小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

福祉

391 心の中で輝く2人の少女 小児がんで逝った福美ちゃんと桜ちゃん

昨年11月14日のブログで「小児がんの子どもたちの絵画展」について紹介した。その中に登場する2人の少女が最近NHKのニュース番組首都圏ネットワークの中で取り上げられた。短い生涯を閉じた2人だが、ご両親はもちろんのこと周囲の人たちの心の中に、い…

388 ホームホスピスとは 宮崎のかあさんの家訪問記

2006年12月、末期のがん患者らを受け入れるホスピスや在宅緩和施設を運営する3人の話を聞いた。そのうち2つの施設、東京・山谷のホスピス「きぼうのいえ」と仙台の在宅緩和センター「虹」には翌2007年にお邪魔し、あらためて命の瀬戸際にある人…

379 人を支える存在に

最近、懐かしい顔に出会った。大谷藤郎さん、84歳だ。ハンセン病(かつて、らいと呼ばれた)隔離政策の誤りを指摘した信念の人だ。旧厚生省の官僚OB(医系技官トップの医務局長で退官)ながら、退官後「らいは治る。患者を隔離しておくらい予防法は人権侵…

357 けなげな子どもたち 小児がん患者の絵画展で涙

千葉の幕張メッセで14日から始まった小児がん学会の会場一角で「命の輝き」を訴える絵画展が開かれた。 「財団法人 がんの子供を守る会」が10年前から毎年実施しているささやかな展覧会だ。この展覧会をのぞいて、あるポスターの前でくぎ付けになり、涙を…

299 畳の上で死ぬということ 在宅ホスピス・ケアの時代に

後期高齢者医療制度」という新しい制度に批判が集中した。高齢者の定義は難しい。しかし、いずれにしろ人間は年をとる、とらないにかかわらずいつか死ぬ運命にある。千葉市の幕張メッセで開かれた「日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会」をのぞいて、いま…

257 どこへ行く「ゆりかごから墓場まで」

「ゆりかごから墓場まで」は、社会保障制度の先進国、イギリスの社会福祉政策のスローガンで、日本もこれを指針とした。しかし、いまやこのスローガンは死語になりつつある。 かつてばらまき福祉といわれたほど日本政府は社会保障で大盤振る舞いをした。それ…

129 ビジネスモデルのまやかし 2つの挫折

起業家の間では、いつしか「ビジネスモデル」という言葉がもてはやされるようになった。言葉の響きはいいが、要するに「いかにしたらもうける手段ができるか」ということだ。基本的にいまの日本社会は利潤追求を最優先にしているのだから、それはそれでいい…

128 育て、元気にと祈る 盲導犬訓練センターにて

盲導犬は「無私の精神」で、目の不自由なパートーナーと日常を送っている。かつて沢口靖子が主演したNHKのドラマ「盲導犬クイールの一生」で、盲導犬の重要性を認識したことを覚えている。 しかし、あれほど評判を呼び、映画にもなったにもかかわらず、盲導…

125 バリアーフリーはどこまで進んだか 自己体験

ある朝、地下鉄の階段で足を踏み外し、転倒しないように右足を踏ん張った。その結果、一段下に着地したが、右足のひざ上を痛めた。足を引きずり、整形外科に行った。診断は1週間程度で治るという軽いものだった。しかし、そうではなかった。いまも痛めた右足…

91 高齢化社会の現実 整形外科病院の老人たち

数年前、ゴルフをしていてぬかるんでいた斜面で転倒した。背中をしたたかに打った。その時、首も少し痛めた。病院に行くほどはないとたかをくくり、そのまま数ヵ月痛みを我慢した。 いつしか痛みはなくなり、転んだことも忘れていた。ことし1月末から2月にか…

82 山谷にて 「きぼうのいえ」を見る

「東の山谷、西の釜が崎」という言葉がある。双方とも、いわゆる「ドヤ街」といわれる簡易宿泊所があり、日雇い労働者や路上生活者が多く住んでいる街である。

19 福祉への挑戦

公務員を退職した後、福祉の仕事を始めた友人がいる。 公務員として、幹部まで上り詰めた彼は、介護タクシー(介護を必要とする老人を対象に自宅-介護施設の送り迎えをする業務)の免許に挑戦、9日間の合宿を経て62歳で見事免許を取得した。 そこで彼の夢は…