小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1553 4月に思うこと 桜から感じる生命力

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 4月になっても、千葉市のわが家周辺では桜はまだ一部咲きである。東京は2日が満開だったことが信じられないくらいだ。ことしも既に4分の1が過ぎたが、このところ新聞、テレビのニュースを見て考えることが多かった。  

 国内では森友問題だ。8億円も値下げして教育勅語を使おうとする小学校に土地を売った、政権・財務省の国民を欺こうとする傲慢ぶりが目につく。このしっぺ返しはあるはずだ。2017年度予算は史上最大の規模であり、大盤ぶるまいだ。その裏で国の借金、国債残高は増え続けている。1200兆という途方もない借金だ。それなのに警鐘を鳴らすメディアはない。東電福島第一原発事故で避難地区となっていた福島県の市町村のかなりが避難解除になった。山林の除染は進んでいないから、若い人がいる家族は故郷へ戻ることを躊躇するに違いない。  

 国外では、マレーシアの空港で北朝鮮は最高指導者、金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏を暗殺した。多くの人が行き交う中での蛮行だった。マレーシア外交官を人質にとり、遺体だけでなく大使館勤務の容疑者を帰国させた。一方、北朝鮮の隣の韓国では朴槿恵前大統領が収賄など13の罪で逮捕された。歴代大統領が検察に狙われる、異常事態が続いている。そして、米国では相変わらず、トランプ政権の暴走が目につく。  

 さらに国連で始まった核兵器を法的に禁ずる「核兵器禁止条約」の交渉会議に日本は参加しなかった。世界で唯一の被爆国にもかかわらず、核兵器を所有する米国に気をつかって、世界から蔑視される選択をした。オバマ時代は参加に前向きだったが、トランプ政権になったら手の平をかえしてしまった。恥ずべき変質である。  

 詩人の大岡信によると、4月を代表する桜は、前線という言葉が使われるが、桜は動くもの、散るもの、しかしそれは同時に生命力をあらわしているのだという。生命力を感じながら、桜を愛でたいと思うこのごろだ。