小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1386 曲がり角の商業五輪 記録的猛暑の中で考える

画像
猛暑が続いている。東京では7月31日からきょう5日まで6日連続して気温が35度を超える猛暑日となり、気象庁が統計を取り始めてからの記録を更新した。外を歩くと、暑さのあまり身体がふらつく。熱中症患者が続出していて、全国的に救急車がフル稼働状態にある。 5年後、この時期に東京で五輪が開催される予定だ。あまりにも過酷な時期の開催といっていい。室内競技は別にして、屋外競技は大変厳しい条件となり、競技者も観戦者も相当な覚悟が必要になるだろう。 アマチュアリズムを追求した五輪は、いつの間にか国威発揚の場となり、さらに巨額の金が動く商業五輪へと様変わりしてしまった。テレビ放映権、スポンサーの意向によってこの時期(7〜8月)の開催が常態化してしまったという。しかし、このような猛暑の中での開催は五輪憲章にある「より速く、より高く、より強く」を追求することなど、望みようがない。選手たち特にマラソンや長距離の選手は気の毒としか言いようがない。 それにしても2020年に予定されている東京五輪は、問題が多い。新国立競技場の建設計画が白紙撤回されたと思ったら、エンブレムに採用されたデザインがベルギーの劇場のロゴマークと酷似していたことが指摘されている。本人が記者会見で盗用疑惑を否定したが、ケチがついたことは間違いない。 招致の最終プレゼンで安倍首相は、福島の原発事故について「状況はコントロールされている」と発言をした。だが、原発がコントールできているとはとても言えない。例えば、1号機の原子炉建屋カバーの本格的な解体作業が始まったのはつい先日のことであり、東電は2016年度中に解体を終え、がれき撤去などをした上で、東京五輪が開催予定の20年度中に使用済み核燃料プールの核燃料392体の取り出しを始めたいと公表している。しかし、これはあくまで希望的観測であり、予定どおり作業が進むかどうかは分からない。 先日、2022年の冬の五輪が北京で開催されることが決まった。立候補したクラクフポーランド)、ミュンヘン(ドイツ)サンモリッツ(スイス、)ストックホルムスウェーデン)の各都市が民意や財政難を理由に次々に辞退し、残っていた4都市から北京とアルマトイカザフスタン)が残り、決選投票で4票という僅差で北京に決まった。五輪を一般市民が冷静に見つめている結果であり、商業主義が目立つオリンピックは確実に曲がり角に来ていることを物語っている。北京のあとの冬の五輪を札幌が招致活動をするという。五輪より、ほかにやることがあると思うのは私だけではないだろう。決まってしまったから仕方ないが、東京も同様である。 写真、これは涼しい。ロンドン、テムズ川クルーズ。記事とは関係ありません。 幻のオリンピック物語 2020東京大会は成功するのか