小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

125 バリアーフリーはどこまで進んだか 自己体験

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 ある朝、地下鉄の階段で足を踏み外し、転倒しないように右足を踏ん張った。その結果、一段下に着地したが、右足のひざ上を痛めた。足を引きずり、整形外科に行った。診断は1週間程度で治るという軽いものだった。しかし、そうではなかった。いまも痛めた右足は違和感がある。交通機関バリアフリー化の進行が気になった。

 私が利用するのはJRと東京メトロである。乗り換えのため何カ所かの階段を使う。しかし、その階段の長さが尋常でないのに、エスカレーターもエレベーターもない駅がある。それがこの写真のJRのある駅だ。苦労して改札口までたどり着いた私が駅員に聞くと「本年度中にエスカレーターを設置する予定です」という答えが返ってきた。

「お願いしますよ」と私。彼は足を引きずって歩く私を見て「申し訳ありません」という言葉を付け加えた。 最悪だと思ったのは、メトロの虎ノ門駅だ。階段は狭くてどこにもエレベーターもエスカレーターもない。オフィス街には、障害者は来るなと思われても仕方がない。苦情があったのかどうか、最近になってようやくエレベータ設置工事が始まった。ことほどさように、日本のメトロは遅れているのである。

 障害者は地下鉄に乗るなとしか思えないのである。 新橋駅もよくない。乗降客が多いのに、ホームが狭くて、改札口を出てからJRに向かう近道は急階段しかない。そこは人がまた多くて、危険地帯といわねばなるまい。体の不自由な人は、階段の段数が少ない横須賀線の改札口の方に遠回りする必要があるのだ。 外出の際、私は駅ではエレベーターを探し、エスカレーターを使った。両方ともない駅では、仕方なく足を引きずりながら恐る恐る階段の上り下りをした。

 健康なときにはバリアフリーのありがたさを感じない。しかし、わが身に問題が生じたいま、バリアフリーの大事さを痛感するのである。

 それにしても、最近の携帯電話のマナーはどうなっているのだろう。駅の階段でも電車のドア付近でも携帯電話の画面を見続ける若者が何と多いことか。他人の迷惑など気にせず、満員電車でも必死になって携帯を使っている。メールを打っているのか、ゲームをしているのか分からないが、とにかく携帯利用者のマナーは最悪だ。 優先席でも目の前に老人がいるにもかかわらず、素知らぬ顔で携帯の画面を見続けつ若者の存在にはあきれる。そのうち、携帯の使い方をめぐってトラブルが起きないか心配だ。