小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

629 3Dの世界を初体験  映画「アリス・イン・ワンダーランド」

画像 いわゆる「3D」という立体画面の映画を初めて見た。今年になって「アバター」が日本でも上映され、3Dが流行語になった。この方式のテレビも最近発売になり、眼鏡をかけた立体映像の世界が急速に浸透しつつある。 眼鏡をかけて映画を見るというのは、肌に合わないと思い、「アバター」は見送った。しかし、一度体験しないことには、その可否は分からない。そこで現在上映中の「アリス・イン・ワンダーランド」を見ることにした。 この映画は、イギリスの作家・ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」と、その続編「鏡の国のアリス」のヒロイン・アリスの冒険を映画化したものだ。キャロルは詩人でもあり、数学者、論理学者、写真家という幅広い教養人だった。アリスを主人公にした物語は児童文学として有名だ。 わが家の本棚にも生野幸吉訳の福音館書店版の2冊がある。実はアリスは実在した少女で、キャロルが勤務していた大学の同僚の娘で、アリスら3人の少女にせがまれて話した物語を、文章にまとめたのが、この作品が生まれるきっかけだったという。 映画は、原作とは違い大人になったアリスが婚約を願う金持ち青年のパーティーで、白いウサギを見て「不思議の国」に迷い込み、そこで悪の女王と良い女王の戦いに巻き込まれるというストーリーだ。アリスを演じたのはオーストラリア出身のミア・ワシコウスカという22歳の新進女優で、アリスととともに、この映画で重要な役割を演じるマッドハッターという帽子職人は「カリブの海賊」のジャック・スパロウ役で知られるジョニー・デップが演じている。 ふだんよりチケット代として500円多く払い、入り口にあった眼鏡をもらい座席に座る。予告編は通常の画面から始まり、途中から「ここから3D眼鏡をかけて」という注意書きが入る。 しばらく3D映画の予告が続き、本作品の上映が始まった。画面全体が暗く、しばらくは立体映像に慣れない。「液晶シャッター方式」Xpandxという通常のホワイトスクリーンで上映可能な方式らしい。 眼鏡の重さも気になる。時々、画面から映像が飛び出し、こちらに向かってきて顔をよけてしまう。これが3Dなのだろう。しかし、迫力ある画面の連続かと予想した割にはそれほどでもない。これでは今夜の夢にアリスの世界は出てこないだろうなと考えた。 この映画に対し批判的な世評が多い。「アバター」でもそうだったが、この程度だったら、2Dで十分という声も少なくない。しかし、現段階で「3Dはつまらない」と判断するのは早計だと思う。日本では本格的な3D映画を見ることができる映画館はまだ数カ所しかないそうだ。こうした映画館が増えることによって、迫力がある立体映像の世界を楽しむことができるという指摘もある。いずれにしても映画を見る楽しみが増えたことは嬉しいが、チケット代の値上げには賛成できない。
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