小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

465 ブラックユーモア(続) 東国原知事への出馬要請

「貧すれば鈍す」という言葉が浮かんだ。きょう流れたニュースの感想だ。自民党自民党古賀誠選対委員長が宮崎県庁で東国原英夫知事に会い、次の衆院選自民党公認候補として立候補するよう要請したというのだ。

これに対し東国原知事は「全国知事会が作成したマニフェスト政権公約)を自民党の公約にすべて取り込むことと、私を自民党総裁として衆院選に臨むこと」を出馬の条件に挙げたという。

東国原知事は、宮崎知事になったまだ2年少し。任期の半分を超えたばかりだ。その行動力は大変なもので、宮崎を有名にした功績は大きい。しかし、知事として力を振るうのはこれからのはずだ。それは彼を選んだ宮崎県民だれもが思っていることだろう。そんな任期半ばの知事に対し、自民党はなりふり構わず「知事の座を投げ打って国政に転じてほしい」と誘った。

ばかげた話であり、自民党はここまで落ちてしまったとの印象を持った。少し前にもこうしたうわさが流れ、東国原氏は否定したはずだ。だが、今回古賀氏は公式な訪問で出馬を要請した。その答えは東国原氏一流の「はったり」とも受け取れ、麻生首相は「そんなにおちょくったような気持ちで言っているとは思わない」と感想を話したが、自民党は完全になめられたといっていい。

古賀氏はそんなことも想像がつかずに、東国原氏を訪問したのだろうか。だから、貧すれば鈍すなのである。古賀氏は東国原氏に対し「今の自民党にない新しいエネルギーがほしい」と声を掛けたそうだが、自民党に人材が払底してしまったことも認めてしまった。

いまアジサイが梅雨空の下で美しく咲き誇っている。アジサイは同じ種類でも場所が違うと色も変わり、同じ株でも、咲き初めと終わりではかなり色が変化するため「アジサイの七変化」ともいわれる。

花言葉は「移り気」「心変わり」などであまり歓迎はされない。自民党が東国原氏の人気をあてにして、知事よりも国会議員へと「心変わり」することを勧めたとしたらお粗末そのものだ。これぞ「ブラックユーモア」そのもので、テレビのワイドショーにはいいネタを提供したといっていい。