小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

都市

1183 ネパールコーヒーと焙煎 冬至過ぎ赤く熟した実

私の部屋に観賞用のコーヒーの木がある。娘がかなり前に小さな苗木をもらってきたのが、いつの間にか1メートル60センチ以上に伸び、このところ毎年実をつけるようになった。ことしもコーヒーの実が色づく季節になった。オリーブよりもやや大きめで緑色か…

1181 デジカメ過剰撮影時代のマイナス効果 旅の記録と記憶

カメラといえばデジタルカメラの時代で、フィルムカメラを使うのは写真のプロか、一部の愛好者しかいないといっていいだろう。そんな時代、だれもが枚数を気にせずシャッターを切る。旅先で数多くの写真を撮影してしまい、あとでどれをプリントしたらいいか…

1179 チャオプラヤー川クルーズ・足マッサージ痛さの違い  タイへの旅(7)完

バンコク市内を流れるチャオプラヤー川はパリのセーヌ川と同じように、多くの遊覧船が行き交う。この川沿いにはよく知られた寺院もあり、船上から眺めるバンコクの街の変化はかなり見どころがある。 BTS(バンコク・スカイトレイン)という高架鉄道のサパ…

1179 チャオプラヤー川クルーズ・足マッサージ痛さの違い  タイへの旅(7)完

バンコク市内を流れるチャオプラヤー川はパリのセーヌ川と同じように、多くの遊覧船が行き交う。この川沿いにはよく知られた寺院もあり、船上から眺めるバンコクの街の変化はかなり見どころがある。BTS(バンコク・スカイトレイン)という高架鉄道のサパ…

1178 街中のスタバで憩う タイへの旅(6)

私はあまりショッピングに興味がない。そのために、一緒に旅行に行った家族がショッピングにいそしんでいる間は喫茶店で本を読むことが多い。今回のタイ旅行でも訪れたチェンマイ、バンコクの2つの都市で喫茶店にお世話になった。もちろん、両都市にはグロ…

1178 街中のスタバで憩う タイへの旅(6)

私はあまりショッピングに興味がない。そのために、一緒に旅行に行った家族がショッピングにいそしんでいる間は喫茶店で本を読むことが多い。今回のタイ旅行でも訪れたチェンマイ、バンコクの2つの都市で喫茶店にお世話になった。もちろん、両都市にはグロ…

1177 予測できない展開でもうまく収拾する国民性 タイへの旅(5)

チェンマイに10年近く住む友人は、タイの人々についてよく観察をしている。友人によると、日常的にタイ人と接していると、大体予測のできない展開になる。それが面白くて退屈しないそうだが、結果的には何となくうまく収まってしまうことが多いというので…

1177 予測できない展開でもうまく収拾する国民性 タイへの旅(5)

チェンマイに10年近く住む友人は、タイの人々についてよく観察をしている。友人によると、日常的にタイ人と接していると、大体予測のできない展開になる。それが面白くて退屈しないそうだが、結果的には何となくうまく収まってしまうことが多いというので…

1176 受難の歴史を歩んだアユタヤ遺跡 タイへの旅(4)

ことしは海外の2つの世界(文化)遺産を見た。7月のカンボジア・アンコールワットと11月のタイ・アユタヤである。アンコールワットは12世紀前半、アユタヤは14世紀から建設が進められた。日本では平安時代後期―鎌倉時代を経て室町時代初期に至るころ…

1176 受難の歴史を歩んだアユタヤ遺跡 タイへの旅(4)

ことしは海外の2つの世界(文化)遺産を見ることができた。7月のカンボジア・アンコールワットと11月のタイ・アユタヤだ。アンコールワットは12世紀前半、アユタヤは14世紀から建設が進められた。日本では平安時代後期―鎌倉時代を経て室町時代初期に…

1175 微笑の国での生活 タイへの旅(3)

定年後、日本を離れて海外で暮らす「ロングスティ」希望者が増えている。日本は来年4月から消費税が8%になるため、さらに海外に目を向ける人が多くなるのではないか。「一般財団法人ロングスティ財団」。こんな財団があるとは知らなかったが、ウェブで調…

1175 微笑の国での生活 タイへの旅(3)

定年後、日本を離れて海外で暮らす「ロングスティ」希望者が増えている。日本は来年4月から消費税が8%になるため、さらに海外に目を向ける人が多くなるのではないか。「一般財団法人ロングスティ財団」。こんな財団があるとは知らなかったが、ウェブで調…

1174 コムローイ(天灯)に想う タイへの旅(2)

タイ旅行で、日本では見かけたことがないものに出会った。一夜、友人に案内されてチェンマイの中心部を流れるピン川沿いに建つタイ料理の名店「ターナム」というレストランに行った。ここでは、つい先日終わったばかりのロイクラトン祭りと同じような趣向を…

1174 コムローイ(天灯)に想う タイへの旅(2)

タイ旅行で、日本では見かけたことがないものに出会った。一夜、友人に案内されてチェンマイの中心部を流れるピン川沿いに建つタイ料理の名店「ターナム」というレストランに行った。ここでは、つい先日終わったばかりのロイクラトン祭りと同じような趣向を…

1173 身体痛めて情け知る 空港での心温まる話 タイへの旅(1)

つい、先日タイを旅した。第2の都市といわれるチェンマイには奥さんとともに10年近くロングスティをしている友人がいる。この友人のことは後に触れることにして、今回は昔のことわざである「旅は道連れ 世は情け」(旅は心 世は情け、とも言う)を思い出…

1173 身体痛めて情け知る 空港での心温まる話 タイへの旅(1)

つい、先日タイを旅した。第2の都市といわれるチェンマイには奥さんとともに10年近くロングスティをしている友人がいる。この友人のことは後に触れることにして、今回は昔のことわざである「旅は道連れ 世は情け」(旅は心 世は情け、とも言う)を思い出…

1167 地球温暖化への強い警鐘 フィリピンの台風被害・COP19の比代表の演説

フィリピンを8日超大型台風30号「ヨランダ」(アジア名ハイエン))が直撃、死者は1万人を超えるという情報もある。被害が大きかったレイテ島は、東日本大震災の大津波を思い出させる惨状が広がっている。 折しも、ポーランド・ワルシャワでは気候変動に…

1165 自分史執筆のすすめ 堀淳一著「旅で出会ったアメリカ人」を読む

この世の中にはさまざまな人生がある。いま、生きている人それぞれに歴史があり、何かしら他の人を惹きつける物語を持っている。昨今は、そんな自分の半生を振り返って一冊にまとめる自分史ブームのようだ。旧知の堀淳一さんから「旅で出会ったアメリカ人」…

1162 鳥威(とりおどし)の季節 寒露は名ばかりの暑さ

24節気のうちの「寒露」が過ぎたばかりだ。露が冷たく感じられてくるころのことを言い、空気は澄み、夜空にさえざえと月が明るい季節(東邦出版・日本の七十二候を楽しむ、より)だという。それにしても、ここ数日、真夏が戻ったような暑さが続いている。…

1160 心和む曼珠沙華 あまちゃん終わり、やがて悲しき

「曼珠沙華抱くほどとれど母恋し」(中村汀女)=彼岸のころは野一面に、曼珠沙華が真っ赤に咲いている。作者は娘の心にかえって、それを両手いっぱい摘み取った。その心の高ぶりが、母の思い出をさそうのである(山本健吉編、句歌歳時記秋)。 早朝の散歩で…

1159 墓参の道の吾亦紅(われもこう) 赤いろうそくの意味は

先日のお彼岸、郷里で法事があった。父の70回忌、祖母の37回忌、母の27回忌を合同でやった。父だけが70回忌というのは太平洋戦争に召集され、1945年4月に戦死したからだ。墓参りをする前に、家の中の仏壇の前で浄土真宗の住職が経をあげた。仏…

1155 あるジャーナリストの2年半を迎えての記 裏切られた被災地

「2年半前、あまりの被害の大きさに私たちはたじろいだ。犠牲者の人数もけた違いだった。しかし、この豊かな日本社会だ。ほどなく人々の生活を立て直す力があるはずだ。誰もがそう信じたが、想いは裏切られた。被災地の人々は奥歯に何かがはさまったような…

1154 大震災から2年半の海外での事件 カッパドキアの悲劇

トルコの世界遺産、カッパドキアで旅行中の新潟大学の女子学生2人がゼミ渓谷で男に襲われ、1人が死亡、もう1人は重傷負う事件が起きた。親日的で安全な地域といわれたカッパドキアでもこんな事件があったことに驚いた人は少なくないだろう。ちょうど1年…

1151 追悼・遠藤正芳さん 教育への思い遥か

知人の遠藤正芳さんが8月初めに亡くなった。66年の生涯だった。もう少し早く、追悼のブログを載せたいと思っていたが、きょうになってしまった。穏やかな表情の遠藤さんを思い出しながら、このブログを書いている。以前、私は何度か遠藤さんにインタビュ…

1133 ベトナム・カンボジアの旅(7) 理想と現実は違うのだ・メコンにて思う

メコン川はチベット高原が源流で、中国の雲南省―ミャンマー・ラオス国境―タイ・ラオス国境―ベトナム―カンボジアを経て南シナ海へと抜ける全長4023キロに及ぶ大河だ。 以前、NHKが各国のこの流域に住む人たちを紹介する特集番組を制作したのを見て、メ…

1131 ベトナム・カンボジアの旅(5) ベトナムのバイク戦争

ベトナムの首都・ハノイに入り、そしてカンボジアを訪れ、さらに再びベトナムに戻り南のホーチミン(旧サイゴン)に行くと道路はものすごいバイクに占拠されていて、遠い時代の中国を思い出した。それは初めて中国を訪れた29年前の夏まで遡る。当時の中国…

1130 ベトナム・カンボジアの旅(4) 東洋のモナリザの魅力に負けたマルロー

紅色砂岩を基調として造られたバンテアイ・スレイは心に残った遺跡の一つだ。アンコールワットと比べ、規模は小さいが、「東洋のモナリザ」(元上智大学長で、長い間アンコール遺跡の調査に当たった歴史学者の石澤良昭氏が命名)ともいわれる優美なデバター…

1129 カンボジアの旅(3) 父親が無念の死・友人の話

アンコールワットは、あらためて詳しく紹介する必要がないほど日本でもよく知られている。私の場合、平泉や富士山が登録される以前は「世界文化遺産」と聞いて思い浮かべたのはアンコールワットだった。12世紀前半、当時のスーリヤヴァルマン2世によって…

1128 ベトナム・カンボジアの旅(2) 授業料無料の日本語学校

シェムリアップでアンコールワットのガイドをしてくれたパンニャヴットさんに「どこで日本語を勉強したのですか」と聞いたら、「シェムリアップの山本学校です。授業料は無料でした」と答えがあった。昼、観光の途中に立ち寄った土産店と道路を挟んで反対側…

1127 ベトナム・カンボジアの旅(1)  アンコールワットへの夢果たせず死んだ記者

都市にはそれぞれの歴史がある。それは日本だけでなく世界中のどの都市にも当てはまる。そしてそこに住む人たちもまた、都市とともに歴史を刻んでいる。東南アジアのベトナム、カンボジアのいくつかの都市を旅した。20世紀後半まで戦火に包まれ、多くの国…