2015-01-01から1年間の記事一覧
「希望だ。それがあれば、人間は生きていける」 最近読んだ本のうち小熊英二『生きて帰ってきた男 ―ある日本兵の戦争と戦後』(岩波新書)のラストにこんな言葉が出てくる。一方、中脇初枝『世界の果ての子どもたち』(講談社)は、3人の少女が分け合って食…
「希望だ。それがあれば、人間は生きていける」 最近読んだ本のうち小熊英二『生きて帰ってきた男 ―ある日本兵の戦争と戦後』(岩波新書)のラストにこんな言葉が出てくる。 一方、中脇初枝『世界の果ての子どもたち』(講談社)は、3人の少女が分け合って…
千葉県鴨川市の高台にある大山千枚田という棚田で開催された「棚田の夜祭り」を訪ねた。傾斜地にある水田のことを棚田といい、日本だけでなく、世界各地に存在する。フィリピン・ルソン島の「コルディリェーラの棚田」(世界文化遺産)やベトナム北部の「ホ…
千葉県鴨川市の高台にある大山千枚田という棚田で開催された「棚田の夜祭り」を訪ねた。傾斜地にある水田のことを棚田といい、日本だけでなく、世界各地に存在する。フィリピン・ルソン島の「コルディリェーラの棚田」(世界文化遺産)やベトナム北部の「ホ…
「湖をとりまく山の紅葉かな」 俳人の正岡子規が日光を訪れたのは明治25年10月30日のことだ。前日、宇都宮に入った子規はこの日、日光に足を伸ばし、華厳の滝や中禅寺湖を見て、翌31日に東照宮に参拝している。子規はこの旅で『日光の紅葉』という俳句入りの…
湖をとりまく山の紅葉かな 俳人の正岡子規が日光を訪れたのは明治25年10月30日のことだ。前日、宇都宮に入った子規はこの日、日光に足を伸ばし、華厳の滝や中禅寺湖を見て、翌31日に東照宮に参拝している。子規はこの旅で『日光の紅葉』という俳句入りの短い…
「山は暮れて野は黄昏の薄哉」(与謝蕪村) 蕪村は江戸時代を代表する俳人で、絵師でもある。先日、未確認の俳句212句が俳句集「夜半亭蕪村句集」に収録されていたというニュースがあり、蕪村の俳句の奥の深さを感じたものだ。秋の気配が漂う会津や日光を…
「山は暮れて野は黄昏の薄哉」(与謝蕪村) 蕪村は江戸時代を代表する俳人で、絵師でもある。先日、未確認の俳句212句が俳句集「夜半亭蕪村句集」に収録されていたというニュースがあり、蕪村の俳句の奥の深さを感じたものだ。秋の気配が漂う会津や日光を…
(月山の降臨?現象) 森敦の『月山』(1974年に芥川賞を受賞)は、霊山である出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)の一つ、月山(1984メートル)の麓の小さな寺にある夏に住み着いた男が長い冬を過ごした後、どこかに去っていくという話の名作で、森自…
(月山の降臨?現象) 森敦の『月山』(1974年に芥川賞を受賞)は、霊山である出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)の一つ、月山(1984メートル)の麓の小さな寺にある夏に住み着いた男が長い冬を過ごした後、どこかに去っていくという話の名作で、森自…
山形の知人から、きのこの季節を知らせる便りが届いた。写真を見ると、里山のこの秋は大豊作のようだ。きのこには人間が食べることができるものと、食べると最悪命を失う毒を持ったものがある。長い歴史を経てその見分けができるようになったのだから、人間…
山形の知人から、きのこの季節を知らせる便りが届いた。写真を見ると、里山のこの秋は大豊作のようだ。きのこには人間が食べることができるものと、食べると最悪命を失う毒を持ったものがある。長い歴史を経てその見分けができるようになったのだから、人間…
詩人の大岡信は、『瑞穂の国うた』(新潮文庫)というエッセーの中で、秋のしみじみとした感じを象徴するのは酒であり、騒がしいビールの季節が終わり、10月は静かな日本酒の季節だという趣旨のことを書いている。酒がおいしい季節がやってきて、私の部屋…
詩人の大岡信は、『瑞穂の国うた』(新潮文庫)というエッセーの中で、秋のしみじみとした感じを象徴するのは酒であり、騒がしいビールの季節が終わり、10月は静かな日本酒の季節だという趣旨のことを書いている。 酒がおいしい季節がやってきて、私の部屋…
夜が明けても見える月、あるいは明け方まで残っている月のことを「残月」という。朝、西の空を見ると、すじ雲(巻雲)を従えて白くて丸い月が、すすきの彼方に浮かんでいた。一昨日の夜は、だれが名づけたのかスーパームーン(要するに満月)だった。白い残…
夜が明けても見える月、あるいは明け方まで残っている月のことを「残月」という。朝、西の空を見ると、すじ雲(巻雲)を従えて白くて丸い月が、すすきの彼方に浮かんでいた。一昨日の夜は、だれが名づけたのかスーパームーン(要するに満月)だった。白い残…
白鵬が休場した大相撲は、やはり気の抜けたビールだった。一人横綱の鶴竜は早々に2敗し、11日目まで全勝だった大関照の富士は、12日目から3連敗し、しかも右膝まで痛めてしまった。日本人力士と言えば、幕内下位で好成績だった勢が上との対戦では負け…
白鵬が休場した大相撲は、やはり気の抜けたビールだった。一人横綱の鶴竜は早々に2敗し、11日目まで全勝だった大関照の富士は、12日目から3連敗し、しかも右膝まで痛めてしまった。日本人力士と言えば、幕内下位で好成績だった勢が上との対戦では負け…
見えさうな金木犀の香なりけり(津川絵理子) 金木犀が開花した。例年よりかなり早い。辞典には「中国原産で、仲秋のころ葉腋に香りの高い小花を多数つける。橙色の花を開くのが金木犀、白いものは銀木犀という」と出ている。わが家には金木犀が2本、銀木犀…
見えさうな金木犀の香なりけり(津川絵理子) 金木犀が開花した。例年よりかなり早い。辞典には「中国原産で、仲秋のころ葉腋に香りの高い小花を多数つける。橙色の花を開くのが金木犀、白いものは銀木犀という」と出ている。 わが家には金木犀が2本、銀木…
全国に「阿弥陀堂」や「観音堂」「薬師堂」が幾つあるか知らない。だが、人それぞれに、この名称を持つ建物に接したことがあるだろう。2002年の映画『阿弥陀堂だより』に出てきた小さな阿弥陀堂は、味わい深い思いで見たことを覚えている。秋の彼岸の一…
全国に「阿弥陀堂」や「観音堂」「薬師堂」が幾つあるか知らない。だが、人それぞれに、この名称を持つ建物に接したことがあるだろう。2002年の映画『阿弥陀堂だより』に出てきた小さな阿弥陀堂は、味わい深い思いで見たことを覚えている。 秋の彼岸の一…
正岡子規は1902年(明治35)9月19日に闘病の末、34歳で亡くなった。113年前のきょうのことだ。糸瓜忌である。子規の死を知った親友、夏目漱石の句と子規最後の句は9月1日のブログで紹介した。明日20日は彼岸の入り、子規の句集を読み直した。子規の句に「一…
正岡子規は1902年(明治35)9月19日に闘病の末、34歳で亡くなった。113年前のきょうのことだ。糸瓜忌である。子規の死を知った親友、夏目漱石の句と子規最後の句は9月1日のブログで紹介した。明日20日は彼岸の入り、子規の句集を読み直した。 子規の句に「一…
憲政の神様といわれた政治家がかつて存在した。尾崎行雄(咢堂)である。1912年(大正元)、犬養毅(1932年の5・15事件で暗殺)とともに第一次護憲運動を行い、組閣したばかりの長州閥、桂太郎内閣を総辞職に追い込んだことで知られる硬骨漢であ…
憲政の神様といわれた政治家がかつて存在した。尾崎行雄(咢堂)である。1912年(大正元)、犬養毅(1932年の5・15事件で暗殺)とともに第一次護憲運動を行い、組閣したばかりの長州閥、桂太郎内閣を総辞職に追い込んだことで知られる硬骨漢であ…
大相撲で優勝35回という前人未到の記録を打ち立てた横綱白鵬が、秋場所初日から2連敗し、3日目から休場した。2007年夏場所後に横綱に昇進して8年、初めての休場だ。横綱と言えば休場が付き物のようで、白鵬以外の横綱は休場するのが珍しくはない。…
大相撲で優勝35回という前人未到の記録を打ち立てた横綱白鵬が、秋場所初日から2連敗し、3日目から休場した。2007年夏場所後に横綱に昇進して8年、初めての休場だ。横綱と言えば休場が付き物のようで、白鵬以外の横綱は休場するのが珍しくはない。 …
今月10日、北関東を流れる鬼怒川の堤防が茨城県常総市で決壊した。濁流に襲われて街が消える状況を映したテレビ画面は2011年の東日本大震災を想起するものだった。屋根に取り残された年配の夫婦と思われる2人がそれぞれ犬を抱えて、自衛隊のヘリによ…
今月10日、北関東を流れる鬼怒川の堤防が茨城県常総市で決壊した。濁流に襲われて街が消える状況を映したテレビ画面は2011年の東日本大震災を想起するものだった。屋根に取り残された年配の夫婦と思われる2人がそれぞれ犬を抱えて、自衛隊のヘリによ…