小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

992 イチローは逆転の発想の持ち主 電撃移籍に思う

画像 大リーグのシアトル・マリナーズからニューヨーク・ヤンキースに電撃的に移籍したイチローは天才である。それはだれもが認めることだろう。日本球界で打者として頂点を極め、大リーグでもやはり天才ぶりを発揮した。衰えを見せたことし、イチローは心境の変化があったのだろう。イチローを好きだという人が圧倒的に多い。だが、嫌いだという人も結構いるのだ。 嫌いな人に言わせると、イチローのメディアに対する態度が鼻につくというのだ。たしかに、彼の物の言い方は一般的な野球選手とは違う。哲学的な表現というのだろうか。それが、生意気だと思う人もいるようだ。 だが、一芸に秀でた人は、凡人と違っていい。もともと、発想が違うのだ。ことし101歳になる聖路加国際病院日野原重明さんは、医学を目指す後輩に対し「逆転の発想をしなさい」とアドバイスをする。常識とはだれでもが考えることだ。その反対側にある非常識なことの中に、実は貴重な何かがあるのではないか。医学を目指す若者に対し、日野原さんはこのように、柔軟な発想が大事だと訴えるのだ。 その意味ではイチローも逆転の発想をしながら、今日まで野球を続けてきたのではないか。「力こそ一番」という大リーグに身を投じて、10年以上もトップ選手として出場してきた背景には野球は力だけではないという思いがあったのだろう。走力を生かし内野ゴロをヒットにしてしまうという発想は、米国系の選手にはないはずだ。 イチロー嫌いの人は、それがちまちましていて、つまらないのだそうだ。高校野球ではないのだから、力で勝負するのがプロ野球だとも付け加える。彼らからみたら、イチローは技を重視する「異能の野球選手」である。そんな技の代表選手として、彼の名は残るだろう。 日本のプロ野球は、昨年から採用した飛ばないボールの「統一球」で、「投高打低」の状況になった。しかし、飛ぶボールの日本球界で活躍したイチローは飛ばないボールの大リーグに移っても、大活躍をした。統一球に四苦八苦する日本の打者たちは、イチローがなぜ大リーグで通用したのか、もっと深く研究すべきだと思う。