるころのこと。木々の葉が落ち、冷たい風が吹き、冬枯れのようすが目立ってきます」とある。 この説明の通り、家の前の通りのけやきの落ち葉が…

1312 山茶花の赤い花 温暖化で早まる開花時期

遊歩道にけやきの葉が舞落ちる季節になった。けやきの木を見上げると、茶や赤い色が増している。10月も最終週になったのだから、落ち葉が増えるのは当然なのだ。近くの公園では、山茶花の赤い花が咲き出した。ことしの立冬は来週の11月7日だが、冬はも…

1312 山茶花の赤い花 温暖化で早まる開花時期

遊歩道にけやきの葉が舞落ちる季節になった。けやきの木を見上げると、茶や赤い色が増している。10月も最終週になったのだから、落ち葉が増えるのは当然なのだ。近くの公園では、山茶花の赤い花が咲き出した。ことしの立冬は来週の11月7日だが、冬はも…

1309 小さき者よ 友人へのメッセージ

「小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に上れ。前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れないものの前に道は開ける。行け。勇んで。小さき者よ」。 これは明治―大正時代の作家、有島武郎の短編「…

1307 バイヨン寺院の出来事 悲劇のアンコールワット

ことしも帰化植物、セイダカアワダチソウの黄色い花が咲く季節になった。散歩コースの調整池の周囲には、天敵のススキと共存共栄している姿が見られる。こんな風景の中を歩いていると旅をしたくなる。旅といえば1年少し前、カンボジアの世界遺産・アンコー…

1300 いわし雲の季節に 子規去り112年

俳人の正岡子規が亡くなったのは明治35年(1902)9月19日だった。既に112年が過ぎている。秋の彼岸入りのころで、秋真っ只中のこの世との別れだったといえる。朝、空を見上げたら、鰯雲(いわしぐも)が浮かんでいた。 この雲の正式名称は巻積雲…

1300 いわし雲の季節に 子規去り112年

俳人の正岡子規が亡くなったのは明治35年(1902)9月19日だった。既に112年が過ぎている。秋の彼岸入りのころで、秋真っ只中のこの世との別れだったといえる。朝、空を見上げたら、鰯雲(いわしぐも)が浮かんでいた。 この雲の正式名称は巻積雲…

1281 hana物語(23) 月を見る夜

2013年9月19日は旧暦8月15日の満月で、中秋の名月の日でもあった。 15夜とも呼び、昔から月がきれいに見える季節である。この夜に月が雲に隠れて見えないことを「無月」、雨が降ることを「雨月」というそうだが、幸い、数日にわたって好天が続き…

1256 はびこる「緑の怪獣」 繁殖力旺盛なクズがイタズラ・注意看板を覆う

朝の散歩の途中、調整池の周りで写真のような看板を見た。看板には「かいだんちゅうい あぶない!」の文字と、青い体をした伝説の生き物・カッパらしいものが池にはまっている。その看板をツル性の植物がぐるぐると巻きつき、怪しい雰囲気を醸し出している。…

1256 はびこる「緑の怪獣」 繁殖力旺盛なクズがイタズラ・注意看板を覆う

朝の散歩の途中、調整池の周りで写真のような看板を見た。看板には「かいだんちゅうい あぶない!」の文字と、青い体をした伝説の生き物・カッパらしいものが池にはまっている。その看板をツル性の植物がぐるぐると巻きつき、怪しい雰囲気を醸し出している。…

1255 待宵草が咲いている hanaの死から1年

朝、いつもの散歩コースである調整池の周囲を歩いていると、黄色い花がひっそりと咲いているのを見かけた。帰宅して図鑑で調べると「マツヨイグサ」(待宵草)と分かった。この花はたしか昨年の夏も見た。しかし、わが家で飼っていた犬のゴールデンレトリー…

1253 ユリの季節 牧野富太郎の考察を読む

百合の香を深く吸ふさへいのちかな ハンセン病の療養所で生涯を送った俳人、村石化石(ことし3月8日、91歳で死去)の句。 百合の季節である。その芳香が庭先から漂ってくる。その近くで、昨年7月30日にこの世を去ったわが家の愛犬、hanaが眠って…

1247 懐かしきは夕菅の花 季節の花に寄せて

ことしも私の散歩コースにユウスゲ(別名、黄菅)によく似た黄色い花(ヘメロカリスらしい)が咲き始めた。かつてユウスゲはそう珍しくはなかったが、都市化現象が進んだ影響で一部の地域では絶滅危惧種に指定されるほど、姿を消しているという。 高原に自生…

1247 懐かしきは夕菅の花 絶滅の危機を乗り越えて

ことしも私の散歩コースに「夕菅」(別名、黄菅)が咲き始めた。かつてはそう珍しくはなかったこの花も、都市化現象が進んだ影響で一部の地域では絶滅危惧種に指定されるほど、姿を消しているという。高原に自生し、軽井沢を代表する花といわれる。まだ一輪…

1246 憂鬱な季節でも 梅雨には読書を

気象庁主任技術専門官の宮尾孝さんが書いた「雨と日本人」(MARUZEN BOOKS)という本を読んだ。今は雨とは一番縁が深い季節である。このところ、梅雨の晴れ間がのぞいて、憂鬱さは少し解消されたが、やはり、この季節はうっとうしい。石原とか鈴木とかいう政…

1244 飛び立ったキジバトの雛 鳥たちに見た生命力

野鳥が巣立ちをするのを初めて見た。きょう9日夕方のことである。わが家の東側にあるキウイフルーツにキジバトが巣をつくったのは5月7日のことで、さらにその後卵を産み、この月の26日には雛がかえった。 それから順調に育った雛たち(2羽)が、空へと…

1244 飛び立ったキジバトの雛 鳥たちに見た生命力

野鳥が巣立ちをするのを初めて見た。きょう9日夕方のことである。わが家の東側にあるキウイフルーツにキジバトが巣をつくったのは5月7日のことで、さらにその後卵を産み、この月の26日には雛がかえった。 それから順調に育った雛たち(2羽)が、空へと…

1243 ひっそりと咲く夏アザミ 春から秋までの路傍の花

散歩コースの調整池の周囲にアザミの花が咲いている。アザミは漢字で「薊」と書く。俳句の季語は春である。立夏はとうに過ぎているが、キク科の植物であるあざみは種類が多く、春から秋にかけて花が咲き続けるという。このうち夏に咲くアザミ を「夏薊」とい…

1243 ひっそりと咲く夏アザミ 春から秋までの路傍の花

散歩コースの調整池の周囲にアザミの花が咲いている。アザミは漢字で「薊」と書く。俳句の季語は春である。立夏はとうに過ぎているが、キク科の植物であるあざみは種類が多く、春から秋にかけて花が咲き続けるという。このうち夏に咲くアザミ を「夏薊」とい…

1236 薔薇が咲く季節 香りに誘われて…

薔薇の季節になった。薔薇好きが高じて、バラ園を運営しながら句作を続けた俳人がいる。長い間、俳誌「みちのく」を主宰した原田青児(2013年1月、94歳で死去)である。作家で俳人の倉阪鬼一郎が原田のことを「薔薇の俳人」と呼んでいるように、原田…

1236 薔薇が咲く季節 香りに誘われて…

薔薇の季節になった。薔薇好きが高じて、バラ園を運営しながら句作を続けた俳人がいる。長い間、俳誌「みちのく」を主宰した原田青児(2013年1月、94歳で死去)である。作家で俳人の倉阪鬼一郎が原田のことを「薔薇の俳人」と呼んでいるように、原田…

1235 キジバトその後 巣作り終えてひなを待つ

キジバトの話を先週のブログに書いた。5月7日にキウイフルーツの木の間に巣作りを始めたハトたちは、しばらくは午前中の短い時間しか巣にいなかったが、いつのまにか完成し、卵を産んだのか11日からは終日、巣の中に必ず一羽がいるようになった。平和の…

1233 桐花の香りに包まれて 奇麗な風吹く散歩道

都市部ではほとんど見かけなくなったのが桐の木だ。その桐の木が私の散歩コースの調整池の斜面に2本ある。花の季節を迎え、大きくなった2本の木は薄紫の花をびっしり咲かせている。花を見上げていると、紫の花から何やらかぐわしい香りが漂ってくる。 正岡…

1230 「躑躅の花で山が燃えるよう」 難しい当て字の話

近くの泉自然公園(千葉市若葉区)に行くと、山躑躅(ヤマツツジ)の花が満開だった。華やかで、躑躅がある一帯は燃えているような錯覚に陥った。それにしても、躑躅という字は難しい。あまりに難しいので、平仮名かカタカナで書くことが多いのではないか。 …

1225 木々の若葉の光 百花繚乱の季節に

百花繚乱の季節である。その意味は、「種々の花が咲き乱れること。転じて、優れた人・業績などが一時にたくさん現れることをいう」(広辞苑)だそうだ。これからの季節は、文字通り百花繚乱といっていいほど、花が次々に咲く。わが家の狭い庭を見てもパンジ…

1224 観桜のころ 花の冷えと花の重さの下で

花の冷えと花の重たさの下をゆく―。中央公論の名編集長として知られた俳人篠原梵の句である。山本健吉はこの句について「らんまんと咲いた花の下を行く。その冷えと重さを感じながら―。言い方に近代風の機知が感じられる」(句歌歳時記・春、新潮社)と評し…

1211 雛祭り終え菜の花の季節 ある句会にて

正岡子規の研究をライフワークにしている知人の呼び掛けで、2011年夏から世代の近い人たちが集まり、酒を飲みながら子規のことを中心によもやま話をする「子規を語る会」の会合が開かれている。 私も参加しているその会合がいつの間にか9人の「句会」へ…

1211 雛祭り終え菜の花の季節 ある句会にて

正岡子規の研究をライフワークにしている知人の呼び掛けで、2011年夏から世代の近い人たちが集まり、酒を飲みながら子規のことを中心によもやま話をする「子規を語る会」の会合が開かれている。私も参加しているその会合がいつの間にか9人の「句会」へ…