小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2088 コロナ禍の2021年を送る 逆境にあっても明日を信じて

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 2021年もコロナ禍で明け暮れました。新聞・通信社が選ぶ十大ニュース、今年もコロナ禍が内外ともにトップ(あるいはそれに近い)になっています。何しろ、世界の感染者は2億8436万人、死者は542万人(30日現在。日本は感染者173万3207人、死者1万8393人)というパンデミックが続いているのですから、21世紀の歴史に残る忌まわしいニュースといっていいでしょう。このように明るい話が少ない1年でしたが、わずかながら光明もありました。

 共同、時事両通信社の十大ニュースを見ますと、暗いニュースの中で国内では将棋の藤井聡太9段が最年少(19)で四冠を獲得したこと、海外ではプロ野球大リーグのエンゼルス大谷翔平選手(27)が二刀流で活躍、満票でMVPに選出されたことが入っていました。このほか、真鍋淑郎さん(90)がノーベル物理学賞をもらったこと、ゴルフの松山秀樹選手(29)がマスターズで優勝したことが選ばれています。東京五輪パラリンピックが1年延期されて開催されたことは、もちろん大ニュースでしたが、明るいニュースと割り切ることはできなかったのは私だけではないでしょう。この後、日本はコロナ禍の第5波に見舞われたのでした。

 コロナ禍は、オミクロン株によって世界的流行が再燃、1日の新規感染者がアメリカでは40万人、フランスでは20万人を超え、フランスの感染者は1秒に2人の割合になるというニュースも流れています。日本も30日に発表された新規感染者は500人を超えており、第6波が近くやってくる恐れがあると専門家が予測しています。

 世界的パンデミックとなったスペイン風邪(インフルエンザ)は、第一次世界大戦終結した1918年から20年にかけて大流行(第3波まで)し、5億人が感染、5000万人~1億人以上が死亡したといわれています。このままではコロナ禍による感染者もスペイン風邪に匹敵する数字になる恐れがあります。

 ワクチンや治療薬の開発、マスク着用・手洗いの励行など、科学研究の分野や保健衛生環境は当時に比べると格段に進歩し、改善してます。しかし交通手段の発達などグローバル化によってウイルスの封じ込めは簡単ではありません。ですから、コロナ禍が今後どのように推移するのか専門家でも予測するのは困難なのではないでしょうか。スペイン風邪は多くの人が感染した結果、中和抗体(ウイルスの働きを抑制できる抗体)を得たことによって、3年目に次第に収束に向かったそうです。コロナ禍も同じ道を歩むのでしょうか。

 NHKテレビで今朝「大谷選手翔平4年の軌跡」という番組を見ました。タイトルの通り、大谷選手の大リーグ生活を追った特集番組です。その中で少年野球時代、監督だった父親の徹さんと交換日記でやり取りをしていたことに触れていました。徹さんは息子に3つのことを守るよう教えたそうです。

 1、大きな声を出して、元気よくプレイする。
 2、キャッチボールを一生懸命に練習する。
 3、一生懸命に走る。

 大リーグでMVPを獲得する大選手になっても、大谷選手は今もこの父親の教えを続けているそうです。それが純粋に一つのことに懸命に取り組む原点なのだと思います。大谷選手の4年間は、逆境に追い込まれながらそれを克服した歴史でした。コロナ禍にあえぐ時代だからこそ、逆境にあっても明日を信じ続けることの大事さを教えられた気がするのです。

 ベートーヴェンの『第9』第3楽章を聴きながら、今年最後のブログを書いています。ゆったりとした旋律が心に沁みます。2022年が平穏な1年でありますように。

 皆様、良い年をお迎えください。

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