554 サッカー審判はつらい 門外漢のつぶやき
1年後に控えたサッカーW南アフリカ大会の欧州プレーオフ、フランス対アイルラン戦の結末が面白くない。
延長前半フランスのキャプテン、ティエリ・アンリがゴール前でハンドの反則をしながら出したボールをチームのウイリアム・ギャラスがヘディングシュートを決めたというものだ。アンリのハンドを主審は見逃したのか、見ていても気づかぬふりをしたのかは分からない。サッカーは審判が絶対的権威を持っており、アイルランドの抗議は受け入れられない。この得点によって、フランスがW杯出場を決めたのだからアイルランドが怒るのは当然だ。この得点がなければ、アイルランドは狭き門のW杯に歩を進めたのだ。
クロアチアからも審判をめぐる話題が伝わってきて「審判はつらい時代」に入ったようだ。審判の権威は大事だが、ビデオカなど現代の利器をどうして使わないのかと、門外漢は思う。
クロアチアの話題はこんな内容だ。AFPによると、首都ザグレブで11月22日に行われたサッカー1部リーグのシベニク対メジムリエ・チャコベツ戦での前半20分、メジムリエ・チャコベツ側のゴール付近に1匹のネコが迷い込んできたという。ゴールキーパーが驚いたのは言うまでもない。
彼はネコを拾い上げスコアボード付近まで避難させた。これを見ていた主審は「審判の許可無くピッチを離れた」という理由でゴールキーパーにイエローカードを出したというのだ。この裁定に観衆はもちろん怒り、激しいやじを浴びせたが、判定は覆られなかった。これこそ、審判は見てみぬふりをすればよかったのだ。それができないから、審判はつらいのかもしれない。
2つの話題は、サッカーを含めスポーツの審判の難しさを思わせた。スポーツにはルールがあり、審判はルールを基にゲームを進行させる重要な存在だ。だが、審判も人間であり、ミスもする。サッカーの場合(野球もそうだが)審判は絶対であり、一度下した判定を覆すことはタブーなのだ。それは社会生活でルールを尊重することと同じだと思う。
それでも、あえていえば「過ちを正すことに遅すぎることなかれ」という格言もある。一番封建的社会といわれた大相撲でさえも、40年前からビデオを判定材料に採用している。世界で一番人気のあるサッカーの審判制度はそろそろ改善すべきときに来ているようだ。(写真AP)