小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

ニュース

1059 銃所持と核兵器保有は類似の論理 瀬戸際を歩く人類

米国が銃社会であることをクローズアップさせた悲劇が続いている。14日にはコネティカット州ニュータウンの小学校で銃乱射事件が起き、児童20人を含む26人が命を失った。犯罪に対する自己防衛、あるいは抑止力として3億人が銃を所持(07年調査の推…

1046 何を考えてのバンザイか さて選挙はどうするか

昨日(11月16日)、衆議院が解散し12月16日に選挙が実施される。横路孝弘議長が解散の詔書を読み上げると議場にいた大半の議員は、立ち上がって「バンザーイ」と叫んでいた。いつごろから、解散の際に、この万歳が行われるようになったのかは定かで…

1045 霧の朝に咲いた皇帝ダリア  そんな朝の暴走老人の話

このところ朝の冷え込みが増し、散歩コースの調整池周辺は霧が立ち込めることが少なくない。秋から冬へと季節が移っているのだ。立冬が過ぎたのだから、当然と言えば当然だ。池の背後にある小さな雑木林も緑の葉が次第に赤へと変化し、鮮やかさを増している…

1040 強いリーダーの実像に迫った「プーチンの思考」 ロシア問題担当記者の冷静な分析

他国のこととはいえ4年前の2008年、新しいロシア大統領にドミートリー・メドベージェフが当選した際、それまでの大統領だったウラジーミル・プーチンが首相になった時は驚いたものだ。2人乗りの自転車や2頭立ての馬車を指す「タンデム」をもじって、…

1039 セイタカアワダチソウ異聞 被災地で嫌われる黄色い花

この時期になると、全国至るところで「セイタカアワダチソウ」を見ることができる。散歩コースの調整池の周囲にもこの花が群生して咲いている。秋の風物詩になった感があるが、最近、新聞に出ていたこの花に関するニュースを見て、複雑な思いを抱いた人が多…

1035 ムーミン電車とコスモスと 秋色を見に行く

千葉県大原市に行った。いすみ鉄道の列車を見るのが目的だ。この鉄道は大原―上総中野間26・8キロという短い距離を結ぶ第3セクターの鉄道だ。一時は存続が危ぶまれたこの鉄道だったが、いまでは知る人ぞ知る路線なのである。 こんなニュースを覚えている…

1015 40年前の国交回復は遠い過去に あるチャイナウオッチャーの回想記

ことしは日中国交正常化40周年になる。しかし、尖閣諸島をめぐる対立が先鋭化していることを背景に中国国内の反日デモが暴徒化し、両国間の緊張が高まっている。中国問題をライフワークにしている知人の中島宏氏(元共同通信北京特派員)はこのほど、40…

1013 あきれた流用続出の大震災復興予算 NHK特集で怒り心頭

このブログでは、あまり悪口や罵詈雑言は書かないことを心掛けてきた。しかし、今度ばかりは、その原則を破ることにする。日本の官僚機構はここまで堕ちてしまったのかという思いを強くする報道番組を見たからだ。当初の放送日、その番組を見落としたのだが…

1009 気骨あるジャーナリストの怒り 大飯原発再稼働の裏事情

このところ雷雲の発生が多く、よく雨が降る。一方で首都圏の水がめは取水制限をするほど、水がめの周辺では雨が少ないのだから、この夏の天気はおかしい。雨が上がった夕方、散歩をしていたら、夕焼けの空に雷雲とともに秋を思わせる雲が浮かんでいた。そん…

1006 世界で一番住みやすい都市は? 大阪はなぜ魅力があるのか

「世界で最も住みやすい都市」という調査結果を英国のエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)という経済分析機関が毎年発表している。2012年版では、かつて第16回オリンピック夏季大会が開かれたオーストラリアのメルボルンが世界一だそ…

998 ピストリウスの活躍に爽快感 もうひとつのロンドン五輪

このブログで「義足のランナーに五輪資格を」と書いたのは、5年前の2007年12月のことだ。北京五輪(2008年8月)を前に、南アフリカの義足の男子短距離ランナー、オスカー・ピストリウス選手(現在25歳)が北京五輪で健常者と一緒のレースを走…

997 夕やけの雲の下に 子どものころの夢は幻 ロンドン五輪(3)

オリンピックが開催されたロンドンの街並みがテレビでしばしば紹介された。その映像を見て、「夕やけの雲の下に」という百田宗治の詩を思い出し本棚から詩集を探して読み返した。少年の夢を詠った詩である。オリンピックで活躍した若者たちにもこんな思いが…

995 五輪から消えたフェアプレー精神 なでしこよ大丈夫か ロンドン五輪(2)

ロンドン五輪はテレビのはしゃぎぶりとは裏腹に、盛り上がりがないと感じる。メダルを意識するあまりに、スポーツのフェアプレー精神とはかけ離れたプレーも目立つ。バドミントンの女子ダブルスで故意に負けようとした4チーム、8人が「無気力試合」をした…

994 ストレスたまるロンドン五輪 柔道の松本の表情が救い ロンドン五輪(1)

ロンドン五輪が始まって、きょうで10日になった。このブログを書いている現在(日本時間8月31日午後9時、現地時間午後1時)、日本選手のメダルは金1、銀4、銅6(団体競技は1と計算)の計11個だ。前半は、日本のお家芸ともいえる柔道が連日行われている。だ…

992 イチローは逆転の発想の持ち主 電撃移籍に思う

大リーグのシアトル・マリナーズからニューヨーク・ヤンキースに電撃的に移籍したイチローは天才である。それはだれもが認めることだろう。日本球界で打者として頂点を極め、大リーグでもやはり天才ぶりを発揮した。衰えを見せたことし、イチローは心境の変…

990 WBC野球不参加とオスプレイ たかがスポーツというなかれ

アメリカとの関係を象徴する2つの出来事があった。野球と政治の話である。ひとつは来年予定されているWBC野球に対し、日本のプロ野球選手会が不参加を決めたというニュースだ。 もうひとつは、事故が相次ぎ、配備に反対の声が高まっている米軍の軍用機・…

986 原発にクラゲは想定外なのか 海外の発電所も被害

国論を2分しながら、野田首相の強引な政治主導で再稼働した関電大飯原発3号機の海水取水口に大量のクラゲが発生し、稼働に影響があるというニュースが流れた。 福島の事故の後遺症が癒えないまま再稼働した大飯原発だが、自然界を甘くみてはならない、自然…

984 東電の非常識 受刑者への賠償と浪江町へのでたらめ回答

福島第一原発事故をめぐって、東京電力が福島刑務所の受刑者80人余に1人当たり8万円の賠償金を払っていたというニュースを産経新聞の報道で知った。受刑者といえども、同じ人間である以上、法的には賠償金をもらってもいいのだろう。だが、刑務所内にい…

971 バラが咲いています 花を愛する人に悪人はいない?

バラがあちこちで咲いている。散歩が楽しい季節である。美しいバラを庭に咲かせているのはどんな人なのかと想像する。花を愛する人に悪人はいないはずだ。民間企業から大学の教授になった人を知っている。この人の同僚がこんなことを言っていたことを忘れる…

970 谷風、雷電と稀勢の里 失望した大相撲夏場所

大相撲の夏場所は、意外にもモンゴル出身の平幕力士・旭天鵬が優勝した。37歳という年6場所制になってからの最高齢での優勝だそうだ。途中までトップを走っていた稀勢の里は、終盤で大崩れとなり、4敗もしてしまい、横綱の白鵬も何と5敗。大関陣も千秋…

969 秋田で見た部分日食 戦後の3大誤報の1つは幻の皆既日食観測

21日朝の「金環日食」は、秋田に出かけていたためテレビでした見ることができなかった。秋田市は晴れていて「部分食」を、サングラス3つを重ねて何とか見た。テレビの大騒ぎには驚いたが、一見の価値はあったのかもしれない。以前、日食をめぐって誤報が…

966 「虚報」と「真実」 2冊の新聞記者本を読む

新聞は「社会を映す鏡」といわれる。時代を的確に映し、記録することが新聞の使命ということなのだろう。2冊の本はそうした役割を担ったはずの新聞記者や新聞社が疲弊し、病んでしまった実態を書いている。 「虚報」(文春文庫)は元読売新聞記者である堂場…

960 悪い奴ほどよく眠る 衰退する日本政治

資金管理団体の土地取引をめぐって、政治資金規正法違反で強制起訴されていた小沢一郎・元民主党代表の判決は、大方の予想通り無罪という結果になった。裁判の過程をみていると強制起訴の根拠である検察の捜査資料の信用性が崩され、国民感情は別にしてこ無…

950 五輪代表になる厳しさ 参加することに意義があるのか

ロンドン五輪代表を決める水泳の全日本選手権が開かれている。スポーツジムで20年近くのんびりとマイペースで泳いでいる私から見ると、別の世界の人間が水をかき分けている。それにしても、五輪は狭き門だと思う。 優勝しても、標準記録を突破しなければ日…

947 表皮をそがれた柿、切り倒された桃の木 原発事故で果樹の名産地が危機

原発事故で福島県の田村市や川内村の一部に設定された警戒区域が解除になり、一部の住民が一時帰宅したというニュースが流れた。しかし、住民が元通りの生活に戻ることができるという保証は全くない。この地区よりも北部の伊達市はホットスポットといわれる…

924 1%のひらめきと99%の努力 卓球・福原の初優勝に驚く

いまあるかどうかは分からないが、かつて会社の保養所や温泉旅館には娯楽施設として卓球台があった。下手なもの同士がのんびりと小さなボールを返し合う。「ピンポン」という言葉を聞くと、そうした光景を連想する。そのピンポンを日本語では卓球という。テ…

920 姿見せた奇跡の威容 黙して見る白銀の立山連峰

先日、富山を旅し、地元の人でもまれにしか見ることができない立山連峰の雄大な冬景色に接した。静かな威容は過ぎた年の大震災でくじけかけ、萎えた心にカンフル注射をしたような、生きていることを実感させる劇的な効果をもたらした。(写真をクリックする…

919 一瞬も無駄にしないひた向きさ サッカー・市立船橋の優勝を見て

プロや社会人、大学という上の年代に比べたら高校生が技術的にも体力的にも劣っているのはだれもが思うことだ。だが、「一瞬の時間も無駄にしない」という点では、高校生のスポーツはひけをとらない。というよりも先輩たちに優っているといっていい。全日本…

916 故郷を思う天才ランナーの言葉 激走のあとの柏原選手

「僕が苦しいのは1時間ちょっとです。福島の人たちに比べたらきつくないです」。東京箱根往復駅伝、往路5区(23・4キロ)をトップで走り切った東洋大学の山登りの天才・柏原竜二は、走り終えた後、インタビューでこう答えた。東日本大震災と原発事故に…

911 命はいつか尽きるのだが… 高田の一本松・わが家の五葉松に思う

先日、岩手県陸前高田市の高田松原の「奇跡の一本松」が海水などの浸食で根が損傷してしまったため、保存を断念するというニュースが流れた。東日本大震災の復興のシンボルといわれただけに残念でならない。動植物を問わず命はいずれ尽きるものだから、仕方…