小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

178 赤福よお前もか 不正の系図

ゴルフはマナーに厳しいスポーツだ。スコアを故意に少なく記入して、男子では5年、女子では何と10年の公式試合の出場停止処分を受けた選手がいたことを記憶している。不二家石屋製菓に続いて、土産物としては全国一の販売を誇る「赤福餅」の製造日偽装問題は、ゴルフでいえば、出場停止処分相当といっていい。

それにしても姑息だなと思う。一度包装して最大で2週間冷凍保存した商品を、解凍する。その時に、製造時の包装をはがして包装をし直し、当日の日付を入れ「謹製」というスタンプを押す。当然消費期限も新しくするというやり方だ。

赤福の社長は、記者会見で「偽装の意図はなかった」と釈明した。しかし、こうした冷凍食品でも「作りたて」を強調していたわけだから、やはりゴルフのスコア改ざんと同様、やってはならない行為といえる。消費者が気づかなければ、何でもやっていいという姿勢は、ことし問題になった不二家や「白い恋人」の石屋製菓と全く同じ不正の系図ではないか。

知り合いが以前、伊勢市を訪れたことをブログで紹介、終わりに「それにしても街や駅のベンチに氾濫する赤福の毒々しい看板は、何とかならないものであろうか」と書いた。

それに対して、「赤福は単品の土産物では売上げ全国一であり、松阪肉と並んで三重県の代表的な土産物です。そしておかげ横丁は、その赤福が中心となり巨額を投資して再開発した、これも三重県の代表的な観光スポットであり、いまや全国的にも有名です。だからあちこちに赤福の看板があるのも、その功績からして当然といえば当然のことなのです」というコメントがあった。

赤福の会社関係者が書いたかのような印象を受けたが、実は土産物全国一という背景に、スコア改ざん以上の不正があったわけで、「日本一」や「三重県名物」という名が汚されてしまったのである。こんなことでは、中国の食べ物は怖いなどと批判する資格は日本にはない。

大阪出張の帰りに、一度買って帰ったら、家族はあまり歓迎しなかった。(新大阪でも売っていた)あんな甘いものを喜ぶ神経がよく分からないというのが率直な印象だ。不二家から続く食品に絡む不正の続発は、日本社会のモラルハザードを実感せざるを得ないのだ。