小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

631 壊れたCDプレーヤー ものづくりへの哲学

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 最近CDプレーヤーの調子がおかしくなった。まだ購入して3年半しかたっていないのに、CDによって音が飛んだり、全く音が出なくなったりする。中にはごくまれに普通に音が出るものもある。

  CDプレーヤーは小さなレンズからレーザー光をあてて情報を読み取る仕組みで、レンズがホコリなどで汚れてしまうと、情報を取り込めずに、音飛びやサーチが出来なくなるというのだ。このプレーヤーを修理に出すかどうか迷っている。

  そんな数日が過ぎて、ふだん使っていないCDプレーヤーの存在を思い出した。それはもう20数年前、オーディオに凝っているころなけなしの小遣いをはたいて購入した、当時としては最高級に近いプレーヤーだった。

  それは居間のラックに納まり、1年に1、2度、気が向いた時に、家人がスイッチを入れるだけで長い時間が過ぎた。けっこう重い。1階の居間から2階の部屋に移すのに苦労する。アンプとスピーカーにセットし、CDを入れる。内田光子とイギリス室内管弦楽団モーツァルトのピアノ協奏曲22番を聞く。間違いない、スリリングな内田の演奏だ。壊れた方のプレーヤーよりもいい音がする。

  機械には当たり外れがあるという。比較的均一化された日本の家電製品でもそれはある。それにしても3年半の方が壊れ、20数年の方がそのまま使えること自体がおかしい。2つのメーカーは違う。

  使う側にしてみれば、後者のメーカーに信頼を置くのは当然だ。(経営不振で別の音響メーカーと経営統合し、子会社になった)使い捨てという考え方は、やはりおかしいのだ。ものづくりに対する哲学が2つのメーカーでは違うのだろうか。

  昨今の民主党政権を見ていると、なにやら壊れたCDプレーヤーに似ている。最初はいい音がしたが、作り(政策、マニフェスト)が粗雑だったために耐久性がなく、あっという間に音もおかしくなった。

  米軍の普天間基地問題で、沖縄を訪問した鳩山首相は「昨年の衆院選当時は、海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかったが、学べば学ぶほど海兵隊の各部隊が連携し抑止力を維持していることが分かった」と述べている。

  首相というCDプレーヤーは壊れてしまったのだろうか。そうとしか思えない。