小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

627 人生の選択 オチョワ選手の引退

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女子ゴルフ世界ランキング1位のロレーナ・オチョワ(メキシコ)が引退するというニュースを聞いて「やるものだ」と感心した。一方で「もったいない」とも思った。28歳だ。彼女は潔い。トップレベルに達したからこそ、選べる道なのだろう。

かつて、女子テニスの伊達公子は世界ランク8位で引退した。26歳だった。そして11年後、37歳にして現役復帰し、話題を集めた。人それぞれに人生の選択があるのだ。

オチョワ選手の引退のニュースで頭に浮かぶのは同じスポーツ選手のことだ。シニアという枠があるゴルフは別にして、40歳を過ぎてもなお現役を続けるプロ野球選手2人である。

投手の工藤(西武)と、外野手の金本(阪神)だ。2人とも名実ともに名プレーヤーである。しかし、ことしは活躍したというニュースはない。工藤は5月5日で47歳、金本は42歳だから、プロ野球選手としてはとっくに峠を越えている。

だが、2人は峠を越えながらも、限界に挑戦し続けている。「生涯現役」という言葉を言うのは簡単だが、それを実践するのは難しい。とりわけ、相手がある勝負の世界では本人の意思はあっても、容易ではない。眼の前には厚い壁があるはずだ。その壁に挑む2人の姿勢は美しい。

オチョワ選手は、桜でいえば「満開」状態で引退する。一方、工藤と金本は、鎌倉・鶴岡八幡宮の大イチョウに似ていると思う。

イチョウは樹齢が800年―1000年といわれたが、3月10日に強風で倒れてしまった。しかし、現在は株もとから「ひこばえ」が出てきて、将来は大イチョウが復活すると、語られるようになった。

2人は体がぼろぼろになっているはずだ。金本は肩が痛んで満足にボールを投げることができない状態だった。しかし大イチョウのように倒れるまで、現役を続けようとするだろう。

金本も工藤もそう遠くない将来、ユニフォームを脱ぐことになるのかもしれない。そのあとで、彼らの指導によって、新たな名選手の候補(ひこばえ)たちが登場すると想像する。

追記 オチョワの引退試合で、宮里藍が優勝した。今季3勝目だ。宮里は米国でも一流プレーヤーの道を歩んでいるようだ。