小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

44 紙一重

  寒い1日、スポーツをテレビ観戦して「紙一重」という言葉をかみしめた。東京国際女子マラソン、そして、男女のゴルフの結果を見てそう感じた。

  東京国際女子マラソンは、シドニー五輪金メダリストの高橋尚子(34)と実力者の土佐礼子(30)の一騎打ちというのが下馬評だった。レース展開はその通りになった。

  ペースメーカーがいなくなって、しばらく併走状態のあと、土佐が31キロ付近でゆさぶりをかけ、見る間に高橋を引き離した。

  気温が低く、しかも雨という悪コンディションのなかで、高橋は途中で手袋を捨て、さらにかぶっていた帽子も捨てた。

  高橋の表情はさえなかた。気分を変えようとしたのかもしれない。しかし、途中の走りはまるでジョギング並みの遅さだった。

  天気に負けたのかどうかは分からない。あるいは年齢からくる限界かもしれない。土佐との差は、悪条件でも自分のペースを維持できるかどうか、あらゆる条件を克服する体力が足りなかったということだろう。高橋の再挑戦が待たれる。

  一方、男子ゴルフ、宮崎のダンロップフェニックスでは、タイガーウッズがプレーオフの末、アイルランドのハリントンに負け、3連覇はならなかった。

  途中までは2打差をつけながら、並ばれてプレーオフに。たぶん、ウッズはハリントンを甘くみて、失敗したのだろう。ハリントンの小技のさえは素晴らしいの一語に尽きる。

  女子の横峯さくらも優勝のチャンスがありながら、終盤でショット、パットともおかしくなって、ことしの3勝目は実現しなかった。見ていて歯がゆかった。

 

スポーツの3つを見て、あらためて精神力の強さが必要と感じた。特に悪天候の中では、そうだ。優勝か、それに準じるかは紙一重なのである。