小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1813 天災と人災「小径を行く」14年目に

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 台風15号によって私の住む千葉県は甚大な被害を受けた。中でも大規模停電は、昨年北海道地震で起きた「ブラックアウト」の再現かと思わせた。東京電力によると、全面復旧にはまだかなりの時間を要するという。これほど深刻な災害が起きているのに、なぜかこの日本はのんびりとしている。新聞やテレビを見て私はため息をつくばかりだ。  

 被害が深刻化している最中、安倍内閣の改造があり、新聞はそのニュースでもちきりだった。どう見ても、取り巻きと政治家歴が長いだけの実績不明の人たちが登用されている。ホープといわれる小泉進次郎氏が環境相(兼内閣府特命大臣)に起用され、直後に福島県を訪れ、前任者の原田義昭氏の発言(10日の記者会見で、東京電力福島第1原発放射性物質トリチウムを含んだ処理水について「所管を外れるが、思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている」と述べた)を謝罪した。得意のパフォーマンスである。彼が弁明することではなく、原田氏の問題のはずである。謝られた福島県も当惑しただろう。  

 この後、ヤフーがファッション通販サイトZOZOTOWNを買収し、ZOZOの創設者、前澤友作氏が代表取締役社長を退任するニュースが大きく扱われた。同時に前澤氏が自身の保有株を売却し、2400億円を手にすると報じられた。世の中にはこんな人もいるのである。停電によって炎暑地獄に暮らす人々とは別世界の話であり、不快になって途中でテレビを消した。  

 ブラックアウトは、電力会社の管内全域が停電することを言う。今回の千葉県の停電は正確にはブラックアウトではない。だが、それに近い状況だったことは言うまでもない。台風の後、森田健作千葉県知事や東京電力関係者は「想定以上の台風だった」ことを明かした。森田知事は12日の記者会見で「想定以上(の台風)が来ちゃったところがある」と語ったという。何をもって想定以上といえるのか不明だ。大災害を想定して対策を立てるのが行政の責任なのに、それを放棄しているとしか言いようがない。

 東京電力の対応も後手に回っている。送電線に倒れた木が絡むなどこちらも想定以上の被害が出たことを理由に挙げている。「想定以上」は、東電福島原発事故で使われた「想定外」と同義語といっていい。事前に予想した範囲を超えた台風だったと言いたいのだろうが、裏を返せば予想が甘かったということにほかならない。その結果、極めて深刻な事態になった場合の対応策を取っていなかったことが露呈してしまった。  

 久しぶりにラジオ体操に姿を見せた仲間の1人は「子どもの家に避難していました」と話していた。停電が長引き、家にはいられないと一時避難したそうだ。私の家の周辺では、停電が相次いだためか終戦直後のことを思い出したという人や行政は頼りにならないと怒る人が少なくない。南房総市など被害の大きな地域への職員派遣が3日後になるなど千葉県の台風の後の初動は遅く、森田知事が県南部を視察したのは14日だった。「国力を借りなければと実感した」と語ったと新聞に出ていたが、何を今更と読者は思うだろう。(15日午後9時現在、千葉県の停電は10万9700戸、停電に伴う断水は約2万戸)  

 天災(自然災害)は、この地球に住む以上避けることはできない。だが、天災による被害を大きくしてしまうのは人災である。  停電や断水で不自由な生活を強いられている皆様にお見舞い申し上げます。  

 このブログの1回目は2006年9月13日でした。何気なく始めたブログですが、既に13年が過ぎ14年目に入りました。「継続は力」を心に刻み、今後も随時更新します。引き続きご愛読をお願いします。  

 写真 倒木を利用してだれかが遊び場をつくった  

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