小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

244 邂逅(かいこう)の季節  3つの贈る言葉

このところ、別れや新しい出会いがある。3月、4月は、人生で何回も繰り返す「邂逅(かいこう・めぐりあい)の季節」なのだ。

流行作家だった亀井勝一郎は「人生は邂逅である」(正確には人生 邂逅し 開眼し 瞑目す)という名言を残した。うまい言葉である。そうした出会いや別れを経て、私たちは人間関係の大切さを再認識するのだと思う。

若い友人の送別会は、新しい道を歩む友人の激励会でもあった。私は友人に好きな言葉3つを贈ろうと思ったが、うまく言葉は出なかった。

あらためてその3つの言葉を記す。その1つはもちろん「邂逅」だ。出会いを大切にしてほしいと思うからだ。

2番目は「ひた向きに」だ。新しい仕事に就いても、これまで以上のひた向きさを持続することを願うからだ。3つ目は「挑戦する姿勢」。別の進路を選んだ以上は、この姿勢が一番必要とだれしもが思うはずだ。

友人たちそれぞれが、別れの言葉を贈った。涙しながら話す友人もいて、贈られる友人がかけがいのない人であることを痛感した。こういう会合は、たぶんこの季節には、数多く開かれているはずだ。そして、人間関係とは何と不思議なものであるかに気がつくのである。

新しい出会いもあった。ボランティア的業務で所属する組織の会合に出席し、私の全く知らない世界の話を聞く。それは異業種交流的な雰囲気だった。

世間にはこんな人々もいたのかという会合だった。狭い世界で暮らしてきたかを実感した。ある人は「ボランティアなのに、与えられた業務に全精力を傾けている」と話した。そのために、帰宅すると、心身ともに疲労の極限に達してしまうのだという。

人にはそれぞれの生き方がある、ということを考えさせられた1週間だった。