小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2007-01-01から1年間の記事一覧

181 報復の連鎖に戸惑い 映画「キングダム」

アメリカ映画「Ray/レイ」でアカデミー賞主演男優賞を取ったジェイミー・フォックス主演の最新作「キングダム」を見た。 サウジアラビアの外国人居住区で起きた自爆テロを題材に、米連邦捜査局(FBI)の捜査官役のフォックスら4人のチームがサウジの現場に…

181 報復の連鎖に戸惑い 映画「キングダム」

アメリカ映画「Ray/レイ」でアカデミー賞主演男優賞を取ったジェイミー・フォックス主演の最新作「キングダム」を見た。 サウジアラビアの外国人居住区で起きた自爆テロを題材に、米連邦捜査局(FBI)の捜査官役のフォックスら4人のチームがサウジの現場に…

180 疲れないための読書法 頭を休める本を選ぶ

読書の秋である。書店に入って、これはと思う本にめぐり合ったときのときめきはだれでも味わったことがあるだろう。そんな本に最近出会い、いま読んでいる。この本については、次の機会に記すとしよう。きょうは、疲れないための読書法についてのうんちくで…

180 疲れないための読書法 頭を休める本を選ぶ

読書の秋である。書店に入って、これはと思う本にめぐり合ったときのときめきはだれでも味わったことがあるだろう。そんな本に最近出会い、いま読んでいる。この本については、次の機会に記すとしよう。きょうは、疲れないための読書法についてのうんちくで…

179 瓦屋根と白壁 岡山・真庭「日本の原風景」

瓦屋根の民家は、一様に白壁づくりで、秋の柔らかな日差しに輝いている。周囲には黄金色の田んぼが広がる-。「ヨーロッパの田園地帯よりも、こちらの方が落ち着きませんか」と、地元の人に言われる。私も相槌を打つ。初秋を迎えた岡山県津山、真庭市を初め…

179 瓦屋根と白壁 岡山・真庭「日本の原風景」

瓦屋根の民家は、一様に白壁づくりで、秋の柔らかな日差しに輝いている。周囲には黄金色の田んぼが広がる-。「ヨーロッパの田園地帯よりも、こちらの方が落ち着きませんか」と、地元の人に言われる。私も相槌を打つ。初秋を迎えた岡山県津山、真庭市を初め…

178 赤福よお前もか 不正の系図

ゴルフはマナーに厳しいスポーツだ。スコアを故意に少なく記入して、男子では5年、女子では何と10年の公式試合の出場停止処分を受けた選手がいたことを記憶している。不二家、石屋製菓に続いて、土産物としては全国一の販売を誇る「赤福餅」の製造日偽装問題は…

178 赤福よお前もか 不正の系図

ゴルフはマナーに厳しいスポーツだ。スコアを故意に少なく記入して、男子では5年、女子では何と10年の公式試合の出場停止処分を受けた選手がいたことを記憶している。不二家、石屋製菓に続いて、土産物としては全国一の販売を誇る「赤福餅」の製造日偽装問題は…

177 爽快さの喪失 ボクシングの亀田

11日夜のボクシング、「世界フライ級タイトルマッチ」と銘打ったTBSの番組には、怒りを通り越して、あきれてしまった。 挑戦者の亀田大毅の反則を繰り返すふてぶてしい試合ぶりからは、スポーツが持つ「爽やかさ」は全く感じられなかった。試合開始まで1時間…

177 爽快さの喪失 ボクシングの亀田

11日夜のボクシング、「世界フライ級タイトルマッチ」と銘打ったTBSの番組には、怒りを通り越して、あきれてしまった。 挑戦者の亀田大毅の反則を繰り返すふてぶてしい試合ぶりからは、スポーツが持つ「爽やかさ」は全く感じられなかった。試合開始まで1時間…

176 世界遺産第1号「姫路城」 司馬遼太郎の世界を思う

「うーん」とため息をついた。何とも言いがたい感情だ。昨年3月に訪れたドイツのノイシュバンシュタイン城を連想した。いつでも行けると思いながら、これまで行くことがなかった国宝、姫路城についに立ち寄った。 天守閣は、馥郁としたキンモクセイ(驚くほ…

176 世界遺産第1号「姫路城」司馬遼太郎の世界を思う

「うーん」とため息をついた。何とも言いがたい感情だ。昨年3月に訪れたドイツのノイシュバンシュタイン城を連想した。いつでも行けると思いながら、これまで行くことがなかった国宝、姫路城についに立ち寄った。 天守閣は、馥郁としたキンモクセイ(驚くほ…

175 秋の海もいい 九十九里にて

九十九里は自宅から車で1時間もかからない。時折車で出かける。ただ、海を見るだけでいい。心が和む。周囲にいまでいう「里山」がある家で生まれ、育った。海とは縁のない少年時代だった。山は私の友達といってよかった。長じて、海近くで生活するようになっ…

175 秋の海もいい 九十九里にて

九十九里は自宅から車で1時間もかからない。時折車で出かける。ただ、海を見るだけでいい。心が和む。周囲にいまでいう「里山」がある家で生まれ、育った。海とは縁のない少年時代だった。山は私の友達といってよかった。長じて、海近くで生活するようになっ…

174 ベトさんの死 悲劇の青春

下半身がつながった結合双生児として産まれた双子の兄弟のうち、兄のグエン・ベトさんが亡くなった。26歳の短い一生だった。 弟のグエン・ドクさんが結婚したとニュースに出たのは、たしか昨年ではなかったか。ベトナム戦争の被害者であるベトさんのご冥福…

174 ベトさんの死 悲劇の青春

下半身がつながった結合双生児として産まれた双子の兄弟のうち、兄のグエン・ベトさんが亡くなった。26歳の短い一生だった。 弟のグエン・ドクさんが結婚したとニュースに出たのは、たしか昨年ではなかったか。ベトナム戦争の被害者であるベトさんのご冥福…

173 ミャンマーと相撲界 時代に逆らう

何度も映画化された竹山道雄の小説「ビルマの竪琴」によって、ビルマ(現ミャンマー)という国名は、日本人の多くに強い印象を与えた。太平洋戦争で日本軍が占領した地域であり、小説のように、終戦後もそのままビルマに残った日本の軍人は少なくないといわ…

173 ミャンマーと相撲界 時代に逆らう

何度も映画化された竹山道雄の小説「ビルマの竪琴」によって、ビルマ(現ミャンマー)という国名は、日本人の多くに強い印象を与えた。太平洋戦争で日本軍が占領した地域であり、小説のように、終戦後もそのままビルマに残った日本の軍人は少なくないといわ…

172 小説『どろがめ』 あるクリスチャンの波乱の生涯

この世にはいろいろな人間がいる。そしてすべて個性が違う。だが、この小説の主人公である「どろがめ」こと「亀松」のような、魅力あふれた人物はそうはいない。(「どろがめ」は燦葉出版社刊) 昨今、人間不信となるできごとが何と多いことか。この日本は、…

172 小説『どろがめ』 あるクリスチャンの波乱の生涯

この世にはいろいろな人間がいる。そしてすべて個性が違う。だが、この小説の主人公である「どろがめ」こと「亀松」のような、魅力あふれた人物はそうはいない。(「どろがめ」は燦葉出版社刊) 昨今、人間不信となるできごとが何と多いことか。 この日本は…

171 面白い小説を読む楽しみ 辻原登「ジャスミン」

中国・上海と神戸を舞台に、スケールの大きく読み応えのある小説を読んだ。登場人物も魅力があり、男女の愛や日中の歴史、さらに阪神大震災も登場して、物語がどのように進むのか、小説を読みながらハラハラドキドキするという、久しぶりの興奮を味わった。 …

171 面白い小説を読む楽しみ 辻原登「ジャスミン」

中国・上海と神戸を舞台に、スケールの大きく読み応えのある小説を読んだ。登場人物も魅力があり、男女の愛や日中の歴史、さらに阪神大震災も登場して、物語がどのように進むのか、小説を読みながらハラハラドキドキするという、久しぶりの興奮を味わった。 …

170 長い旅 足摺岬への道

朝7時に自宅を出て、高知県土佐清水市に到着したのは午後3時のことだった。所要時間は8時間。けっこうな長旅で訪れた四国の外れの街は、真夏の暑さが残っていた。 羽田まではバスに乗り、飛行機で高知空港(高知竜馬空港とも呼ぶ)へ。次にJR高知駅までま…

170 長い旅 足摺岬への道

朝7時に自宅を出て、高知県土佐清水市に到着したのは午後3時のことだった。所要時間は8時間。けっこうな長旅で訪れた四国の外れの街は、真夏の暑さが残っていた。 羽田まではバスに乗り、飛行機で高知空港(高知竜馬空港とも呼ぶ)へ。 次にJR高知駅まで…

169 「ロッキード秘録」 政治とカネの原点

政治とカネは、いつの時代でも議論の的になる。今回の安倍政権のわずか1年での崩壊も背景にはこの問題があり、戦後の政治の世界も同様だった。そして、顕著な例は「ロッキード事件」だった。 高度経済成長時代のまっ只中で起きたこの事件では「いま太閤」と…

169 「ロッキード秘録」 政治とカネの原点

政治とカネは、いつの時代でも議論の的になる。今回の安倍政権のわずか1年での崩壊も背景にはこの問題があり、戦後の政治の世界も同様だった。そして、顕著な例は「ロッキード事件」だった。 高度経済成長時代のまっ只中で起きたこの事件では「いま太閤」と…

168 母の命日 旅の空の下で

母の命日は9月6日だ。優しくもあり、厳しい母だった。私は母が大好きで小学校の低学年まで一緒の布団で寝ていた。 しかし、朝、目が覚めるとそこに母はいなかった。早朝から仕事に行き、帰ってくると朝食の準備をしている。ほどんと話はしない。寡黙な人だっ…

168 母の命日 旅の空の下で

母の命日は9月6日だ。優しくもあり、厳しい母だった。私は母が大好きで小学校の低学年まで一緒の布団で寝ていた。しかし、朝、目が覚めるとそこに母はいなかった。早朝から仕事に行き、帰ってくると朝食の準備をしている。ほどんと話はしない。寡黙な人だっ…

167 カフカ・変身を読む 非日常的ながら現実を投影

周囲に読書好きがいて、ある日「カフカを読みませんか」と、手渡されたのが「変身」(白水Uブックス・池内紀訳)だった。いまさら変わった作品で知られるカフカでもあるまいと、数日放っておいた。 読書好きは、村上春樹の「海辺のカフカ」に触発されて、カ…

167 カフカ・変身を読む 非日常的ながら現実を投影

周囲に読書好きがいて、ある日「カフカを読みませんか」と、手渡されたのが「変身」(白水Uブックス・池内紀訳)だった。いまさら変わった作品で知られるカフカでもあるまいと、数日放っておいた。 読書好きは、村上春樹の「海辺のカフカ」に触発されて、カ…