小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

460 うそのような本当の話(続) 中国と日本の超常現象

 うそのような本当の話の続きを書く。これは私自身のことではなく、新聞やテレビで報道された話である。「まゆつば」でもないところが、面白いではないか。

  中国の瀋陽市郊外に「怪披(不思議な坂)」があるという。長さ80メートル、幅25メートルのこの坂はいまや観光地なのだそうだ。自転車に乗ると、上り坂では加速し、下り坂ではこがないと止まってしまうというのだ。

  上りと下りが反対になった不思議な坂として、観光スポットになっているのだという。「地下の強力な磁場の作用」だとか「錯覚だ」という説も出ているが、科学的には証明できないから不思議なのだ。こんな道路が近所にあったら、楽しいはずだ。みんなで下り坂競争をやったら面白そうだ。下り坂で一斉にペダルをこぐ場面を見ただけで、笑いたくなる。

  もう一つ、石川県で空からおたまじゃくしが飛んできたということも話題になっている。実際に蛙の子のおたまじゃくしが空を飛んだのを見た人はいないはずだ。それでも、空を飛んだという表現が使われるのは、落ちていた場所からして空から降ってきたとした思えない状況なのだという。

(野鳥が大量に飲み込んでから飛び立ち、空から落としてしまうという説もあるようだ)

  2つの現象を「超常現象」というのだそうだ。超能力やUFOといった現在の自然科学では説明できない現象だが、明確な答えがない二つの現象は、いまのところこの範疇に入るのだろうか。これらの問題の謎解きをするのが好きな科学者もいるはずだから、いずれは2つの事象についても原因が解明され、笑い話になるかもしれない。

  こんなことを書いていたら、インターネットには「次の次官候補の厚生労働省の女性局長が逮捕」とか「千葉市長選で民主推薦31歳候補当確」というニュースが出ている。厚生労働省の職員たちや、推薦の候補者が勝てなかった自民党の幹部にはとても信じられない「うそ」と思いたいことだろうが「本当」の話だった。

  しかし、これは超常現象ではない。前者は公務員の職務に対する清廉さや潔癖さが問われ、後者は政治にも時代の流れを読む力が必要であることを教えていると思う。