小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

381 どうなる定額給付金 過去の二の舞か

 定額給付金が第2次補正予算に盛り込まれ、閣僚が受け取るとか、辞退するとかがニュースになっている。オーストラリアでは12月のクリスマスを前に景気刺激策の一部として、全国民を対象に一時給付金104億豪ドル(約6436億円)が支給された。これが本当に景気刺激につながったかどうかは、まだ分からない。

  20年前、10年前に2つのばらまき政策があったことを思い出した。1つ目は、1989年の竹下内閣当時の「ふるさと創生事業」だ。全国の市町村に交付税の名目で1億円を配るという大盤振る舞いが行われた。その結果、冷静な大人なら信じることができない「ハコもの」を中心に、ヘンテコなものが列挙したらきりがないほど全国に出現した。

  ウィキペディアによると、青森県黒石市の純金製のこけし、百石町(現おいらせ町)の日本一の自由の女神像秋田県仙南町(現美郷町)の村営キャバレー、茨城県石岡市の日本一大きな獅子頭、愛知県蒲郡市の学校屋上の巨大電光掲示板、高知県土佐町の純金カツオ像など、書いているだけで笑ってしまうような、バブルの象徴が見られた。

  こうした中で群馬県榛東村は1億円をそのまま貯金し、15年間で6000万円の利子がつき、兵庫県津名町(現淡路市)は当時の金のレートで金塊を買い、08年8月現在で1億9000万になったという。中には、まとなも人たちもいたのである。

  この10年後の1999年には、小渕内閣が15歳以下の子どもの世帯主や65歳以上の市町村税の非課税者を対象に地域振興券という商品券(クーポン券)を配布した。子育て支援や高齢者の経済的負担を軽減するのが目的だったが、ふるさと創生事業とともに評判は悪かったし、効果もほとんどなかった。

  そして、今回である。どう見ても麻生内閣自民党)と公明党選挙対策としか思えない。定額給付金の予算は約2兆円だが、これが景気刺激策になるのだろうかと疑問に思わざるを得ないのだ。とすると、またもやその付けは若い世代に回されることになる。

  追記 1月10、11両日の内閣支持率に関する世論調査で朝日は19%、共同通信は19・2%という結果が出た。内閣発足以来の最低の支持率だ。給付金についても朝日は「やめた方がいい」が63%を占め、共同の「評価しない」は70・5%に達したという。給付金政策に対し国民が覚めた目で見ていることがうかがえる数字である。

  台湾では、1月18日に景気低迷脱却策として約2300万人の全住民を対象に一律3600台湾元(約1万円)相当の商品券「消費券」の配布を始めた。台湾の人々からはこの政策を歓迎する声が強かったという。