小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1364 東の空に「環天頂アーク」 格別な自然現象

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 自然現象は不可思議だ。そんなことを考えたのは今朝、東の空に虹のようなものを見かけたからだ。ラジオ体操の途中、東の空を見上げている人が数人いた。携帯のカメラを空に向けている人もいる。体操が終わったあと、私も空を見上げると、虹が出ていることに気が付いた。

 虹は雨上がりに出るのが普通だが、今朝の虹は好天の中での現象である。調べてみると、この虹のような現象は「環天頂アーク」というそうだ。 太陽の上方に離れた空に虹のような光の帯が現れる現象で、逆さ虹とも呼ばれるようだ。

 幻日と同じく上空の大気中の氷晶が太陽光を屈折することで生じる。時々目撃されるというが、私は初めて見た。一般の虹は、太陽と反対側に見えるが、環天頂アークは太陽と同じ方向に現れ、太陽高度が約22度のときは約46度上方に現れ、太陽高度がこれより高くても低くても出現高度は天頂側に移動するという。

 虹立つも消ゆるも音を立てずして 

 山口波津女 この句のように、環天頂アークは何の音も立てずに東の空で美しく輝き、気付いた人にだけ朝の幸せな気分を分けてくれている。  

 虹で一番思い出深いのは、南米の世界遺産イグアスの滝・フロリアーノ滝で見たものである。ブラジル側から滝に近づくと、しぶきの中に大きな虹が浮かんでいる。当時のブログに「私はイグアスの滝の前に立ち、人間はいかに小さな存在であるかを思い知ったのだった」と書いている。

 あれから1年以上が過ぎているが、イグアスの滝の轟音はいまも耳に残っている。 滝と虹は付き物で、大小問わず滝しぶきの中で虹を見ることができる。日本だけでなく内外の多くの滝を見た同行の一人は、この虹のスケールに驚いていたから、格別な虹だったといえる。

 ところで、環天頂アークは比較的珍しいという。地震の予兆といううわさもあるが、あくまで自然現象である。見ることができたのは幸運といえようか。同じような現象で「環水平アーク」がある。こちらも今日、関東や東海地方で目撃されたという。

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奇跡のような初日の出 輝く飛行機雲に幸あれと祈る

南米の旅―ハチドリ紀行(2) 大いなる水イグアスの滝