小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1314 扇風機とストーブがバトンタッチ 立冬への思い

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 きょう7日は立冬だ。『日本の72候を楽しむ』(東邦出版)には、「立冬とは、冬の気配が山にも里にも感じられてくるころのこと。木々の葉が落ち、冷たい風が吹き、冬枯れのようすが目立ってきます」とある。

 この説明の通り、家の前の通りのけやきの落ち葉が目立ち、吹く風に冷たさを感じられる朝だった。夏の間、世話になった扇風機を仕舞い、ストーブを取り出した。 札幌では最高気温が4度というから、北海道は冬本番の季節になったといえる。高村光太郎「冬が来た」という詩を読み返した。

 きつぱりと冬が来た 八つ手の白い花も消え 公孫樹の木も箒になった きりきりともみ込むやうな冬が来た 人にいやがられる冬 草木に背かれ 虫類に逃げられる冬が来た 冬よ 僕に来い、僕に来い 僕は冬の力、冬は僕の餌食だ しみ透れ、 つきぬけ 火事を出せ、雪で埋めろ 刃物のやうな冬がきた(『道程』より)

 高浜虚子の次女、星野立子の句に「どの駅の名もうつくしや冬日和」というのがある。列車(ローカル線か)の旅で、止まる駅の名前がどれも美しく見えるというのだから、冬の旅も満更ではないと思う。 冬だからといって、室内に閉じこもることはない。高村光太郎のように、冬に立ち向かう強い気持ちを持ちたい。

 一方で、1年前に訪れたタイ・チェンマイのことを思い浮かべた。ここには友人が奥さんと2人でロングスティをしていている。友人によると、タイの人気が高いのは、物価が安く、豊かな自然や歴史遺産があり、気候が比較的温暖で医療施設が充実していることだという。このうち温暖な気候はこれから寒い冬を送る身にはうらやましい限りといえる。  

 チェンマイでは、無数のコムローイ(天灯ともいわれる熱気球)が夜空に舞い、川に灯篭を流す「ロイクラトン祭り」が5日から7日まで開催された。昨年のいまごろタイの政情はタクシン派と反タクシン派に分かれ、激しく対立していた。その結果、軍事政権ができ、一応平静さを取り戻している。市民はコムローイにどんな思いを寄せたのだろうか。

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