小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

166 1年でまた自民党総裁選 次の総選挙が試金石

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 ちょうど1年前、自民党の総裁選が行われていた。安倍、麻生、谷垣の3氏が立候補し、当初から安倍優勢が伝えられ、日本記者クラブで開かれた公開討論会でも、麻生、谷垣両氏は安倍氏を気遣う発言をしていて、勝負あったという印象が濃厚だった。 まさか、1年後に再び自民党総裁選があるとだれが予想しただろうか。

 安倍氏の若さからすれば、まさか1年で政権を投げ出すと思う人はそう多くはなかったはずだ。 政界は一寸先が闇といわれるそうだ。明日に予測もつかないことが起きることが政治の世界ではしばしばある。安倍氏の挫折は起こるべくして起きたわけで、そう驚くことではない。

 安倍氏を支える大臣に問題人物を起用しすぎたのが原因であり、彼のこれまで挫折を知らない強引な政治手法が、さまざまなひずみや軋轢を生じさせた。 早晩、問題が続出することは目に見えていた。だから、安倍政権の崩壊は時間の問題とだれもが思っていた。しかし、国会で施政方針演説を終えた直後に内閣を投げ出すとは、あまりに唐突で常識外の行動だった。 それは、自民党の多くの議員も予想だにしない「あきれた行動」だったのである。

 安倍後継として麻生幹事長、福田元官房長官の2人に絞られた。あまり代わり映えのしない顔である。若さを売り物にした安倍氏に比べ、麻生氏、福田氏とも決して若いとはいえない。会社員でいうと、とうに定年退職し、第二の人生を歩んでいる年齢だ。 そういう意味では、フレッシュさはない。どちらが首相になっても、安倍氏よりは安定した政治の舵取りをするはずだ。それが参院選自民党に鉄槌を下した国民の眼にはどう映るのか。

 いまのところ、福田氏の優勢が伝えられている。71歳の老首相の誕生が濃厚だ。いずれにしても、そう長くない期間で衆院は解散され、総選挙があるだろう。そのときが自民党が老首相を選んだことが国民に問われるのである。(写真は雨のパリの街並み、安倍さんの心境はこんなものか。氷雨にぬれてもだれも傘をさしのべてくれないなあ)