小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

415 スポーツとけが WBCのハプニング

けがをしない選手こそ、一流選手だという。どんなスポーツでも、けがは付き物だが、WBCから途中で帰国することになった日本代表、村田修一内野手(横浜)のけがには驚き、同情した。

本人は肉体的な痛みに加え,決勝ラウンドに出られない、日本の公式戦にも間に合わないという二重の悔しさを味わうことになるからだ。村田に代わって米国に向かった広島の栗原健太内野手の胸中も複雑だろうが、日本チームの暗雲を吹き飛ばす活躍をしてほしいと願う。

19日の韓国戦でヒットを打ちながら、一塁ベース近くで右太もも裏を傷めた村田は、日本チームの中心打者だった。当然、けがをしないようにと準備運動は入念にしていたはずだが、それでもけがをしてしまう。同じ代表のイチローは、外野の守備位置でも時折体を動かし、体が硬くなるのを防いでいる。そうしたふだんの心がけがけがをしないプレーにつながっている。

イチローは、WBCでは不調が続いている。プレッシャーに負けているというのだ。ほかの選手なら当然交代しているはずだが、天才イチローゆえに原監督も使わざるを得ない。楽天の野村監督をして「インケツだ。運気が最低だ。こういうのを使っちゃだめ」と言うのだから、相当なものだ。天才がプレッシャーをはねのけることが出来れば、アメリカ戦は面白くなるだろう。

けがの話に戻る。かつての広島の衣笠祥雄や現役の阪神金本知憲といったけがをしても試合に出続ける「鉄人」のような存在は少ない。頑健といわれたヤンキース松井秀喜でさえ、一度足を痛めたら完全復調ができないでいる。

野球以外でも、アテネ五輪女子マラソンの金メダリスト、野口みずきも左足の故障が直らず、出場が決まっていた昨年の北京五輪を欠場し、ことしいっぱいの復帰も難しいというニュースが流れている。多くのスポーツ選手がけがとの闘いにあきらめ、競技生活から去っている。マラソンの名ランナー、円谷幸吉は絶望のあまり自死した。

けがをしないDNAがあるのかどうかは分からないが、サッカーでいえば三浦知良中山雅史は40歳を過ぎても現役でプレーを続けている。三浦はこの2月で41歳になり、中山も9月で同じく41歳になるが、若い20代の選手に混じってプレーするには食事はもちろん、睡眠時間、筋肉の柔軟性の保持など体の管理に最新の注意を払っているに違いない。

歳をとるにつれて、体も衰える。その結果、予期しないときにけがをすることがある。地下鉄の階段を踏み外して、村田選手と同じ右足の太もも裏の肉離れをしたのは昨年のことだった。ことしは、犬の散歩をしていて、反対側の左足太もも裏を痛めた。ナイチンゲールは「人間には癒す力がある」という言葉を残した。心だけでなく、体にも回復力があることを最近の北海道スキーで再確認した。両足の痛みは全く感じなかったのだ。