小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

630 途上国の子どもたちの悲惨な現実

画像 テレビを見ていたら、国際労働機関(ILO)の調査で世界中の5歳から17歳までの子どものうち、7人に1人に当たる約2億1500万人が「児童労働」に従事していることが明らかになったというニュースをやっていた。 児童労働というのは、子どもたちが長時間にわたって危険かつ健康を害する恐れがある過酷な農作業や鉱山、建設現場の作業に従事することで、このうち特別に危険な作業や少年兵となり戦うことを強いられたり、売春を強要されたり、人身売買の対象になった子どもは、1億1500万人に上ったという。何と日本の人口(4月1日現在の人口推計・1億2739万人)に匹敵する子どもたちが悲惨な環境で生活をしていることになる。 アジア・アフリカを中心にした途上国では、こうした実態は日常化しているようだ。いつの時代でも、しわよせは弱者が受ける。その典型は子どもである。日本でも昭和の恐慌時代、人身売買が横行し、女・子どもが犠牲になった。そして、時代が巡っても途上国の子どもたちの生活環境は容易には改善されない。 そういえば、アフガンでは農民の間で昨年秋に干ばつの被害で農作物が実らなかったためにその日の食べるものに困り、幼い子供(娘)を借金の返済費用として売るケース が相次いでいるという報道があったことを思い出した。高齢の男性が10歳前後の女児を買って、3人目、4人目の妻にする、あるいは中東の売春組織に売られてしまう。男児の方は麻薬組織に売られて、大人になると臓器売買のために殺害されることが多い と、そのニュースは伝えていた。 日本の児童憲章には「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境のなかで育て られる」とあるが、途上国の子どもたちはこの憲章とは程遠い現実に置かれているのだ。昨年、ラオスを訪問した。世界最貧国の一つといわれ、学校に行けない子どもも少なくなかった。学校で会った子どもたちの未来は明るいのだろうかと、時々考える。画像 日本では4月1日から子ども手当支給法が施行され、初年度(2010年度)は15歳未満の子どもがいる保護者には月額1万3千円が支給され、来年度からは2万6千円を支給するという「大盤振る舞い」の政策が始まった。財政的に豊かな時代なら別にして、2010年度末には国の借金(赤字国債)が1000兆に迫る973兆1625億円に達するという厳しい状況下にあり、一部負担をする地方財政も似たようなものだ。次代を担う子どもたちに大きなツケをを残す、問題の多い施策と言わざるを得ない。