小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

484 燃え尽きるなシニアたち ワトソンを見習おう

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 トム・ワトソンという名前は、ゴルフに興味がない妻も知っていた。難コースで知られ、期待の石川遼も現役では最強のタイガー・ウッズでさえ予選落ちした全英オープンゴルフ。ターンベリー・エイルサコースは、天気に左右されるコースで、名だたるゴルファーたちが屈してしまった。

 その中で、59歳のトム・ワトソンが優勝争いを演じた。まるで「いぶし銀」のようなプレーぶりに、熟年世代は力をもらったのではないか。 今大会は、日本のメディアは石川遼一辺倒だった。予選落ちして成田に帰った若者を取り囲み、記者会見まで開かせた。有名人の宿命か、彼はそれに応じた。

 彼とワトソンは41歳もの年齢差がある。ボールは飛ばないが、堅実なプレーが難コースで力を発揮した。 実は、ワトソンは過去の人だと思っていた。いまゴルフ界はタイガー・ウッズの全盛時代だ。飛距離は全く違う。遠くにボールを飛ばす時代に、ワトソンたちシニアの出る幕はないとだれもが思っていた。

 結果はプレーオフで同じ米国のスチュワート・シンクに破れ2位に終わったが、奇跡に近い活躍をした。 歳をとるのも悪くはない。力の若者に技で対抗できることをワトソンは証明したのだ。円熟味というのだろうか。石川遼タイガー・ウッズは、ワトソンの活躍をどう思ったのだろうか。

 団塊の世代が相次いで定年退職を迎えている。ともすれば元気をなくし、急に老け込んでいく。この世代が生きてきた時代は、まさしく激動の時代だった。だが、燃え尽きる必要はない。好きな道を好きにやればいいのだ。現役にこだわるワトソンの姿がそれを示しているではないか。

 昨夜からけさにかけて、テレビを見続け、寝不足の一日を送った。午前中、頭はもうろうとしたままだったが、心はさわやかだった。