小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1179 チャオプラヤー川クルーズ・足マッサージ痛さの違い  タイへの旅(7)完

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 バンコク市内を流れるチャオプラヤー川はパリのセーヌ川と同じように、多くの遊覧船が行き交う。この川沿いにはよく知られた寺院もあり、船上から眺めるバンコクの街の変化はかなり見どころがある。

 BTS(バンコクスカイトレイン)という高架鉄道のサパーン・タークシン駅のすぐ近くにチャオプラヤー川を遊覧するエクスプレス・ボート乗り場・サートーンがあり、ここから観光客向けの案内付き特別船(150バーツ、480円)に乗った。

 この船は「青旗船」と呼ばれ、目印として青い旗が立てられていた。 この船は乗り放題で、どこの船着き場で乗り降りしても構わないから、気になった場所で降り、そこにある寺院などを見学してまた乗船できる。以前訪ねたことがあるワット・ポーに行くため、途中下船した。この寺は全長46メートルの寝釈迦仏があり、タイ最初の大学(医学、タイ式マッサージ)が開設されたところとしても知られている。

 前日訪れたアユタヤにも、ワット・ローカヤースッターという28メートルの寝仏があったが、ワット・ポーの仏の方がかなり大きい。寺の建物内にあるワット・ポーの仏に対しアユタヤの方は外にあって、アユタヤ水害では3分の2近くが水没したという。 巨大寝釈迦仏とともにワット・ポーが有名なのは、タイ式マッサージの総本山ということであり、敷地内にはマッサージの学校もある。

 バンコクの前に数日過ごしたチェンマイでも、足のマッサージを受けた。友人の説明によると、この店はチェンマイにある婦人刑務所が運営していて、実際にマッサージ師として働いている女性たちは、刑務所の服役者だった。比較的罪が軽く、出所の日が近い女性たちが働いているという。

 友人によると、その多くは罪になると知らずに大麻にかかわった人たちで、何で刑務所に入れられたのか、理解できない女性もいるらしいという。 私は足のマッサージを受けるのは、初めての経験だった。友人は「棒を使った指のマッサージはが痛かったのではないか」と聞いたが、そんなことはなかった。マッサージを終えると、足は軽くなったような気持になった。

 ワット・ポーでもチェンマイと同じように、足の指の痛さは感じないだろうと高をくくっていた。それは間違いで、短い棒を使う場面では悲鳴を上げたいくらい痛かった。こちらのマッサージ師は若い男性で、力加減がチェンマイとは違ったのかもしれない。足の指を棒でマッサージされる度に、逃げ出したくなったが、一緒にいた家族の手前、我慢した。ここでは、最後に肩や腰までもんでくれた。サービスなのか、足マッサージの一部に入っているのかどうかは知らないが、足の痛みを忘れるくらい、こちらは気持ちがよかった。

 マッサージを終えて再び青旗船に乗り、サートーンまで戻った。日差しは強い。しかし船の中は適度に涼しく、朝に乗り合わせたにぎやかな中国人たちの姿もない。船内は静かで眠気に誘われ、うとうとしている間に、出発したサートーンに戻っていた。この夜、帰国のため空港に行き、手荷物を預けるカウンターで左肩を痛めたことは、このタイへの旅のブログ、1回目で書いた通りだ。骨に異常がなかったのは、ワット・ポーのマッサージの仕上げがよかったのかもしれないと、いまになって思ったりする。

 

写真 1、チャオプラヤー川から見ると、バンコク市内には多くの寺院がある 2、ワット・ポーの寝仏 3、アユタヤの寝仏 4、チャオプラヤー川から見た景色。三島由紀夫の小説『暁の寺』の題材になったワット・アルンが見える。 5、クルーズ船内

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