人生
教職にある知人から電話があり「小野訓導を知っていますか」と聞かれた。かすかな記憶の中に、それはあった。どこかでこの名前を聞いたことがあったのだろう。それは悲劇の女性教師だった。この女性教師を思い、教職を目指した知人は、最近ある偶然から小野…
「このままでは日本は沈没してしまうのではないか」。希望して入った組織で意欲的に働く若い女性から、最近こんな言葉を聞いた。政治も経済も行き詰まっていて、閉塞社会がどんどん進行しているのではないかと危惧しているのだ。 特に昨今の政治状況はひどす…
傾斜地に続く棚田は日本を含めて世界各地に存在する。その中で唯一、世界遺産(文化遺産)になっているのがフィリピン・ルソン島の「コルディリェーラの棚田」である。しかし若者たちが村を離れて行き、3割の棚田が後継者不足のため耕作放棄地となって荒廃…
米国大統領として4選を果たしたのは32代のフランクリン・ローズベルト(1882-1945。日本の新聞の表記はルーズベルが多い)のみで、彼はいまも偉大な大統領として、米国の歴史に名を残している。ローズベルトが静養先の山荘で脳出血のため急死し…
まさか、沢木耕太郎が児童書を書くとは思わなかった。青年時代に香港からからロンドンまでを、バスだけを使って旅をした体験記「深夜特急」でノンフィクション作家としての地位を確立した沢木がこうしたジャンルに挑戦したことが面白いと思ったのか、朝日新…
知人の女性がこの2月、がんで亡くなった。末期のがんに侵され入退院を繰り返しながら、仕事に最後まで情熱を注いだ人生だった。2月初めに入院し、ついに仕事に復帰することはできなかった。 彼女が末期のがんに侵されているとは知らなかったから、他の人も…
知人の女性がこの2月、がんで亡くなった。末期のがんに侵され入退院を繰り返しながら、仕事に最後まで情熱を注いだ人生だった。2月初めに入院し、ついに仕事に復帰することはできなかった。 彼女が末期のがんに侵されているとは知らなかったから、他の人も…
3月に入って、被災地を歩いた。宮城県東松島市で仮設住宅に暮らす一人の高齢者から話を聞いた。それは、絶望と希望という言葉に象徴される話だった。大津波に自宅が襲われ、長年連れ添った妻を亡くした宮城県東松島市の武田政夫さん(76)だ。 武田さんの…
イギリスの作家・評論家のコリン・ウィルソンの「わが酒の讃歌=うた」(田村隆一訳)を読んだのは1976年(昭和51)のことである。この本はそのまま本棚の奥にひっそりと収まっていた。 本棚を漁っていて何気なく手に取った。副題には「文学。音楽・そ…
イギリスの作家・評論家のコリン・ウィルソンの「わが酒の讃歌=うた」(田村隆一訳)を読んだのは1976年(昭和51)のことである。この本はそのまま本棚の奥にひっそりと収まっていた。 ふと、本棚を漁っていて何気なく手に取った。副題には「文学。音…
人生の大先輩を送る会合があった。異業種交流のようなボランティア活動のような、一種独特の組織から、大先輩が卒業することになった。約10人の集まりの中で、この大先輩は、「この10年でショックを受けたことが2つある」と語った。それは現代を反映し…
「共喰い」という作品で芥川賞を受賞した田中慎弥の、斜に構えた受賞後の会見が話題になっている。 女優のシャーリー・マクレーンがアカデミー賞に何回もノミレートされた後にやっと受賞した際「私がもらって当然」と話したことを引用して「大体そういう感じ…
先日、富山・立山連峰の話を書いた。圧倒的な姿に言葉は不要と思った。その富山でこよなくこの山を愛する人に出会った。富山県高岡市の作道和宏さん(70)である。63歳でバス運行会社を起こし、68歳で障害者自立支援のNPOを立ち上げた起業家だ。 悠…
いまあるかどうかは分からないが、かつて会社の保養所や温泉旅館には娯楽施設として卓球台があった。下手なもの同士がのんびりと小さなボールを返し合う。「ピンポン」という言葉を聞くと、そうした光景を連想する。そのピンポンを日本語では卓球という。テ…
ことしも「 西向く侍(にしむくさむらい)」の月がきょうで終わり、明日から師走になる。2、4、6、9、11月は、ひと月の日数が31日以外の月のことである。この5つの月(小の月)を、このように言うのだと小学校で教えられた。 「さむらい」は「士」…
タイのチェンマイでロングステイしている知人から「チェンマイ・フーケオ通り」というタイトルのエッセー集が送られてきた。「知人が住んでいるファイケオ通りからとった「風景夫」というペンネームでチェンマイのタウン紙『ちゃーお』にロングステイ初心者…
他の人のブログを見ていると、その人の個性がよく出ていて面白いものが少なくない。「文は人なり」といい、ブログの文章からも筆者の人間性、品格が伝わってくるのだ。 このブログの「マイリンク集」の一番下の「冬尋坊日記」の11月6日分「涙を喪失した少…
かつて、同じ会社で勤務していた知人から突然メールをもらった。会社を辞めたあと、音信が途絶えていたが、このメールで奥さんと一緒にタイのチェンマイで7年前から暮らしていることが分かった。私は2005年1月、家族と一緒にこの街に行ったことがある…
東日本大震災は、三陸の漁場を荒涼たる海に変えた。宮城県石巻市の牡鹿半島西南に位置する網地島(あじしま)沖合にも多くの遺体が流れてきたという。この島に住み、宮城県内で歌謡教室の先生をやりながら海女を続けている小野寺たつえさんに、最近話を聞く…
《東日本大震災は流れ去って消えていくものとは違う。この国の歴史に深々と打ち込まれた杭として、おそらく将来の長きにわたって、優れた文学作品を語る際の座標軸のひとつになりうるだろう。たとえば、僕はこんなことを考えるのだ。震災の直後にどんな本を…
この4日に百歳を迎えた医師・日野原重明さんをNHKの特集を見た。認知症になった夫人、聖路加病院緩和ケア病棟の2人の患者を中心に、いまも現役を続ける日野原さんの姿を追った番組だ。 「感謝」という言葉が日野原さんの現在を支えていると、知った。こ…
この4日に百歳を迎えた医師・日野原重明さんをNHKの特集を見た。認知症になった夫人、聖路加病院緩和ケア病棟の2人の患者を中心に、いまも現役を続ける日野原さんの姿を追った番組だ。 「感謝」という言葉が日野原さんの現在を支えていると、知った。こ…
いま、日本の政治は危機にあるといっていい。それを政治家は意識しているのだろうか。そんな思いを抱くのは私だけではないだろう。そんな時、知人の伊佐木健さんから「時代の風 20―21世紀の政治をめぐって」(WWB/ジャパン出版部刊)という本が届いた…
いま、日本の政治は危機にあるといっていい。それを政治家は意識しているのだろうか。そんな思いを抱くのは私だけではないだろう。そんな時、知人の伊佐木健さんから「時代の風 20―21世紀の政治をめぐって」(WWB/ジャパン出版部刊)という本が届いた…
音楽の楽しみ方は人それぞれだと思う。この本(仙台市・笹気出版)の著者である松舘さんは、社会部記者を中心に長い間、報道機関のNHKで忙しい生活を送った。そんな生活の中でも松舘さんはヴァイオリニストとしてのもう一つの顔を持ち、クラシック音楽を…
私は、この夏で9歳になったゴールデンリトリーバーの雌のhanaです。もう9回の夏を過ごしてしまいました。それにしてもことしはいろいろなことがありました。楽しいこと、つらいこと、悲しいことが重なりました。長い間一緒にいて、あんなにつらそうな…
菅首相が正式に辞任を表明し、次の首相を決める民主党の代表選が29日に実施されるという。5人の候補者が日本記者クラブで会見しているのをテレビで見た。 民主党で依然力を持っているという小沢、鳩山両氏が支持を打ち出した海江田万里氏(辞任の時期を失し…
夏の甲子園・高校野球全国大会で、東京代表の日大三高が青森代表の光星学院を11―〇でくだして優勝した。「見よや 麗わしの誠の光昇る旭日に ほのぼのと・・・」という(小林大次郎作詞、山本正夫作曲)日大三高の校歌をテレビで聞いた。 負けた光星の選手…
俳人の正岡子規(1867年10月14日―1902年9月19日)は、34年の短い生涯で、5つの長旅をしているという。その1つが24歳の時の「房総の旅」だった。この旅で子規は、明治4年創業の千葉の老舗うなぎ店「やすだ」に立ち寄り、蒲焼を食べてい…
東京・乃木坂の国立新美術館で開催されている「第12回日美絵画展」をのぞいた。友人の田口武男さんの作品がが日本画部門の秀作に選ばれ、展示されたからだ。 公益財団法人国際文化カレッジの主催で入選した2000点を展示するという大きな美術展だった。…