小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

464 ブラックユーモア 英国と香港のばかばかしい話

 新聞を読んでいると、世の中には、面白いことが多いことを知らされる。いわば、ブラックユーモアとして読むことができる話題も少なくない。朝日新聞の夕刊で掲載された英国と香港の2つのニュースもそうしたばかばかしい範囲に入る。

  英国航空会社BAの社長と労働組合のバトル、香港は新型インフルエンザをめぐるディズニーランドの商魂のたくましさが取り上げられている。昨今の不況から日本ではリストラが横行した。賃金カットも常識のようだ。英国のBAでは、経営が苦しいから社長もやるから月給1か月分を返上してほしいと、経営側が労働組合に提案した。

 ところが、である。社長の給料は年間73万ドル(1億2千万円)、月額に直すと1千万円になる。これに対し、従業員は年収で平均3万ドル(500万円)にしかならない。社長は1ヵ月で平均社員の年収の2倍をもらっているわけで、これには組合が猛反発した。

 社長は1ヵ月ただ働きしても困らないが、社員は少ない収入の中でさらに1カ月分減らされたら、直ちに生活に響いてしまうというのがその理由だ。経営陣が永続的に自分たちの給料を劇的に削減してからの話とも伝えられた。

  米国で政府資金の投入を求める公聴会に、自家用飛行機で集まった大企業トップの行動が大きな批判を受けた。米国にしろ、英国にしろ、大企業トップの考え方は世間の常識とはかけ離れているなと思ったのは、私だけではないはずだ。

  これに対し、香港・ディズニーランドの方は社会常識よりも「商魂」を感じさせる。香港は新型インフルエンザの感染拡大防止のために小学校と幼稚園が今月12日から2週間臨時休校になった。これが決まると、香港・ディズニーランドは小学生以下を対象に1人250香港ドル(約3100円)の6月中限定で何度でも入場できる通行証の発売を始めたという。

  政府側が「子どもは家にいるのが当然で、外出する場合でも人ごみはよくない」とディズニーランドのやり方を批判し、販売中止を申し入れた。ディズニーランドは、園内100ヵ所以上に消毒液を置き、人がよく触れる施設や道具類は30分おきにきれいにするなど、衛生管理に力を入れているので大丈夫だと反論したそうだ。

  香港・ディズニーランドは2月から入場料金の値上げをして物議をかもしており、経営のためにはどんなものでも利用してしまおうという商魂を感じさせる。そこにCSR(企業に社会的責任)という考え方はない。