小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

人生

842 ニーハオ店主の個人史(4)完 仕事の鬼として

生活もひどい時よりは少しよくなってきたので、16歳から知人の紹介で大工の見習いに行くことになりました。私の師匠は優れた才能を持っていました。 仕事が終わった夜、いつも私の耳を引っ張って私を起こし、修理を手伝わせました。その時は「師匠は何とい…

842 ニイハオ店主の個人史(4)完 仕事の鬼として

生活もひどい時よりは少しよくなってきたので、16歳から知人の紹介で大工の見習いに行くことになりました。私の師匠は優れた才能を持っていました。 仕事が終わった夜、いつも私の耳を引っ張って私を起こし、修理を手伝わせました。その時は「師匠は何とい…

840 ニーハオ店主の個人史(3) 14歳、大人に交じり建築現場へ

当時、旅順はソ連人が多くて、全人口の半分くらいいたそうです。全部軍人ではなく、軍人の奥さんや子どももいました。ソ連人は毎朝石炭のガラをごみ場に捨てます。中にはパンの耳、ジャガイモの皮、キャベツの外側の葉を混ぜて捨てるのです。 私が12歳、章…

840 ニイハオ店主の個人史(3) 14歳、大人に交じり建築現場へ

当時、旅順はソ連人が多くて、全人口の半分くらいいたそうです。全部軍人ではなく、軍人の奥さんや子どももいました。ソ連人は毎朝石炭のガラをごみ場に捨てます。中にはパンの耳、ジャガイモの皮、キャベツの外側の葉を混ぜて捨てるのです。 私が12歳、章…

839 ニーハオ店主の個人史(2) 終戦・貧窮の生活に

私は薩拉斉県にいた時、馬に乗って薩拉斉を2時間で一回りしました。当時車の燃料はガソリンではなく木炭でしたので、馬は車より速く走ることができました。1945年、日中戦争が終わりに近づくと、人々の生活は大変苦しくなりました。 夜、近くで戦争があ…

839 ニイハオ店主の個人史(2) 終戦・貧窮の生活に

私は薩拉斉県にいた時、馬に乗って薩拉斉を2時間で一回りしました。当時車の燃料はガソリンではなく木炭でしたので、馬は車より速く走ることができました。1945年、日中戦争が終わりに近づくと、人々の生活は大変苦しくなりました。 夜、近くで戦争があ…

838 ニーハオ店主の個人史(1) 日本人の父と中国人の母

30年来の友人で、蒲田を中心に中華料理店を営む八木功さんが77歳になった。喜寿である。この30年、彼は一日も休まず働き続け、彼の「ニーハオ」という店は、知る人ぞ知る存在にまで発展した。 八木さんの誕生日の7月9日、彼の家族、一族とともに喜寿…

838 ニイハオ店主の個人史(1) 日本人の父と中国人の母

30年来の友人で、蒲田を中心に中華料理店を営む八木功さんが77歳になった。喜寿である。この30年、彼は一日も休まず働き続け、彼の「ニイハオ」という店は、知る人ぞ知る存在にまで発展した。 八木さんの誕生日の7月9日、彼の家族、一族とともに喜寿…

837 表現者は現場を踏んで 寂聴さんの含蓄ある言葉

以前のブログでも書いたが、岩手県の平泉が世界(文化)遺産に登録された。このニュースは被災地・被災者を勇気付けることだろう。友人が最近、平泉と縁の深い作家の瀬戸内寂聴さんに会った。その話を聞き、89歳の高齢になっても意気軒昂な作家の力強さを…

831 友人の受賞に笑顔を戻したい 日美展の「2月の印象」

正直なところ、東日本大震災以来、心の底から笑ったことはない。体に悪いと知りつつ、被災地のこと、原発事故のことを思うと軽々に笑うことはできないと思ってしまうのだ。 「笑いの自粛」みたいな感覚なのか。 退陣を迫られ「ペテン師」と言われても、土俵…

830 「私は助かった」 偶然が重なり死の淵から生還

宮城県気仙沼市大島の旅館「黒潮」は二次避難所になっていて、津波で家を失った人たちが暮らしている。島おこしのボランティア活動をしながら、この旅館を営む堺健さんも、3月11日はフェリーで気仙沼に渡っていて命を落とす寸前の体験をしたという。 堺さ…

826 松坂と職業病 勤続疲労にどう付き合うか

大リーグ・レッドソックスの松坂大輔投手が野球選手生命の危機になっていると報道された。右腕肘靭帯を痛め、修復手術を受けることになったという。 かつて、野球の投手が肘を故障すると、ほぼ野球生命を断たれた。投手にとって肘の故障は肩を痛めることと同…

815 ひょうたん島はどこへ行く 大震災の悲しみを乗せて

一時代の子どもならだれでも知っていた人形劇「ひょっこりひょうたん島」(NHKで1964年―69年に放映)の主題歌「波を ちゃぷちゃぷ ちゃぷ ちゃぷ かきわけて・・・」を作曲した宇野誠一郎さんが、4月26日に亡くなった。人形劇の原作者の一人で、こ…

814 福島原発・3つの重い言葉 「闇の中の一筋の光」

知り合いの小学校の校長先生からメールが届いた。東京電力福島第1原子力発電所の1号機が地震直後に炉心溶融(メルトダウン)していたことが判明し、高濃度の放射性物質が検出され「計画的避難区域」に指定された飯舘村と川俣町山木屋地区では15日から住…

809 ある個人ボランティアの報告 陸前高田で被災者と向き合う

知人が東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市にボランティアとして入った。札幌から自分の車で現地に向かい、女性を中心にカットのサービスをしたという。報道で被災地の惨状を見て、行動力のある知人はいてもたってもいられず、個人でボランテ…

809 ある個人ボランティアの報告 陸前高田で被災者と向き合う

知人が東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市にボランティアとして入った。札幌から自分の車で現地に向かい、女性を中心にカットのサービスをしたという。報道で被災地の惨状を見て、行動力のある知人はいてもたってもいられず、個人でボランテ…

803 ある教師の1カ月 日本人よ!

巨大地震、大津波に続く福島原発事故は収束の見通しは立たない。そんな中で、福島県矢祭町立東舘小の宍戸仙助校長から「余震の大きさと、原発の状態に、折れそうな心で描いた随想です」というメールが届いた。大震災と原発事故が重なり、動揺する人たち。そ…

803 ある教師の1カ月 日本人よ!

巨大地震、大津波に続く福島原発事故は収束の見通しは立たない。そんな中で、福島県矢祭町立東舘小の宍戸仙助校長から「余震の大きさと、原発の状態に、折れそうな心で描いた随想です」というメールが届いた。大震災と原発事故が重なり、動揺する人たち。そ…

794 運命論者にはなりたくないが・・・ 9日ぶりに生還した祖母と孫

大津波で甚大な被害を受けた宮城県石巻市で9日ぶりに80歳の女性と16歳の男の孫が救助された。 昨年8月に起きたチリの鉱山落盤事故では、鉱山作業員33人が地下634メートルの坑道に閉じ込められ、69日後に救出されるというニュースが世界中を駆け…

785 話題提供の2人のスポーツ選手 雄飛と転身と

昨今は暗い話題が多い。時代背景なのだろうが、どうせなら明るい話題に接したいと思う。そんな時スポーツをめぐる2人の青年が明るい話題を提供してくれた。 東京マラソンで3位になり、世界陸上出場を内定した埼玉県職員の川内優輝選手(23)と大相撲を引…

785 話題提供の2人のスポーツ選手 雄飛と転身と

昨今は暗い話題が多い。時代背景なのだろうが、どうせなら明るい話題に接したいと思う。そんな時スポーツをめぐる2人の青年が明るい話題を提供してくれた。 東京マラソンで3位になり、世界陸上出場を内定した埼玉県職員の川内優輝選手(23)と大相撲を引…

784 総合芸術家・魯山人の生涯に光 すさまじい取材の評伝

誤解されることが多かった北大路魯山人に光を当てたのが山田和の「知られざる魯山人」だ。山田はこの本で魯山人を「総合芸術家」と書いている。これほど微に入り細にわたった評伝はたぶんないだろう。しかもノンフィクションの取材がいかにすさまじいもので…

784 総合芸術家・魯山人の生涯に光 すさまじい取材の評伝

誤解されることが多かった北大路魯山人に光を当てたのが山田和の「知られざる魯山人」だ。山田はこの本で魯山人を「総合芸術家」と書いている。これほど微に入り細にわたった評伝はたぶんないだろう。しかもノンフィクションの取材がいかにすさまじいもので…

779 スポーツは憧れの世界  完全復活近い浅田真央

台北で開かれた4大陸フィギュア選手権で、日本人選手が男女とも金、銀メダルを獲得し、層の厚さを印象付けた。昨日は女子のフリーがあり、早い滑走順の安藤美姫が早々と高得点を出した。 ライバルの浅田真央は最終演技で最後までテレビにくぎ付けになった。…

779 スポーツは憧れの世界  完全復活近い浅田真央

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776 琵琶湖一周の旅の途中に(続) 末川博氏の人生3分割論を実践する人

琵琶湖の北側にある高島市マキノ町で会った高橋英夫さんが実践している「人生3分割論」は、民法学者の故末川博氏が提唱したものだ。 人生は、第1段階が「生まれてから25歳」までの「人の世話になる期間」、第2段階が「25歳―50歳」までの「世の中に…

776 琵琶湖一周の旅の途中に(続) 末川博氏の人生3分割論を実践する人

琵琶湖の北側にある高島市マキノ町で会った高橋英夫さんが実践している「人生3分割論」は、民法学者の故末川博氏が提唱したものだ。 人生は、第1段階が「生まれてから25歳」までの「人の世話になる期間」、第2段階が「25歳―50歳」までの「世の中に…

774 絵本作家・加藤祐子さんとの出会い 絵心を考える

女子美の4年生で、この春大学院に進むという絵本作家・イラストレーターの加藤祐子さんに会う機会があった。幼いころからの夢を実現した輝く才能の持ち主だ。 加藤さんは、2009年に福島県矢祭町で開催された第1回矢祭もったいない図書館「手作り絵本コ…

774 絵本作家・加藤祐子さんとの出会い 絵心を考える

女子美の4年生で、この春大学院に進むという絵本作家・イラストレーターの加藤祐子さんに会う機会があった。幼いころからの夢を実現した輝く才能の持ち主だ。 加藤さんは、2009年に福島県矢祭町で開催された第1回矢祭もったいない図書館「手作り絵本コ…

773 琵琶湖一周の旅の途中に 雪に埋まったカタカナの町へ

昨年の夏に続き、琵琶湖を見た。今回はこの日本最大の湖を一周する形で列車に乗り、北側の周辺地域が大雪に埋まっているのを体験した。1月の北海道で雪には慣れているが、列車の窓外に広がる雪原には驚いた。 この冬は日本海側で豪雪に見舞われているのだか…