小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

スポーツ

1249 若きエースの肱の故障 田中投手は「勤続疲労」なのか

大リーグ・ヤンキースの田中将大投手が、肘のけがで当分戦列を離れることになったというニュースは衝撃的だった。野球の投手にとって肘や肩の故障は致命的なことが少なくない。それだけに野球というスポーツで肘と肩には負担がかかっているといえるだろう。…

1245 森に響くキツツキのドラミング 梅雨の晴れ間の朝に

毎朝、ラジオ体操に参加している。遊歩道の一角に広場がある。そこには色とりどりの花が咲いている花壇があって、この周囲を取り囲むような形で40人近い人たちが体操をしている。けさは梅雨の晴れ間、暑さもたいしたことはなく、さわやかだった。広場の隣…

1207 最後に輝きが ソチ五輪閉幕・歴史に残る羽生、葛西、浅田3選手

ソチ五輪が閉幕する。ソチと日本の時差は5時間だが、現地時間午後10時に決勝が始まる競技もあり、多くの人が寝不足になったのではないか。欧米のテレビのゴールデンタイムに合わせるため遅い時間に競技のスタートを組んだというから、五輪の商業主義が進…

1205 もう一人のレジェンド いまも現役・長野五輪のテストジャンパー

ソチ五輪の男子ジャンプ、個人ラージヒルで41歳の葛西紀明選手が銀メダルに輝いた。この年齢でスキーの第一線を続け、しかも世界のトップの位置を占めているのは驚異としか言いようがない。だれが名付けたのかは知らないが「レジェンド=伝説」という言葉…

1204 氷上に映えた羽生の凛々しさ 仙台人の気質とは

ソチ五輪の男子フィギュアで金メダルを取った羽生結弦は仙台市泉区の出身だ。プロ野球で活躍し、1月に野球殿堂入りを果たした佐々木主浩(かずひろ)も同じ泉区の生まれで、高校(東北高校)は羽生の大先輩にあたる。 羽生が生まれる以前のことになるが、私…

1203 相次ぐ人気車種のリコール ソチ五輪の陰で

ソチ五輪のニュースが大きく扱われている中で、11日と13日の新聞に日本の代表的自動車メーカーであるホンダとトヨタの人気車種、ハイブリット・フィット(ホンダ)、プリウス(トヨタ)のリコールの記事が載っている。対象の車はフィットが8万1000…

1202 幻のオリンピック物語 2020東京大会は成功するのか

ロシアのソチで冬季五輪(第22回)が開催されている。旧ソ連時代、1980年夏の大会がモスクワ(22回大会)で開かれたが、アフガニスタンへのソ連軍の侵攻をめぐって日本を含む西側の多くの国が参加をボイコット、寂しい大会になった。 そんな経緯があ…

1195 マー君の契約にため息 重圧との戦いも

無芸大食(最近は小食の方か)の身には、全く別の世界の話のように思ったのは、マー君こと楽天の田中将大投手の大リーグヤンキースへの移籍の話だ。ポスティングシステムで移籍が決まったマー君は、年俸総額1億5500万ドル(日本円で161億5000万…

1172 ユーモア精神あふれるものは?間投詞について

イギリスでは、バンザイを意味する言葉として「hooray」という間投詞(感動して、不意に叫んだ言葉)があり、女王陛下万歳は「Hooay for the Queen!」ないし「Hurray for the Queen!」というそうだ。24日に千秋…

1163 野球の神様の遺言 問われるトップの力量

打撃の神様と呼ばれたプロ野球の強打者で、巨人の監督として9年連続日本一(V9)という偉業を成し遂げた川上哲治さんが老衰で亡くなった。93歳だったから、大往生だったといえるだろう。 昨夜の日本シリーズ楽天―巨人戦前には、東京ドームで川上さんの…

1157 球こそ遊戯の中心 正岡子規・田中将大・斎藤佑樹・バレンティンの話

2006年8月といえば、もう7年も前になる。夏の高校野球・甲子園大会の決勝戦は早実と駒大苫小牧が1試合では決着がつかず、翌日に再試合の結果、早実が優勝した。その時の両チームのエースは早実がハンカチ王子といわれた斎藤佑樹、駒大苫小牧が2年生…

1152 つかの間の喜悦~それはまたつかの間に地に堕ちる 五輪と古代ギリシャ詩人

2020年の夏の五輪(第32回)・パラリンピック開催地に東京が決まった。アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されているIOC総会の中継のテレビ映像を、早朝から見ていた人は多いだろう。歓喜に沸くシーンを繰り返し流すテレビの映像を見ながら、最…

1114 「関白」ゆかりのホテルにて 子どもの歓声戻った大洗

久しぶりに茨城・大洗を訪れた。海岸は白い波頭が目立ち、2年前のあの日(東日本大震災)のことを想像した。大洗の海岸に面する大洗シーサイドホテルに泊まった。このホテルはアマチュア野球界の神様的存在の故石井藤吉郎さん(1924~1999)の生家が…

1103 花束を拾う姿に浅田の区切りを思う 挫折を乗り越えたスケート人生

フィギュアスケート女子の浅田真央が、ソチ冬季五輪シーズンとなる来季限りで現役を引退する意向だというニュースが流れた。東京で行われていた世界国別対抗戦のフリーのあと「ソチ五輪を集大成としていい演技ができるようにしたい」と、引退表明と受け取れ…

1088 選手の人生狂わす五輪 ピストリウスお前もか

義足のランナーとしてロンドン五輪に出場した南アフリカのオスカー・ピストリウス選手(26)が恋人で弁護士の女性を射殺した事件が注目を集めている。私もこのブログで過去2回、ピストリウス選手のことを取り上げている。殺人事件に加え、ドーピング疑惑…

1079 「人は生き、愛し、苦しみ、亡くなる」 美しい横綱・大鵬との別れ

不世出の大横綱といわれた大鵬が19日に亡くなった。いつも遠くを見るような、哀しみを湛えたような風貌を忘れることができない。土俵入りは孤高さを感じさせ、私は「この人は笑ったことがあるのだろうか」と思ったものだ。 大鵬と同時に横綱になり、柏鵬時…

1064 大リーグで成功した3人の1人 記録と記憶に残る松井が引退

日本球界から大リーグに移って、成功した選手はそう多くはない。日本人初の大リーガーである村上雅則もいるが、成功した3人を挙げれば野茂英雄、イチロー、松井秀喜だろうか。ヤンキースに残った黒田博樹や1年目うまく行ったダルビッシュ有も成功組に入る…

1056 知恵と独創性と躍動感と 「TOKYOオリンピック物語」

『「宗谷」の昭和史』に続き、ノンフィクション作品を読んだ。昨年、東日本大震災発生直前に発売になった『TOKYOオリンピック物語』(野地秩嘉著、小学館)だ。震災直後に購入したのだが、当時は茫然自失状態にあり、手に取ることなく本棚の片隅に放置…

998 ピストリウスの活躍に爽快感 もうひとつのロンドン五輪

このブログで「義足のランナーに五輪資格を」と書いたのは、5年前の2007年12月のことだ。北京五輪(2008年8月)を前に、南アフリカの義足の男子短距離ランナー、オスカー・ピストリウス選手(現在25歳)が北京五輪で健常者と一緒のレースを走…

997 夕やけの雲の下に 子どものころの夢は幻 ロンドン五輪(3)

オリンピックが開催されたロンドンの街並みがテレビでしばしば紹介された。その映像を見て、「夕やけの雲の下に」という百田宗治の詩を思い出し本棚から詩集を探して読み返した。少年の夢を詠った詩である。オリンピックで活躍した若者たちにもこんな思いが…

995 五輪から消えたフェアプレー精神 なでしこよ大丈夫か ロンドン五輪(2)

ロンドン五輪はテレビのはしゃぎぶりとは裏腹に、盛り上がりがないと感じる。メダルを意識するあまりに、スポーツのフェアプレー精神とはかけ離れたプレーも目立つ。バドミントンの女子ダブルスで故意に負けようとした4チーム、8人が「無気力試合」をした…

994 ストレスたまるロンドン五輪 柔道の松本の表情が救い ロンドン五輪(1)

ロンドン五輪が始まって、きょうで10日になった。このブログを書いている現在(日本時間8月31日午後9時、現地時間午後1時)、日本選手のメダルは金1、銀4、銅6(団体競技は1と計算)の計11個だ。前半は、日本のお家芸ともいえる柔道が連日行われている。だ…

992 イチローは逆転の発想の持ち主 電撃移籍に思う

大リーグのシアトル・マリナーズからニューヨーク・ヤンキースに電撃的に移籍したイチローは天才である。それはだれもが認めることだろう。日本球界で打者として頂点を極め、大リーグでもやはり天才ぶりを発揮した。衰えを見せたことし、イチローは心境の変…

990 WBC野球不参加とオスプレイ たかがスポーツというなかれ

アメリカとの関係を象徴する2つの出来事があった。野球と政治の話である。ひとつは来年予定されているWBC野球に対し、日本のプロ野球選手会が不参加を決めたというニュースだ。 もうひとつは、事故が相次ぎ、配備に反対の声が高まっている米軍の軍用機・…

970 谷風、雷電と稀勢の里 失望した大相撲夏場所

大相撲の夏場所は、意外にもモンゴル出身の平幕力士・旭天鵬が優勝した。37歳という年6場所制になってからの最高齢での優勝だそうだ。途中までトップを走っていた稀勢の里は、終盤で大崩れとなり、4敗もしてしまい、横綱の白鵬も何と5敗。大関陣も千秋…

950 五輪代表になる厳しさ 参加することに意義があるのか

ロンドン五輪代表を決める水泳の全日本選手権が開かれている。スポーツジムで20年近くのんびりとマイペースで泳いでいる私から見ると、別の世界の人間が水をかき分けている。それにしても、五輪は狭き門だと思う。 優勝しても、標準記録を突破しなければ日…

924 1%のひらめきと99%の努力 卓球・福原の初優勝に驚く

いまあるかどうかは分からないが、かつて会社の保養所や温泉旅館には娯楽施設として卓球台があった。下手なもの同士がのんびりと小さなボールを返し合う。「ピンポン」という言葉を聞くと、そうした光景を連想する。そのピンポンを日本語では卓球という。テ…

921 五輪で韓国に勝てないのはなぜなのか 映画・マイウェイで理解した背景

「真実を基に作られたマイウェイの世界」と映画のパンフには書かれてある。第二次世界大戦の大きな分岐点になった連合軍のノルマンディ上陸作戦後、一人の東洋人が捕虜として連合軍の尋問を受ける写真が残っていた。 この映画はこの東洋人捕虜という「事実」…

919 一瞬も無駄にしないひた向きさ サッカー・市立船橋の優勝を見て

プロや社会人、大学という上の年代に比べたら高校生が技術的にも体力的にも劣っているのはだれもが思うことだ。だが、「一瞬の時間も無駄にしない」という点では、高校生のスポーツはひけをとらない。というよりも先輩たちに優っているといっていい。全日本…

916 故郷を思う天才ランナーの言葉 激走のあとの柏原選手

「僕が苦しいのは1時間ちょっとです。福島の人たちに比べたらきつくないです」。東京箱根往復駅伝、往路5区(23・4キロ)をトップで走り切った東洋大学の山登りの天才・柏原竜二は、走り終えた後、インタビューでこう答えた。 東日本大震災と原発事故に…