小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

391 心の中で輝く2人の少女 小児がんで逝った福美ちゃんと桜ちゃん

  昨年11月14日のブログで「小児がんの子どもたちの絵画展」について紹介した。その中に登場する2人の少女が最近NHKのニュース番組首都圏ネットワークの中で取り上げられた。短い生涯を閉じた2人だが、ご両親はもちろんのこと周囲の人たちの心の中に、いまも輝いた存在として大きな位置を占めていることをこの番組で再確認した。

  2人は、急性白血病で亡くなった石川福美ちゃん(享年8歳11カ月)と同じ急性白血病の結城桜ちゃん(同6歳6カ月)だ。福美ちゃんは闘病生活を送りながら、悩み事を抱えた人たちの相談を受ける「石川ふくみそうだん会」をつくり、子どもから大人までいろいろな相談を受け、私のような凡人ではとても思い浮かばない、機知に富んだ回答をする。

  皆さん悩みってどこで作るのでしょう。知ってますか、それは心と気持ち!たった二つの見えないものがそんないやなものを作ってしまうのです。時によってうれしい幸せを運ぶことも、どんな悩みがあっても隠さずに言ってください。悩みを1つ抱えると、10個、20個、悩みが増えますよ。人生一つ、命一つ、悩みや困ったことを抱えて生きるのはもったいない。せっかくもらった命だから、楽しく、悩みや困ったことのない人生に。(原文は大部分が平仮名)

  福美ちゃんと同じ部屋にいたのが桜ちゃんだ。福美ちゃんが骨髄移植のため無菌室に入る際、桜ちゃんは「ふくちゃんおうえんしてるよ」という絵を描いた。子どもたちはみんなが精一杯頑張っているのを知っているから「頑張って」という言葉は使わず、桜ちゃんは「応援しているよ」という言葉に置き換えたのだ。

  福美ちゃんの悩みごと相談会のポスターの言葉が心の支えになっているという、母親の春美さんが言う。「肉体はがんに蝕まれたけれど、心がすごく体に反比例して子どもたちの心がどんどんきれいになって、支えあって、ふだん、見えないものが見えてきたのだと思います」。桜ちゃんの母親の圭子さんも、桜ちゃんが応援しているよという絵を描いた理由を「治療の度に桜に頑張れと何度も言いました。桜は頑張れないというくらい辛かったから、福ちゃんにも頑張れと言えなかったのだと思います」と話していた。

  福美ちゃんに「どうしたら子どもは楽しい気持ちになれますか」という相談をしたという看護師の川西美絵さんは「いつも笑顔でみんなに接するように心がけています」と、福美ちゃんの言葉が看護活動の力になっていることを明かした。

  小児がんという難病によって、2人の肉体はもうこの世にはない。しかし2人は生きた証を残した。そして輝いていたその存在は周囲の人たちを照らしてくれている。番組の男性アナウンサーが、特集の最後で涙をこらえているのを見て、そう感じた。