小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

403 うぐいすが鳴いた 優しい初音

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日の出の時間が早くなり、朝の散歩には気持ちがいい季節だ。「光の春」という見出しをつけた新聞記事も見た。降り注ぐ陽光の明るさを表現した好きな言葉だ。つい最近、犬の散歩の途中、公園の近くで鶯の鳴き声を聞いた。 朝の冷たい空気の中で初めて聞く鶯のさえずりは快い。「梅に鶯」というし、既に梅の花は満開になり、沈丁花も咲き始めているので、鶯が鳴いてもおかしくはない。「初音」(はつね)というのだそうだ。 辞書を引くと、栄華物語の中で「鶯のうらわかき初音にも」というくだりがあり、芭蕉の高弟である宝井其角の句にも「うぐひすの身を逆(さかさま)に初音かな」と、初音が登場する。かつては女性の名前にもよく使われた。優しい響きがあり、奥ゆかしさを感じる。 実はこの季節、ミモザの黄色い花が目に付くようになった。九州などどちらかというと、暖かい地域の花だと思っていたが、わが家の周辺を含め関東周辺の庭や玄関先で黄色い花を見かけるようになった。花言葉は「最高の女性」「最高の愛」だそうで、かつてトヨタ自動車のCMソング(歌・ゴスペラーズ)にも使われたことがある。地球の温暖化で生態系も徐々に変化し、動植物の分布にも影響しているのだろうか。 かつて、青森や北海道は稲作には適した地域ではなかった。常時冷害の心配があった。しかしいまでは青森、北海道でもおいしい米が生産できるようになった。低温にも強く、おいしさも追求した品種を作ろうという研究者の努力が功を奏したことは言うまでもない。それに温暖化が加わり、将来北海道が一番の米どころになるという見方もある。(現在の作付面積は2位になっている) こんなことを書いていたら、愛知県のウズラ飼育農家で高原性鳥インフルエンザが発生したというニュースが流れた。卵を出荷するために飼育しているウズラがウイルスに汚染されてしまい、大量のウズラが処分されてしまう。人間の都合で飼育され、病気になると殺されるという命のはかなさを思う。