小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

994 ストレスたまるロンドン五輪 柔道の松本の表情が救い ロンドン五輪(1)

画像 ロンドン五輪が始まって、きょうで10日になった。このブログを書いている現在(日本時間8月31日午後9時、現地時間午後1時)、日本選手のメダルは金1、銀4、銅6(団体競技は1と計算)の計11個だ。前半は、日本のお家芸ともいえる柔道が連日行われている。だが、テレビで見ていてストレスがたまる試合が続出している。 この間、柔道ではジュリー(陪審という意味)という新しい制度が話題になっている。私も試合が途中で止まり、審判の判定が何度も覆るので、変だなと思って見てていたら66キロ級の海老沼匡と韓国選手の試合で大騒ぎになった。結果的にジュリーによって海老沼が助かった。 これは私の独断だが、この制度が導入された背景には技を重視しきれいなスタイルの柔道が、国際化することにより勝負に力を入れることが前面に出て、主審・副主審だけでは判定できない面白味のない、見ていてつまらない競技になってしまったことがある。反則技が目立つのも、審判に気づかれなければ何でもありという選手が増えていることを示している。いつから柔道はこんな魅力のない、点数重視の競技になってしまったのだろうか。 それにしても日本選手たちの元気のなさは心配だ。その象徴が金メダルを逃した体操の男子選手たちだった。経済のバブル崩壊後、日本社会は長い間閉塞状況に覆われている。それが、今回のオリンピックにも微妙に反映していると思う。試合に臨む日本選手は極度に緊張し、全く余裕はない。閉塞社会で育った選手たちがかわいそうだと思う。 そんな中一人だけ、金メダルを取った女子柔道の松本薫はよかった。見ている私でも背筋を伸ばしてしまうほどの鬼神のような表情をしていたのだ。あんな顔を見たら、相手選手は怖さを感じてしまっただろう。 NHKは午後9時のニュース9で「日本競泳陣メダルラッシュ」というテロップを付けていた。銅メダル3個(100背泳ぎの寺川綾、100平泳ぎの鈴木聡美、100背泳ぎの入江陵介)だけで果たして「ラッシュ」なのだろうか。テレビ局の関係者は大げさな報道が当たり前と思っているようだが、オリンピック報道はそれが特に目立っている。もう少し、抑制ある報道はできないものなのだろうか。